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ハヤカワ文庫NV

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冒険小説やスパイスリラー、映画化原作など。ハヤカワ文庫NVの話題作品の解説や、試し読みを公開中。
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#小説

劇団四季の大人気ミュージカル『ウィキッド』の原作小説を刊行(グレゴリー・マグワイア著、5月9日発売)

劇団四季の大人気ミュージカル『ウィキッド』の原作小説を刊行(グレゴリー・マグワイア著、5月9日発売)

大人気ミュージカルの原作小説『ウィキッド――誰も知らない、もう一つのオズの物語』(グレゴリー・マグワイア、市ノ瀬美麗訳、上下巻)を早川書房より5月9日に発売します。

本書は、『オズの魔法使い』に登場する「悪い魔女」と「善い魔女」の若き日を描いた小説です。1995年に著者グレゴリー・マグワイアによって発表され(原題Wicked: The Life and Times of the Wicked W

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【試し読み】『ファイト・クラブ』著者が2020年代の世界へ捧げる爆弾。『インヴェンション・オブ・サウンド』

【試し読み】『ファイト・クラブ』著者が2020年代の世界へ捧げる爆弾。『インヴェンション・オブ・サウンド』

チャック・パラニューク『インヴェンション・オブ・サウンド』冒頭掲載。本作の物語は映画の音響効果技師であるミッツィ・アイヴズと、行方不明になった娘を長年探し続けるゲイツ・フォスターという2人の視点から交互に描かれます。「救いがない」という救いさえも与えられない現代人の物語。

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第1章 我らの罪を忘れたまえ

 救急車のサイレンが街を駆けていき、犬という犬が遠吠えする。ペキニーズもボー

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陰惨で血なまぐさく、身の毛もよだつ「クリーピーパスタ」……『【閲覧注意】ネットの怖い話 クリーピーパスタ』まえがき

陰惨で血なまぐさく、身の毛もよだつ「クリーピーパスタ」……『【閲覧注意】ネットの怖い話 クリーピーパスタ』まえがき

『【閲覧注意】ネットの怖い話 クリーピーパスタ』は、クリーピーパスタ界の有名YouTuberのミスター・クリーピーパスタ(MrCreepyPasta)が編んだホラーアンソロジーです。ネットの悪夢の語り手、ミスター・クリーピーパスタによる「まえがき」をここに掲載します。

まえがき

 やあみんな。
 僕だ、ミスター・クリーピーパスタだよ!
 居心地のいいユーチューブから抜けだして、とうとう書店の棚

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「クリーピーパスタ」とは? 『【閲覧注意】ネットの怖い話 クリーピーパスタ』訳者あとがき

「クリーピーパスタ」とは? 『【閲覧注意】ネットの怖い話 クリーピーパスタ』訳者あとがき

みなさんは「クリーピーパスタ」Creepypastaという言葉をご存じでしょうか。これは英語版の怖いネット都市伝説、ネット怪談のこと。
今回、そのクリーピーパスタ界の人気YouTuberが厳選したホラーアンソロジー『【閲覧注意】ネットの怖い話 クリーピーパスタ』を刊行します。夏の夜、一人で読むには怖すぎる作品ばかり15篇を収録しました。短くてさっと読めますが、たいへん怖い……。
でも、まずは「クリ

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カルト教団の生き残り、破滅へ向かう僕の人生を聞いてくれ。『サバイバー』序章

カルト教団の生き残り、破滅へ向かう僕の人生を聞いてくれ。『サバイバー』序章

『ファイト・クラブ』原作者のチャック・パラニュークによるカルト小説『サバイバー』の冒頭を掲載します。本書は章番号と紙版のページ数が通常の書籍と逆になっている、文字通り“終わりから始まる物語”。2022年の世界にあってなお加速し続けるドライブ感をお楽しみください。

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テスト、テスト。1、2、3。

テスト、テスト。1、2、3。

きっとちゃんと動いてるんだろう。僕には

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二〇二二年の早川書房の翻訳ミステリ&NVラインナップから大注目作をご紹介!

二〇二二年の早川書房の翻訳ミステリ&NVラインナップから大注目作をご紹介!

あけましておめでとうございます。
二〇二二年に刊行予定の翻訳ミステリ&NV作品ラインナップのなかから、一部をご紹介いたします。今年の早川書房は大作・話題作がドシドシ登場!
※タイトルは一部を除き原題および仮題です。

○絶対に読んでいただきたい話題作が勢ぞろい!

『We Begin at the End』クリス・ウィタカー/鈴木 恵 訳

英国推理作家協会賞最優秀長篇賞ゴールド・ダガー賞を筆頭に

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『シリア・サンクション』あの〈暗殺者グレイマン〉の著者が認めた冒険アクション小説の新鋭、ついに登場!

『シリア・サンクション』あの〈暗殺者グレイマン〉の著者が認めた冒険アクション小説の新鋭、ついに登場!

この度、早川書房のハヤカワ文庫NVから期待の新人作家による白熱の冒険アクション小説『シリア・サンクション』が11 月17 日に発売です!

〇イントロダクション

『シリア・サンクション』(原題WITHOUT SANCTION)は、アメリカの元軍人(攻撃ヘリ〈アパッチ〉のパイロット)だったドン・ベントレーが2020年に発表したデビュー作。『暗殺者グレイマン』で知られる巨匠マーク・グリーニーが「近年

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【感想ツイート更新しました】【艦長クラウスと70年前の海へ】『駆逐艦キーリング』原作の映画『グレイハウンド』は7月10日より配信開始!

