マガジンのカバー画像

ハヤカワ・ノンフィクション

572
ハヤカワ・ノンフィクション文庫や、ハヤカワ・ノンフィクションなど。話題のノンフィクション作品の解説、試し読みを公開中。
運営しているクリエイター

記事一覧

ノーベル経済学賞受賞! アセモグル他の話題主要著作が新デザイン帯で発売

ノーベル経済学賞受賞! アセモグル他の話題主要著作が新デザイン帯で発売

「社会制度が国家の繁栄に与える影響の研究」にて2024年のノーベル経済学賞を受賞した、ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン、サイモン・ジョンソン。

早川書房では、アセモグル&ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』、『自由の命運』、アセモグル&ジョンソン『技術革新と不平等の1000年史』の3作品を翻訳刊行してきました。

三氏のノーベル賞受賞を記念し、帯デザインを刷新します。現在準備中の新

もっとみる
AIが誕生するずっと前、自動チェス指し人形が発明された⁉ トム・スタンデージ『謎のチェス指し人形「ターク」』まえがき

AIが誕生するずっと前、自動チェス指し人形が発明された⁉ トム・スタンデージ『謎のチェス指し人形「ターク」』まえがき

18世紀ウィーンに、チェスを指す自動人形「ターク」が現れた。中東風の衣装をまとったタークは、チェスの達人をことごとく打ち負かし、ナポレオンやベンジャミン・フランクリンと対局、エカテリーナ大帝をも驚嘆させた。混乱に陥った人々のため、記者エドガー・アラン・ポーがその秘密に挑む……。

謎の自動機械の世にも数奇な生涯をたどるとともに、後のコンピューターやAIの開発に及ぼした多大な影響を解き明かす『謎のチ

もっとみる
『スマートシティはなぜ失敗するのか 都市の人類学』松村圭一郎さん解説試し読み

『スマートシティはなぜ失敗するのか 都市の人類学』松村圭一郎さん解説試し読み

ハヤカワ新書『スマートシティはなぜ失敗するのか――都市の人類学』(シャノン・マターン、依田光江訳)が10月23日に発売になります。「都市のAI化」「デジタル行政」といった言葉を見かけることが多くなりましたが、本書は、人類にとって真に「賢い」都市とは? と問いかけ、都市に生きる私たちにさまざまな新たな視点を提供してくれます。
文化人類学者の松村圭一郎さんによる本書の解説を、特別に試し読み公開します!

もっとみる
過去の歴史に現在の姿が、現在の歴史に過去の姿が見える。『ヴィクトリア朝時代のインターネット』『謎のチェス指し人形「ターク」』著者トム・スタンデージ氏インタビュー

過去の歴史に現在の姿が、現在の歴史に過去の姿が見える。『ヴィクトリア朝時代のインターネット』『謎のチェス指し人形「ターク」』著者トム・スタンデージ氏インタビュー

英経済週刊紙「エコノミスト」(The Economist)編集者のトム・スタンデージ氏の2冊の著書、『ヴィクトリア朝時代のインターネット』と『謎のチェス指し人形「ターク」』が今年に入って相次いでハヤカワ・ノンフィクション文庫に収められ話題になっている。

インターネットやAIのルーツを18世紀以降の歴史の中で探った新鮮な視点で欧米での注目度は高く、『ヴィクトリア朝時代のインターネット』はテレビ番組

もっとみる
【祝】2024年のノーベル経済学賞受賞!ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン、サイモン・ジョンソンの著作を一挙紹介

【祝】2024年のノーベル経済学賞受賞!ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン、サイモン・ジョンソンの著作を一挙紹介

「社会制度が国家の繁栄に与える影響の研究」にて2024年のノーベル経済学賞を受賞した、ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン、サイモン・ジョンソン。

当社では、過去にアセモグル&ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』、『自由の命運』、アセモグル&ジョンソン『技術革新と不平等の1000年史』の三書を翻訳刊行しています。

今回の記事では、受賞理由とも関係の深いこれら三書をご紹介いたします。ダ

もっとみる
「超加工食品」とはなにか? なにが問題なのか? 『不自然な食卓』訳者あとがき

「超加工食品」とはなにか? なにが問題なのか? 『不自然な食卓』訳者あとがき

幾度もの化学的処理と無数の添加物、徹底した工業合成プロセスによって製造され、小売店の棚を埋め尽くす「超加工食品」。その成分の組成から業界をあげた規制妨害の実態まで、綿密なリサーチと著者自身の身体を実験台とした検証を通じて現代の「食」を蝕む病理のすべてを解き明かしたノンフィクション、『不自然な食卓——超加工食品が人体を蝕む』(クリス・ヴァン・トゥレケン著、梅田智世訳)が本日発売しました。

近年注目

もっとみる
権力を握れないエリートが氾濫し、反乱を起こす。ピーター・ターチン『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』より「はじめに」を全文公開!

権力を握れないエリートが氾濫し、反乱を起こす。ピーター・ターチン『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』より「はじめに」を全文公開!

学歴に見合うポストや報酬が得られず不満を抱いたエリートたちが反エリートに転化するとき、社会は崩壊に向かう――。数理モデルを駆使して歴史の法則を見出す「クリオダイナミクス(歴史動力学)」の旗手として知られるピーター・ターチンの最新著作、『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』(濱野大道訳、原題End Times: Elites, Counter-Elites, and the Path of Politi

もっとみる
「科学読み物」「文化論」であり「自己啓発書」!? ノンフィクション『眠れる進化』吉川浩満さんの解説を特別公開!

