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ハヤカワ国内フィクション

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ハヤカワ文庫JAや単行本など、国内フィクション作品の試し読み原稿や解説などを公開中。
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2018年7月の記事一覧

ヨーロッパ企画20周年、伝説のSF青春コメディ『サマータイムマシン・ブルース』刊行!



『サマータイムマシン・ブルース』上田誠
8月7日(火)発売

早川書房では、今年で20周年を迎える京都発の劇団、ヨーロッパ企画のSF青春コメディの傑作戯曲『サマータイムマシン・ブルース』を刊行します!

本作は2005年には本広克行監督によって映画化、大きな評判となりました。本年の劇団20周年にあたっての「~ブルース」の再演、そしてその15年後を描いた「サマータイムマシン・ワンスモア」の上演を

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ありがとうございます!今日のおすすめは『わたしを離さないで』です。

【祝】『阪堺電車177号の追憶』(山本巧次)が、第6回大阪ほんま本大賞を受賞!

株式会社早川書房が2017年9月に刊行した『阪堺電車177号の追憶』(山本巧次)が、この度、第6回大阪ほんま本大賞を受賞いたしました。

大阪ほんま本大賞は、在阪の書店員・販売会社社員の有志が立ち上げたOsakaBookOneProjectが主催する、「大阪人にお薦めする、大阪に関係する小説」を対象とした賞です。

本作『阪堺電車177号の追憶』は、「大阪の歴史を今もなお現役で見つめ続けている路面

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ありがとうございます!今日のおすすめは『ヒトの目、驚異の進化』です!

祝・星雲賞受賞!「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」電子版配信!

このたびSF大会にて発表された第49回星雲賞【日本短編部門】を見事受賞。2017年の短篇SFベストに輝いた、柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」の電子書籍オリジナル版を配信いたしました!

「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」
柴田勝家

《あらすじ》
彼らは生まれてから死ぬまで、VR世界のなかで暮らすという――西洋文明側の視点から記録されていく、少数民族スー族の自治区の奇妙にして

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ありがとうございます!今日のおすすめは『ヒトの目、驚異の進化』です!

百合が俺を人間にしてくれた――宮澤伊織インタビュー



新作『そいねドリーマー』の発売を記念して、2018年5月のSFセミナーにて行われた伝説のインタビュー「百合との遭遇2018」採録を公開いたします。
(9/13追記:続篇を公開しました)

宮澤伊織『そいねドリーマー』
(2021年追記:現在は文庫版が刊行されています)

■覚悟宮澤 こんにちは、宮澤伊織と申します。昨年にハヤカワ文庫から『裏世界ピクニック』を出したことで、本日ここに呼んでいただ

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ありがとうございます!今日のおすすめは『三つ編み』です。

少女ふたり、夢の中で恋人として出逢う。『そいねドリーマー』冒頭お試し版

文庫版1月7日(木)発売、宮澤伊織『そいねドリーマー』の冒頭お試し版。夢と現実の混ざり合う「添い寝SF」の世界をお楽しみください。

     1 うららかな午後の日差しに温められた教室を、定年間際の女性教師がだらだらと垂れ流す現代文のお題目が呪文のように支配していた。
 昼休みの後、腹もくちくなった女子高生たちの脳には充分な血液が届いていない。いちばん後ろの机に座っていると、あちこちでこっくりこ

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ありがとうございます!今日のおすすめは『三体』です。

『君の話』刊行記念 三秋縋インタビュウ

※本記事は2018年、単行本刊行時のインタビューとなります。

ーーーーー

――まずは、『君の話』という物語がどのようにして生まれたかをお教えください。

三秋 早川書房から執筆のご依頼を受けたとき、最初はまったく別の物語を考えていたんです。主人公は何者かに襲われてLIS(Locked-in Syndrome)になった少年で、数年間ずっと寝たきりで暗闇の中にいたのだけれど、ある日BMI(Brai

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瀬尾つかさ「ウェイプスウィード」⑦ 人類の研究者

7月5日(火)発売の瀬尾つかさ氏による海洋SF『ウェイプスウィード ヨルの惑星』。第1話の全文公開の最終回を公開します。(前回はこちら)

 生き物がみな、生存と繁栄のための合理的な行動を取ると考えるのは素人がよく犯す間違いだ、とケンガセンは知っている。
 逆なのだ。たまたま合理的な行動を取った個体が偶然にも支えられて生き残ってきた、ただそれだけなのだ。
 自然とは淘汰の歴史だ。より合理性に優れた

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ありがとうございます!『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』おすすめです