【感想ツイート更新しました】【艦長クラウスと70年前の海へ】『駆逐艦キーリング』原作の映画『グレイハウンド』は7月10日より配信開始!

脚本&主演トム・ハンクス、監督アーロン・シュナイダー、不朽の海戦小説『駆逐艦キーリング』を原作とする映画『グレイハウンド』は、本日7月10日よりApple TV+ で配信開始となります。

いちはやく『グレイハウンド』を鑑賞された、『駆逐艦キーリング〔新訳版〕』の訳者・武藤陽生さんによると……、

とのことでした! この週末は『グレイハウンド』で、クラウス艦長と70年前の北大西洋へ……!! そして

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☕⛵😴『駆逐艦キーリング』を読んだ皆様の感想まとめ/映画『グレイハウンド』は7月10日配信開始☕☕☕

☕⛵😴『駆逐艦キーリング』を読んだ皆様の感想まとめ/映画『グレイハウンド』は7月10日配信開始☕☕☕

2020年5月に40年振りの新訳刊行となった、C・S・フォレスターのベストセラー海戦小説『駆逐艦キーリング』(ハヤカワ文庫NV)。読了された皆様の熱い感想ツイート、ここではそのほんの一部をまとめました。(記事末尾に映画『グレイハウンド』の予告篇リンクも掲載しています)

C・S・フォレスター『駆逐艦キーリング』を原作とする映画『グレイハウンド』(脚本&主演はトム・ハンクス)は、7月10日よりApp

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【40年振りの新訳刊行】C・S・フォレスター『駆逐艦キーリング〔新訳版〕』に、タイムラインで盛り上がる皆様の声

【40年振りの新訳刊行】C・S・フォレスター『駆逐艦キーリング〔新訳版〕』に、タイムラインで盛り上がる皆様の声

 彼らの二千キロ先で男たちが、男たちと女子供が、ほかならぬこの船団の到着を待っていた。船団が今こうして向かっていることも、船たちの名前も、冷徹で広大な海と船とを隔てる厚さ二センチの鉄の向こう側にいる男たちの名前も知らない人々が。この船団が、そして同じようにその名を知られぬ数千の船たちが到着しなければ、待ちわびている男たち、女たち、子供たちは飢え、凍え、病に倒れるだろう。そうでなくとも、爆弾で五体が

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【『レッド・メタル作戦発動』刊行記念・連続エッセイ/冒険・スパイ小説の時代】気品あふれるロマンティシズム(池上冬樹)

【『レッド・メタル作戦発動』刊行記念・連続エッセイ/冒険・スパイ小説の時代】気品あふれるロマンティシズム(池上冬樹)

冒険アクション大作『レッド・メタル作戦発動』(マーク・グリーニー&H・リプリー・ローリングス四世、伏見威蕃訳)刊行を記念し、1970~80年代の冒険・スパイ小説ブームについて作家・書評家・翻訳家が語る連続エッセイ企画を行います。
最終回の第11回は文芸評論家・池上冬樹さんです。

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 2月中旬、女性騎手の藤田菜七子が落馬して鎖骨を骨折したというニュースをきいたとき、きつくテーピングして、翌

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【『レッド・メタル作戦発動』刊行記念・連続エッセイ/冒険・スパイ小説の時代】蜜月の果て、次へ(川出正樹)

【『レッド・メタル作戦発動』刊行記念・連続エッセイ/冒険・スパイ小説の時代】蜜月の果て、次へ(川出正樹)

冒険アクション大作『レッド・メタル作戦発動』(マーク・グリーニー&H・リプリー・ローリングス四世、伏見威蕃訳)刊行を記念し、1970~80年代の冒険・スパイ小説ブームについて作家・書評家・翻訳家が語る連続エッセイ企画を行います。
第9回は書評家・川出正樹さんです。

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 初めて読んだ大人向けの冒険小説は、父親の書棚にあったルシアン・ネイハムの航空誘拐サスペンス『シャドー81』(新潮文庫→ハ

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【『レッド・メタル作戦発動』刊行記念・連続エッセイ/冒険・スパイ小説の時代】宴の後に来た男(古山裕樹
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【『レッド・メタル作戦発動』刊行記念・連続エッセイ/冒険・スパイ小説の時代】宴の後に来た男(古山裕樹 )

冒険アクション大作『レッド・メタル作戦発動』(マーク・グリーニー&H・リプリー・ローリングス四世、伏見威蕃訳)刊行を記念し、1970~80年代の冒険・スパイ小説ブームについて作家・書評家・翻訳家が語る連続エッセイ企画を行います。
第7回は書評家・古山裕樹さんです。

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 1973年生まれで、70年代末はまだ字が読めるようになったばかり。そんなわけで、1970年代末から80年代にかけて冒険小

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【『レッド・メタル作戦発動』刊行記念・連続エッセイ/冒険・スパイ小説の時代】冒険小説、この不滅のエクスペリエンス(霜月蒼)

【『レッド・メタル作戦発動』刊行記念・連続エッセイ/冒険・スパイ小説の時代】冒険小説、この不滅のエクスペリエンス(霜月蒼)

冒険アクション大作『レッド・メタル作戦発動』(マーク・グリーニー&H・リプリー・ローリングス四世、伏見威蕃訳)刊行を記念し、1970~80年代の冒険・スパイ小説ブームについて作家・書評家・翻訳家が語る連続エッセイ企画を行います。
第5回は書評家・霜月蒼さんです。

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 1984年からの数年間、僕は十代だった。いろいろなところに旅をした。凍えるような風の吹きつける北海を行くオンボロの軍艦に乗

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