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ハヤカワ・ノンフィクション

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ハヤカワ・ノンフィクション文庫や、ハヤカワ・ノンフィクションなど。話題のノンフィクション作品の解説、試し読みを公開中。
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2018年7月の記事一覧

《エコノミスト》誌ほか年間ベストブック&《NYタイムズ》ベストセラーの大人版「君たちはどう生きるか」。『あなたの人生の意味』冒頭試し読み②

《エコノミスト》誌ほか年間ベストブック&《NYタイムズ》ベストセラーの大人版「君たちはどう生きるか」。『あなたの人生の意味』冒頭試し読み②



(冒頭試し読み①より続く) 

 元来の私は非常に現代的な人間である。現代の人間らしく内側よりも外側のよく見えるものに目が向く。私は今、評論家、コラムニストなどと呼ばれる仕事をしている。これはいわば、「自分」を売って金を稼ぐような商売だ。ともかく自分の意見、自分はどう思うかを発言する。実際の自分より自信ありげに見せなくてはならない。実際の私より賢そうに見せる。実際より優れていて信頼できる人間と

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「人間には2種類の美徳がある」―《ニューヨーク・タイムズ》の名コラムニストが「生きる意味」を問い直すベストセラー『あなたの人生の意味』冒頭試し読み①

「人間には2種類の美徳がある」―《ニューヨーク・タイムズ》の名コラムニストが「生きる意味」を問い直すベストセラー『あなたの人生の意味』冒頭試し読み①

いま、アメリカの新聞業界で、人気・知名度ともに最も高いといわれる《ニューヨーク・タイムズ》のコラムニスト、デイヴィッド・ブルックス。ビル・ゲイツが絶賛し、全米60万部に迫るその最新作『あなたの人生の意味』の文庫化を機に、冒頭を公開します。

はじめに アダムⅡ(ツー)

 私は最近よく考えることがある。人間の美徳には大きく分けて二つの種類があるのではないかということだ。一つは履歴書向きの美徳、もう

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【親子で自由研究】都市部でもセミの羽化が簡単に見られるコツ(動画あり) 『東京いきもの散歩』番外篇

【親子で自由研究】都市部でもセミの羽化が簡単に見られるコツ(動画あり) 『東京いきもの散歩』番外篇



大都市にも意外とたくさん棲んでいる野生の生き物のガイドブック『東京いきもの散歩』は、夏休みの自由研究にぴったりの1冊。数あるアイデアのなかから今回はセミの羽化観察をご紹介します。

著者の川上洋一さんによれば、都市部のほうがセミの羽化を見るチャンスが多いのだとか。都市部にはセミの幼虫が棲める場所が少ない分、土と樹木がある公園などに集中して棲息しているそうです。

というわけで、編集部Kがセミの

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不快さを抱きしめ、執着を手ばなす――瞑想5日目に訪れた驚異のマインドフルネス体験!『なぜ今、仏教なのか』試し読み

不快さを抱きしめ、執着を手ばなす――瞑想5日目に訪れた驚異のマインドフルネス体験!『なぜ今、仏教なのか』試し読み



『なぜ今、仏教なのか――瞑想・マインドフルネス・悟りの科学』
ロバート・ライト/熊谷淳子訳 早川書房

2003年8月、はじめて「沈黙の瞑想」合宿に参加するためにマサチューセッツ州の郊外へ向かった。まる1週間を瞑想だけにあて、メールや、外界のニュースや、人間との会話といった気を散らすものをとり去る合宿だ。

毎日、計5時間半のすわる瞑想と、同じく5時間半の歩く瞑想をする。ほかの時間は、3度の(

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多くの人が『こう生きたい』と心のどこかで願っている生活――『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』文庫解説(河﨑秋子:羊飼い・作家)

多くの人が『こう生きたい』と心のどこかで願っている生活――『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』文庫解説(河﨑秋子:羊飼い・作家)



湖水地方で600年以上続く羊飼いの家系に生まれた著者が、厳しくも喜びと誇りに満ちた農場の日々を綴った世界的ベストセラー『羊飼いの暮らし――イギリス湖水地方の四季』が文庫になりました。本書の魅力を、『颶風の王』で三浦綾子文学賞を受賞した作家であり、北海道在住の羊飼いでもある河﨑秋子氏の解説でご紹介します。

途切れることない伝統と明日も明後日も続く日常

河﨑秋子(羊飼い・作家)

「英国のハー

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「『悟り』に関する一般の先入見と、瞑想が開く世界の実状とのギャップを埋める記述を、見事に成功させている」『なぜ今、仏教なのか』解説・魚川祐司

「『悟り』に関する一般の先入見と、瞑想が開く世界の実状とのギャップを埋める記述を、見事に成功させている」『なぜ今、仏教なのか』解説・魚川祐司



『なぜ今、仏教なのか――瞑想・マインドフルネス・悟りの科学』
ロバート・ライト/熊谷淳子訳 

解説:「赤い薬」が飲みたくなる名著
魚川祐司(著述家。『仏教思想のゼロポイント』)

仏教の、とくに「悟り」に関する話題について著作を書いていたりすると、しばしば人から、「私は悟りたくないんです」と言われることがある。「悟り」というのは、言うまでもなく「転迷開悟 (迷いを転じて悟りを開く)」の宗教と

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【重版決定】「知ってるつもり」の治し方なら、ブッダに聞け! 全米ベストセラー『なぜ今、仏教なのか』内容紹介

【重版決定】「知ってるつもり」の治し方なら、ブッダに聞け! 全米ベストセラー『なぜ今、仏教なのか』内容紹介

by 編集部S・I

宇多田ヒカルさんのツイートが話題を呼んでいます。

「有名無名問わず、誰かがメディアでした話から別の誰かが一言だけ抜き取って、文脈から切り離してネットで持ち出して、そこから少数派を除いた多くの人がソースの文脈を参照しようとしないまま自己投影に基づいた批判や擁護(つまり妄想)のたたき台にして論争が繰り広げられる現象にまだ名前ないのかな」(2018年7月17日19時55分)

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