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ハヤカワ国内フィクション

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ハヤカワ文庫JAや単行本など、国内フィクション作品の試し読み原稿や解説などを公開中。
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2018年1月の記事一覧

2月1日午前0時より原尞の伝説のデビュー作『そして夜は甦る』無料全文連載スタート!

早川書房公式noteにて、2月1日より沢崎シリーズ第1作『そして夜は甦る』の連載を開始いたします。

全36章からなる本作を、平日の午前0時に1章ずつ公開していきます。

沢崎シリーズ読者は、魅力の再発見とおさらいの機会として、またシリーズ未読の方は原尞ワールドに触れるきっかけとして連載をお楽しみください。

第1章はこちらから→●

『そして夜は甦る』4月上旬にポケミス版刊行!もともとポケミスで

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ありがとうございます!今日のおすすめは『ヒトの目、驚異の進化』です!

第31回山本周五郎賞、第38回日本SF大賞受賞! 小川哲『ゲームの王国』本篇冒頭「サロト・サル 一九五六年四月」公開



※書影は無償配信中の電子体験版にリンクしています

第一章 1サロト・サル 一九五六年四月
プノンペン郊外、トゥールスバイプレイ

 闇の中からは、光がよく見える。チョムラウン・ビチア高校の歴史科教師サロト・サルは、子どものころからその諺を気に入っていた。暗闇から明るいものはよく見えるが、明るい場所から暗闇はほとんど何も見えない。この諺から「輝いているときこそ、足元の落とし穴に気をつけなければ

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ありがとうございます!今日のおすすめは『なめらかな世界と、その敵』です

轟く声優カラテ! 熱川バナナワニ園の決戦!! 「暗黒声優」その3(草野原々『最後にして最初のアイドル』収録作)



  Ⅲ

 声優監視委員会の発足により、声優はプライバシーを失った。生体情報や位置情報を、リアルタイムでSNSに発信するよう義務づけられた。次第にそれ以上の情報まで、声優自らが公開しはじめた。情報を公開し、自分は無害である、やましいことをしていないとアピールしなければ人気を得ることはできず、生活の糧の喪失につながるからだ。
 そうしたなか、女性声優のなかで『百合営業』という文化が誕生した。『百

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ありがとうございます!『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』おすすめです

月への航海は、人工声優たちの日常業務である――「暗黒声優」その2(草野原々『最後にして最初のアイドル』収録作)



     Ⅱ

「おはようございます! 四方蔵アカネです」
「おはようございます!」
 声優機関室(スタジオ)に挨拶が響き渡る。声優の挨拶は昼でも夜でも「おはようございます」一択だ。
 これから、操船作業がスタートする。声優たちは各自所定の位置に立ち、マイクを発声管の位置に調整する。
 有史以来の天然声優は役者や歌手が兼業していることが多かった。音の媒体であるエーテルの性質を直感的に把握するこ

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ありがとうございます!今日のおすすめは『三つ編み』です。

かつて『大声優時代』という時代があった――「暗黒声優」その1(草野原々『最後にして最初のアイドル』収録作)

※一部にショッキングな表現が含まれます。苦手な方、または声優の方はご注意ください。草野原々先生のイントロダクションはこちら。

暗黒声優     Ⅰ

 宇宙帆船がエーテルの風に乗っている。
 船体の十倍もの広さがある帆が、太陽へと落ちる風を受けて膨らみ、加速する。その帆は青色の光を放っている。船の近くに行けば風きり音も聞こえるだろう。光と音の媒体であるエーテルが帆と衝突して揺らめいているのだ。

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ありがとうございます!今日のおすすめは『三体』です。

1月25日発売のミステリマガジン「原尞読本」特集で、原尞最新作『それまでの明日』に備えよ!



伝説の男が帰ってきた。その男――原尞のデビューは1988年にさかのぼります。原尞の処女作にして〈私立探偵・沢崎〉シリーズ第1作『そして夜は甦る』は、『このミステリーがすごい!』で国内編の2位にランクインし、山本周五郎賞にノミネートされました。続いて、翌年発表した第2作『私が殺した少女』で、『このミス』1位、直木賞を受賞という快挙を成し遂げ、原尞の名は不動のものとなります。レイモンド・チャンドラ

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ありがとうございます!今日のおすすめは『ヒトの目、驚異の進化』です!

ミステリマガジン2018年3月号「原尞読本」特集の著者インタビュー冒頭を先行掲載!



