ハヤカワ国内フィクション
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本
瀬尾つかさ「ウェイプスウィード」⑦ 人類の研究者
7月5日(火)発売の瀬尾つかさ氏による海洋SF『ウェイプスウィード ヨルの惑星』。第1話の全文公開の最終回を公開します。(前回はこちら)
生き物がみな、生存と繁栄のための合理的な行動を取ると考えるのは素人がよく犯す間違いだ、とケンガセンは知っている。
逆なのだ。たまたま合理的な行動を取った個体が偶然にも支えられて生き残ってきた、ただそれだけなのだ。
自然とは淘汰の歴史だ。より合理性に優れた
瀬尾つかさ「ウェイプスウィード」⑥ 海の底で孤独に生き続けるもの
7月5日(木)発売の瀬尾つかさ氏による海洋SF『ウェイプスウィード ヨルの惑星』。第1話の全文公開その6を公開します。(前回はこちら)
まだウェイプスウィードなど生まれていなかった遠い過去、この地がまだ陸地だった時代。現在あの白い繭が存在する場所には、巨大なサーバーセンターが存在した。その後の気象変動で水没しても、頑丈につくられた基地は問題なく機能した。知識の館はそうした過去の遺産を利用してい
瀬尾つかさ「ウェイプスウィード」⑤ 『ばあちゃん』の真実
7月5日(木)発売の瀬尾つかさ氏による海洋SF『ウェイプスウィード ヨルの惑星』。第1話の全文公開その5を公開します。(前回はこちら)
シャトルから目的のデータを回収するのは、これまでの行程から比べればとても簡単な作業だった。シャトルのすぐそばまで潜水艇を降ろし、コードを伸ばし、有線で接続して内部の記録装置からデータをコピーする作業に、ケンガセンはおよそ二十分を費す。
シャトル内の状況に関す