「科学読み物」「文化論」であり「自己啓発書」!? ノンフィクション『眠れる進化』吉川浩満さんの解説を特別公開!

コンピューターを駆使した最新の進化生物学が解き明かす、自然と文化に共通する、この世界の隠れたルールとは。話題のノンフィクション『眠れる進化──世界は革新に満ちている』(アンドレアス・ワグナー、大田直子訳、本体2700円)が9月19日に発売になります。本書の「魅力」そして「活用法」について説いた、吉川浩満さんによる解説を特別に試し読み公開します!

解説:吉川浩満(文筆家・編集者)本書のテーマは自然

もっとみる
ドルが危ない? 果たして円は? 宮崎成人『強い通貨、弱い通貨』試し読み

ドルが危ない? 果たして円は? 宮崎成人『強い通貨、弱い通貨』試し読み

国際経済・金融の分析は一種の「ミステリー」と言っても過言ではありません。かつて圧倒的な覇権通貨であった英ポンドは世界大戦を経て20世紀前半に没落しました。金本位制という当時の硬直的なシステムの下では、それ以外の結果を想定するのは困難です。ポンドは、金本位制という「現場」で、世界大戦と大恐慌によって「殺された」のでした。
では、もしドルが没落への道をたどる場合、ドルを「殺す」者は誰でしょうか? 今世

もっとみる
夏におすすめ! 背筋も凍る犯罪実録ノンフィクション『万博と殺人鬼』訳者あとがき

夏におすすめ! 背筋も凍る犯罪実録ノンフィクション『万博と殺人鬼』訳者あとがき

19世紀末シカゴ。建築家ダニエル・バーナムは史上最大規模の万国博覧会を成功させるべく邁進する。だが、建設ラッシュに沸く街の片隅では、後に「アメリカ最初のシリアルキラー」と呼ばれるH・H・ホームズの手による、おぞましい連続殺人が起きていた……。
新興国アメリカの光と闇を描き世界的ベストセラーとなった、エドガー賞(犯罪実話部門)受賞の傑作ノンフィクション『万博と殺人鬼』(エリック・ラーソン、野中邦子訳

もっとみる
この夏読んでおきたい「核問題の今」。『核クライシス――瓦解する国際秩序』試し読み

この夏読んでおきたい「核問題の今」。『核クライシス――瓦解する国際秩序』試し読み

ウクライナ侵攻を機に核使用をちらつかせるロシア、保有核弾頭を倍増させる中国、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮、核大国アメリカの弱体化と混迷……核はなぜなくならないのか? 唯一の被爆国・日本を取り巻く混沌とした核情勢に出口はあるのか?
核問題に精通し、外交の最前線を長年取材してきたジャーナリストによる『核クライシス――瓦解する国際秩序』(太田昌克、ハヤカワ新書)より本書「はじめに」を特別に試し読み公開し

もっとみる
「核の時代」を考える上での必読書、『原爆初動調査 隠された真実』編集者インタビュー

「核の時代」を考える上での必読書、『原爆初動調査 隠された真実』編集者インタビュー

映画「オッペンハイマー」には描かれていなかった事実がここにあるーー。ハヤカワ新書の評判の一冊『原爆初動調査 隠された真実』(NHKスペシャル取材班)。長期化するウクライナ戦争、不安定な東アジア情勢、中東の戦禍……核の脅威は現在進行形の問題でもあります。原爆の日を前に、本書の刊行の経緯や読みどころについて、改めて担当編集者に聞きました。

なぜ『原爆初動調査 隠された真実』を刊行?編集担当・石井広行

もっとみる
ヒトのヒトたるゆえんは、「先見性」にある——『「未来」を発明したサル』試し読み

ヒトのヒトたるゆえんは、「先見性」にある——『「未来」を発明したサル』試し読み

太古の昔、サルとヒトとを分けた最大のファクター「先見性」。過去を回顧し、未来を予測することを可能にするこの力は、実はこの地球で人類だけが大きく発達させてきたもの。その秘密を進化人類学、認知心理学、神経科学、考古学、歴史学の成果を縦横無尽に駆使して解き明かす壮大なる一書、『「未来」を発明したサル——記憶と予測の人類史』(トーマス・スーデンドルフ、ジョナサン・レッドショウ、アダム・ブリー著、波多野理彩

もっとみる
【19刷のロングセラー】人間の知らないところで、樹木たちは会話をしている? でも、どうやって? 傑作ノンフィクション『樹木たちの知られざる生活』(早川書房)から特別抜粋

【19刷のロングセラー】人間の知らないところで、樹木たちは会話をしている? でも、どうやって? 傑作ノンフィクション『樹木たちの知られざる生活』(早川書房)から特別抜粋

「木は仲間と会話し、助け合う」――最新科学と長年の観察から、木々には驚くべき社会生活がある、と記すのは、ドイツで森林管理に携わるペーター・ヴォールレーベンさん。その代表作である『樹木たちの知られざる生活』の本文から特別に抜粋してお届けします。

 「木の言葉」(本書第二章より)

 辞書によると、言葉を使ってコミュニケーションできるのは人間だけだそうだ。つまり、話ができるのは人間だけなのだ。では、

もっとみる