彼女の敵とは、いったい何者だったのか──沼野恭子さんが読む『同志少女よ、敵を撃て』
新人離れした筆力が評価され、第11回のアガサ・クリスティー賞の大賞に輝いた、逢坂冬馬氏の『同志少女よ、敵を撃て』がついに発売となりました。
刊行前から、書店員の方々をはじめ、各方面から好評が止まらない本作。数あるコメントの中から今回は、本書の巻末に収録されている、ロシア文学研究者の沼野恭子さんの推薦文を掲載いたします。
推薦のことば ──沼野恭子
逢坂冬馬の『同志少女よ、敵を撃て』は、第二次世界大戦時、最前線の極限状態に抛りこまれたソ連の女性狙撃手セラフィマの怒り、逡巡