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メアリ・ロビネット・コワル『宇宙【そら】へ』と一緒に観たい! 映画とドラマ

ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞受賞のメアリ・ロビネット・コワル『宇宙【そら】へ』(酒井昭伸 訳)。この記事では本書とあわせて観ると2倍3倍に楽しめる、おすすめ映画やドラマをいくつかご紹介します。

宇宙へ_上下

『宇宙【そら】へ』(上・下)
メアリ・ロビネット・コワル  酒井 昭伸 訳
カバーイラスト/加藤直之  カバーデザイン/岩郷重力
ハヤカワ文庫SF
各1,020円+税
2020年8月20日発売

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まずひとつめは、映画『ドリーム』(2016年)です。2017年のアカデミー賞で作品賞部門などにノミネートされた作品で、ご覧になったかたも多いかと思います。計算者(コンピューター)が主人公ということもあって、本書のあらすじを読んでこの映画を思い浮かべたかたも多かったのでは?

作品の舞台は、初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げ成功後の1960年代初頭。アメリカとソ連の宇宙開発競争が激化する中で、NASAで計算者として働く3人の黒人女性が、差別と闘いながら、マーキュリー計画に取り組む姿を描きます。実話をもとにしており、原作はマーゴット・リー・シェタリーのノンフィクション『ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち』(2017、山北 めぐみ 訳)で、邦訳されています。

『宇宙へ』下巻巻末の「歴史ノート」によると、コワルが『宇宙へ』を書いていたのは、この本、『ドリーム』が刊行され、映画が公開される前の2016年のこと。草稿を読んでもらっていた友人たちの疑問に、計算部門に白人以外の女性がいたのかというものがあったので、実際に「歴史から消されていた」この女性たちの姿が描かれているのを見て、喜びつつ胸をなでおろしたそうです。

1960年代の宇宙開発を支えた女性たちの映画です。まだご覧になっていない読者の皆さんには、ぜひ一度は見ていただきたい。おすすめの映画です。

映画『ドリーム』オフィシャルサイトはこちら
映画『ドリーム』予告篇はこちら

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ふたつめは、Netflixオリジナル・ドキュメンタリー映画『マーキュリー13: 宇宙開発を支えた女性たち』(2018年)です。

さきほどの映画『ドリーム』ではマーキュリー計画が描かれ、そこで選抜された7人の宇宙飛行士「マーキュリー・セブン」も登場していました。じつは、同時期に、女性宇宙飛行士も宇宙に送ろうというプロジェクトがありました。それが「マーキュリー13」です。優秀な女性パイロットたちが集められて、男性とほぼ同じのきびしい検査をくぐりぬけ、13名の女性が選抜されます。男性より優秀なほどの結果が出ていましたが、そこでプロジェクトは中止に。その「マーキュリー13」のメンバーや家族が当時を振り返ります。当時の映像を交えて語られる、もう一つの宇宙開発の物語、貴重なドキュメンタリーです。個人的に感動したのは、80代のいまも飛行機を操縦しているメンバーもいるということ。

Netflixの『マーキュリー13: 宇宙開発を支えた女性たち』サイトはこちら
映画『マーキュリー13』予告篇(英語版)はこちら

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もうひとつは、2019年に配信を開始したApple TV+のローンチタイトルのひとつ、『フォー・オール・マンカインド』(2019年)。

1969年6月、ソ連がアメリカに先駆けて月着陸に成功し、アレクセイ・レオーノフが初の月に降り立った人類となった改変歴史世界の宇宙開発戦争を描いたドラマです。ちなみに、史実では1969年7月にアポロ11号の船長ニール・アームストロングが初の月着陸に成功しています。

ソ連に先を越されたアメリカは、負けじと人類初の月基地建設をめざすことに。そうして、現実よりもずっと早く、ずっと先まで宇宙開発が進んでいく世界を描いたドラマです(『宇宙へ』を思い起こさせますね)。さらに、ソ連がはやばやと女性宇宙飛行士を月に送りこんだため、それまで白人の男性宇宙飛行士しかいなかったアポロ計画に、女性宇宙飛行士も加わることに(ここも『宇宙へ』を思い起こさせます)。「マーキュリー13」の2人や計算手(コンピューター)の黒人女性を含め、5人が女性宇宙士候補として選抜され、月面基地の設置めざして計画が進んでいきますが……。

このドラマ『フォー・オール・マンカインド』、たいへんに面白く、「生きてこのドラマを観ることができてよかった」レベルの作品でした。ストーリーも映像も、すごくよく作りこまれています。『宇宙へ』をお読みになったみなさんに、強くお勧めしたい作品です。また、『フォー・オール・マンカインド』をご覧になったかたには、ぜひ『宇宙へ』を読んでいただきたいと感じました。Apple TV+での配信ということもあって、まだあまり観られたかたは多くないのではないかとも思いますが、iPhoneなどを購入してApple TV+サブスクリプション1年分がついたら、ぜひ観ていただきたいし、このためにApple TV+にはいっても惜しくない、そのくらいのドラマでした。

現在シーズン1の10話が配信されていて、シーズン2の製作が決定されているとのこと。シーズン2の予告篇が公開されています。スペースシャトル時代の宇宙開発戦争が描かれるもよう。配信が待ち切れないです。

Apple TV+の『フォー・オール・マンカインド』サイトはこちら
『フォー・オール・マンカインド 』予告篇はこちら
『フォー・オール・マンカインド 』
シーズン2(英語版)予告篇はこちら「For All Mankind — Jamestown Tour」(英語版)動画はこちら

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以上、映画とドラマ3作品をご紹介しました。ぜひ『宇宙【そら】へ』とあわせてごらんください。

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メアリ・ロビネット・コワル 『宇宙【そら】へ』(上下)
あらすじ
1952年、巨大隕石が突如、ワシントンD.C.近海に落下した。衝撃波と津波によりアメリカ東海岸は壊滅する。第二次大戦に従軍した元パイロットで数学の博士号を持つエルマは、夫ナサニエルとともにこの厄災を生き延びた。だが、エルマの計算により、隕石落下に起因する温暖化で、地球は近い将来灼熱の世界になると判明する。人類は生き残りをかけて宇宙開発に乗りだすが――ヒューゴー・ネビュラ・ローカス三賞受賞の傑作!

宇宙へ_上_帯

宇宙へ_下_帯

※書影等はAmazonにリンクしています。

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