瀬尾つかさ「ウェイプスウィード」⑥ 海の底で孤独に生き続けるもの

7月5日(木)発売の瀬尾つかさ氏による海洋SF『ウェイプスウィード ヨルの惑星』。第1話の全文公開その6を公開します。(前回はこちら)

 まだウェイプスウィードなど生まれていなかった遠い過去、この地がまだ陸地だった時代。現在あの白い繭が存在する場所には、巨大なサーバーセンターが存在した。その後の気象変動で水没しても、頑丈につくられた基地は問題なく機能した。知識の館はそうした過去の遺産を利用してい

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瀬尾つかさ「ウェイプスウィード」⑤ 『ばあちゃん』の真実

7月5日(木)発売の瀬尾つかさ氏による海洋SF『ウェイプスウィード ヨルの惑星』。第1話の全文公開その5を公開します。(前回はこちら)

 シャトルから目的のデータを回収するのは、これまでの行程から比べればとても簡単な作業だった。シャトルのすぐそばまで潜水艇を降ろし、コードを伸ばし、有線で接続して内部の記録装置からデータをコピーする作業に、ケンガセンはおよそ二十分を費す。
 シャトル内の状況に関す

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人類と藻類のファーストコンタクト。『ウェイプスウィード』瀬尾つかさインタビュー

●瀬尾つかさ(せお・つかさ)
2005年、『琥珀の心臓』にて第17回ファンタジア長編小説大賞審査委員賞を受賞し、同作でデビュー。宇宙テーマSFから学園アクション、ファンタジーまで、幅広い作風とテーマで活躍し、人気を博する。著書に『約束の方舟』『クジラのソラ』『白夢(スノーミスト)』『円環のパラダイム』『くいなパスファインダー』『スカイ・ワールド』ほか多数。

『ウェイプスウィード ヨルの惑星』瀬尾

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瀬尾つかさ『ウェイプスウィード』④ 命が生まれて消える場所

7月5日(木)発売の瀬尾つかさ氏による海洋SF『ウェイプスウィード ヨルの惑星』。第1話の全文公開その4を公開します。(前回はこちら)

 翌日。メンテナンスのためにふたたび潜水艇を浜に引き上げ、厳しい日差しに晒して乾かしていると、ヨルは大真面目な顔で「次はわたしが乗る」といい出した。
「前もいったはずだ。遊びじゃない」
「わたしなら大旋回の中でもナビを受けられる」
「どういうことだ。大旋回の間、

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ありがとうございます!今日のおすすめは『ザリガニの鳴くところ』です。

第1回鰻屋大賞受賞? 7月刊行の倉田タカシ『うなぎばか』より、短篇「うなぎロボ、海をゆく」の試し読みを公開します!その④(完結)

その①はこちら

その②はこちら

その③はこちら

日本人が大好きな魚といえば、そう、アレですね。黒くて、長くて、ぬめっとしていて、でも、焼いたり蒸したりして食べるととてもおいしいあの魚。最近ニュースで絶滅の危機に瀕している、とも報道されている、そう、「うなぎ」です。

早川書房がある東京・神田には老舗のうなぎ屋さんが多く店を構えていらっしゃいますが、なんと、この夏、ついに、

「早川書房、うな

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ありがとうございます!今日のおすすめは『ヒトの目、驚異の進化』です!

宮澤伊織『そいねドリーマー』刊行記念! トーク&サイン会開催! ゲスト:草野原々

『裏世界ピクニック』シリーズも大好評の宮澤伊織先生によるSF最新作、『そいねドリーマー』が7月19日(木)に単行本で発売されます。

《あらすじ》不眠症により眠ることができない高校生の帆影沙耶は、どんな相手でも眠らせられる金春ひつじと夢の中で“恋人”として出逢う。
ひつじの先輩の藍染蘭に適性を見出された沙耶は、彼女たち〈スリープウォーカー〉の一員に加わることに。この街では、眠りの世界〈ナイトランド

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ありがとうございます!今日のおすすめは『なめらかな世界と、その敵』です

瀬尾つかさ「ウェイプスウィード」② 木星圏生まれの研究者と地球の巫女

7月5日(木)発売の瀬尾つかさ氏による海洋SF『ウェイプスウィード ヨルの惑星』。第1話の全文公開その2をお贈りします。(初回はこちら)



 精密検査には二日かかった。結果は問題なし(オールグリーン)。当然だ。プロジェクトでは細菌について細心の注意を払っている。いまの地球に不用意な菌を持ち込むことなど、政治的に不可能なのだ。だからケンガセンの身体はたっぷりと洗浄、滅菌されたうえで、密閉状態を

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ありがとうございます!今日のおすすめは『ザリガニの鳴くところ』です。