ハウ_トゥー

ドローンは暮らしの敵か味方か……? 刊行直前『ハウ・トゥー』より抜粋掲載その1

いよいよ今月23日に刊行となる、ランドール・マンロー待望の最新作『ハウ・トゥー――バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』。マンロー特集その3、その4として、『ハウ・トゥー』の1部を2週にわたりご紹介いたします。テーマは「私たちの暮らしをかきみだすドローンをいかに撃ち落とすか」。サイエンス思考と、驚きのセレブの助力を借りてこの課題に挑む、マンロー先生の首尾やいかに?

ハウ・トゥー


ランドール・マンロー著『ハウ・トゥー』(吉田三知世訳)より一部抜粋

ドローンを落とすには(スポーツ用品を使って)

結婚式の写真撮影用ドローンが、あなたの頭上でせわしなく飛び回っている。そんなところでドローンが何をしているのかわからないし、あなたはドローンを止めたい。

ドローン図1

あなたはネットランチャー(網を投射する防犯器具)、散弾銃、電波妨害装置、カスミ網、対ドローン用ドローン、あるいはその他の特殊装置などの高度なアンチドローン装置は持っていないと仮定しよう。

あなたが、非常によく訓練された猛禽を実際に飼っているなら、それにドローンを追いかけさせるのはいいアイデアだと思うかもしれない。インターネットで、訓練された猛禽が空を飛ぶドローンをつかまえる映像が広まることがときどきある。これは一見、胸のすくような方法なのだが、無法な機械に反撃するのに、訓練した動物に体を張って立ち向かわせなければならない計画はすべて、おそらくうまくない。

タカを使うのがまずいとすれば、ほかに何が使えるだろう? ドローンは空高くを飛んでいるので、あなたもドローンめがけて空中に何かの物体を飛ばすのがよさそうである。人間は、意図したところめがけて空中に何かの物体を飛ばしている──スポーツの世界で。そのやり方については、第10章「物を投げるには」を参照してほしい。


あなたのガレージには、スポーツ用品がぎっしり詰まっているとしよう。野球のボール、テニスのラケット、ローンダーツ(原注1)、何でもかんでも。ドローンにぶつけるには、どのスポーツの飛翔物がいちばんいいだろう? そして、アンチドローン・ガードとして最適なのは、どのスポーツの選手だろう? 野球のピッチャー? バスケットボールの選手? テニスの選手? ゴルファー? あるいはそれ以外の誰かだろうか?

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おおまかに比較するために、さまざまなスポーツでものを投げる正確さを、単純な数値──「飛行距離」と「誤差」の比──で得点化し、評価することにしよう。あなたがボールを3メートル離れた標的に投げるとき、標的を平均で60センチ外してしまうとすると、あなたの「正確さ指数」は300÷60、すなわち5だ。

(中略、詳しくは『ハウ・トゥー』を参照)

もしも見つかるなら、アーチェリー選手を選ぶのが一番いいのは間違いない。精度が極めて高く、到達距離が非常に長いことから、ディフェンダーとして理想的だ。野球の投手を選ぶのもいいだろう──おそらく野球のボールも多大な損傷を与えるだろうし。バスケットボールの選手は、正確さは低めだが、その欠点は、投げるボールが大きく、またボールが効率的なアーチ型の軌道で飛ぶことで十分埋め合わされるだろう。ホッケー選手、ゴルファー、そしてキッカーの類はどれも、たぶんあまりいいとは言えないだろう。

私はこれを現実の世界でテストしてみたかったのだが、テニスについてはいいデータが見つからなかった。プロのテニスプレーヤーに関する研究がいくつか見つかったが、どれもコートに描かれた的に命中させることに注目していて、空中に浮かぶ標的を打つものはなかった。

そこで私は、セリーナ・ウィリアムズにおうかがいを立ててみた。

彼女がこころよく協力してくれたのは、うれしい驚きだった。彼女の夫、アレクシスは、テストで犠牲になるドローンとして、カメラが壊れたDJIMavic Pro 2を提供してくれた。ふたりは、世界最高のテニスプレーヤーが、侵入してきたロボット飛行物体の撃退にどれほど効果的かを確かめるために、彼女の練習用コートに向かった。(以下次回へ続く)

(原注1)1980年代を知らない人のために説明しよう。ローンダーツとは先端に金属のティップがついた樹脂製の大型で重いダーツで、中世の武器に似ており、あるゲームの一環として空中に高く飛ばすように、子ども向けに販売されていた。あとから考えれば当然の理由から、やがてアメリカでは禁止されてしまった。


Excerpted from How To: Absurd Scientific Advice for Common Real-World Problems by Randall Munroe. Copyright Ⓒ 2019 by Randall Munroe.
(本抜粋は実際の刊本とは細部の異なることがあります)

セリーナ・ウィリアムズのファンであれば、セリーナがドローンと「対決」するYOUTUBE画像があることをご存じかもしれません。あの画像には、じつはこんなウラがあったんですね~。続きは来週、1月15日に公開の予定です。
これまでのランドール・マンロー特集(第1回第2回)、および文庫化されたばかりのマンローの主著『ホワット・イフ?』(吉田三知世訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)の抜粋ミニ連載(第1回第2回第3回)もあわせてごらんください。

ハウ・トゥー――バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』(ランドール・マンロー、吉田三知世訳、46判並製、本体予価1600円)は、2020年1月23日、早川書房より発売予定です。



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