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『 高い城の男』×『パシリム』メカの衝撃はここから生まれた!USJ著者インタビュー 第4回 ゲームと映画業界の経験がUSJを形づくる!

第二次世界大戦で日独が勝利するというディック『高い城の男』を思わせる展開に、巨大メカが乱舞する『パシフィック・リム』的なビジュアルで、今年度最大の話題作ピーター・トライアスの『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』。その著者インタビューの最終回となる今回は、同じアジア系作家である『紙の動物園』のケン・リュウについて、また、ルーカスアーツなどでの経験が作品に与えた影響について、語ってもらう。

本インタビューは、『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』刊行時にcakesに掲載されたものの再録です。また、本インタビューの抜粋は、SFマガジン2016年12月号に掲載されています。(インタビュー&翻訳:中原尚哉・編集部)

(第1回「ディック『高い城の男』の精神的続篇」はこちら)
(第2回「想像力をかき立てる「メカ」イラスト作成秘話」はこちら)
(第3回「PKD×ジャパン・カルチャー=USJ!」はこちら)

——あなたの本には『紙の動物園』のケン・リュウが推薦コメント(訳注:A searing vision of the persistence of hope in the face of brutality, United States of Japan is utterly brilliant. 〔蛮行を前にして希望を持ち続ける、力強いビジョン。『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』は、まったくもって、すばらしい〕)を寄せていますね。日本のSFファンにもケン・リュウの短篇はとても好評です。彼の作品についてどう思われますか?

ピーター・トライアス(以下PT) ケン・リュウはSF界のもっとも重要な代弁者の一人ですね。彼の作品はほかに類を見ないほど見事です。ちょうど彼のThe Wall of Storms(訳注:『蒲公英〔ダンデライオン〕王朝記』の続篇)を読んだところですが、魅惑的な語り口でつづられた、これまでのファンタジイに対するイメージに挑戦する、非常に力のある作品でした。そして、まちがいなく、『紙の動物園』はこれまでに私が読んだ短篇集のなかでもっともすばらしいものの一つです。
 だから、ケンがUSJを楽しんでくれたことをきわめて誇りに思います。出版社の関係者以外でこの本を最初に読んでくれた方の一人だったので、彼の賛辞はとりわけ私にとってかけがえのないものでした。本書の出版までの道のりは大変きつかったので、正直にいうと、何度もどうしたらいいかわからなくなりました。歴史的な要素のいくつかはとても痛ましく、それを執筆する心の状態に達するのは非常に困難でした。ケンがこの本を楽しんでくれただけでなく、本の深い意味合いを受け取ってくれたことは、あのつらかった作業がすべて報いられたような気分になりました。

——あなたはソニー・ピクチャーズ・イメージワークスやルーカスアーツでテクニカル・アーティスト兼テクニカル・ライターとして働かれていたそうですが、その仕事について教えていただけますか? その仕事の経験は、あなたの小説に影響を与えましたか?

PT 私はソニーでは主任キャラクター・テクニカル・ディレクターで、『アリス・イン・ワンダーランド』『メン・イン・ブラック3』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『くもりときどきミートボール』などの映画で登場人物のテクニカルな面に取り組みました。ルーカスアーツでは、『スター・ウォーズ』のいくつかのゲームのテクニカル・アーティストを務め、またゲームのマニュアル執筆もしました。どちらの仕事も、私を人間的に成長させてくれたすばらしい経験でした。どちらの会社でも、これまでに私が出会ったもっとも才能あるアーティストたちに囲まれていました。実際、ルーカスアーツでいっしょに仕事をした友人ジェフ・ヘンフィルを介して、ジョン・リベルト(訳注:USJ装画アーティスト)にも出会っています。傑出したアニメーターのジェフはホラー映画を何本も紹介してくれて、そのいくつかはいまでは私のお気に入りです。偉大な人たちに囲まれていると、アーティストとして作家として、成長し、新しいことを試みようとし、より学んでいこうという気になるものです。カリフォルニア大学バークレー校に通っていたとき、ルーカスアーツで初めて本当の教育を受けたとよくジョークにしました。ゲームにはなにが使われるか、企業人として生きることの難しさなど、そこでとても多くのことを学びました。当時そこで出会った多くの友人は、いまでも親友づきあいをしています。
 この二つの会社からは、物語作りや美術、そしてテクノロジーがどれほど重要かを学びました。ゲームや映画のテクノロジーに慣れ親しんだことで、改変歴史世界でのゲームの形態がどんなものになるかを検討し、推測するうえで、非常に役立ちました。ある世界で実際にどのようなものであるかに対する深い知識がなければ、別の世界のそれを想像するのは難しいものです。そこで、通常のテレビやスマホやインターネットの代わりに、USJでは電卓と機界が使われました。
 またそこでは、外部の有名なアーティスト、作家、監督の講演を聴く機会にも恵まれました。私の印象に残る経験の一つは、押井守が映画『アヴァロン』を上映して、彼の映画作成の手法について質疑応答に応じてくれたことです。それはいまでも一番大事な思い出の一つです。

──最後に、日本の読者へメッセージをお願いします。

PT 日本の読者一人一人に心からお礼を言いたいと思います。ストーリーを楽しんでほしいですし、時間を割いていただくことに深く感謝します。私は日本の文学、映画、ゲームに大きく影響されて育ちました。ですから私の物語を日本の読者に読んでもらえるというのは信じられないほどの機会です。最後に、ツイッター経由で質問してくださった方々へ。残念ながら大阪のユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパンにはまだ行ったことがありません(ユニバーサル・スタジオ・ジャパンともいうそうですね)。でもぜひいつか行ってみたいですし、そのときは巨大なメカが何体も設置されていることを期待しています。
(完)


『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』待望の続篇、『メカ・サムライ・エンパイア』は4月18日に刊行します。前作『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』のように、ハヤカワ文庫SF(上下巻)と新☆ハヤカワ・SF・シリーズの同時発売です。

※書影はAmazonにリンクしています。

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