14年ぶりの新作――14年ぶりの新作『それまでの明日』が3月に刊行になります。前作の『愚か者死すべし』のときに、「早く書く術(すべ)を身につけた」とおっしゃったように記憶していますが、これだけ長い歳月を費やしたのはどのような背景があってのことでしょう。

原 第一には自分が遅筆で作品が少ないということを大変申し訳なく思っています。もう少しいいペースで読者に提供したい、もっといいものを書きたい、

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ありがとうございます!『名探偵ポアロ オリエント急行の殺人』もどうぞ!
ありがとうございます!今日のおすすめは『わたしを離さないで』です。

機械の少女の初恋ものがたり~藍内友紀『星を墜とすボクに降る、ましろの雨』(ハヤカワ文庫JA)冒頭100ページを公開!



※書影はAmazonにリンクしています

ブリーフィング  星 の 眼   〈0〉

 青臭く尖った芝に肘を刺されながら這い蹲ったボクは、玩具の〈ライフル〉に頬をつけてスコープを覗き込む。
 玩具、といっても地球の戦場では現役で活躍しているライフル銃とお揃いだから、結構重たい。玩具と呼ぶのはこの〈ライフル〉が、地球で人間の頭を飛ばしているものと違って銃弾を吐き出さないからだ。
 その代りボクの

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宇宙災害クラスの新星爆誕。草野原々イントロダクション

SF作家・草野原々の単著デビュー作『最後にして最初のアイドル』。作品も著者自身もあまりにも個性的すぎるその概要を、各作紹介とデビュー時の著者インタビューによってご紹介します。

草野原々『最後にして最初のアイドル』1月24日(水)発売/本体780円+税/ハヤカワ文庫JA
カバーイラスト:TNSK
カバーデザイン:伸童舎

SFコンテスト史上初の特別賞&「神狩り」以来42年ぶりにデビュー作で星雲賞を

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ありがとうございます!今日のおすすめは『わたしを離さないで』です。

【体験版配信中】女子ふたり、異世界探検。『裏世界ピクニック』コミカライズ特報



月刊少年ガンガン3月号(スクウェア・エニックス刊)より、女子ふたり怪異探検サバイバルの大人気シリーズ『裏世界ピクニック』(ハヤカワ文庫JA)コミカライズがいよいよ連載開始となりました。

・作画:水野英多氏による表紙&巻頭カラー!
・初回92ページ(史上最大級!)
・『裏世界ピクニック』特典クリアファイル付録!

【原作者・宮澤伊織氏コメント】
初回60ページと聞いてたのに92ページ送られてき

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ありがとうございます!今日のおすすめは『ザリガニの鳴くところ』です。

「生賴範義展 THE ILLUSTRATOR」連動企画! 小松左京『復活の日〔新版〕』、平井和正『狼の紋章【エンブレム】』『狼の怨歌【レクイエム】〔新版〕』を生賴氏の装画で復刊!

「スターウォーズ 帝国の逆襲」やゴジラ・シリーズの映画ポスター、光栄の歴史シミュレーションゲームのイラスト、さらにはマイクル・クライトン『ジュラシックパーク』など数々の名装画で知られる世界的イラストレーター・故生賴範義氏の展覧会が東京に初上陸。それに合わせ、氏の代表的装画を使用した3作品、小松左京『復活の日』、平井和正『狼の紋章【エンブレム】』『狼の怨歌【レクイエム】』を復刊しました。会場の上野の

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ありがとうございます!『名探偵ポアロ オリエント急行の殺人』もどうぞ!

【著者紹介】原尞(はら・りょう)、その7つの伝説とは?



原尞(はら・りょう)

1946年佐賀県鳥栖生まれ。 九州大学文学部美学美術史科を卒業。70年代はおもにフリージャズのピアニストとして活躍。30歳ころから意識的に翻訳ミステリを乱読し、とくにレイモンド・チャンドラーに心酔した。1988年に私立探偵・沢崎が初登場するハードボイルド長篇『そして夜は甦る』で日本のミステリ界に颯爽とデビュー。日本の風土にハードボイルドを定着させた優秀作として高い評価を

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ありがとうございます!今日のおすすめは『なめらかな世界と、その敵』です

原尞、14年ぶりの新刊『それまでの明日』、2018年3月1日発売決定!



沢崎シリーズ、14年ぶりの最新作 デビュー30周年記念作品
原尞『それまでの明日』
2018年3月1日発売/本体1800円+税/四六判上製(書影をクリックするとAmazonページにジャンプ)

ミステリ界の生ける伝説ともいえる作家・原尞。1988年に私立探偵・沢崎が初登場するハードボイルド長篇『そして夜は甦る』で日本のミステリ界に颯爽とデビュー。89年の第2作『私が殺した少女』で第102回直木

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