マガジンのカバー画像

ハヤカワ・ノンフィクション

530
ハヤカワ・ノンフィクション文庫や、ハヤカワ・ノンフィクションなど。話題のノンフィクション作品の解説、試し読みを公開中。
運営しているクリエイター

2017年12月の記事一覧

【大反響】イギリスの15歳の5人に1人が解けないこの問題を、あなたはどうして解けるのか? ルーシー・クレハン『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』第1章を公開〈後編〉

【大反響】イギリスの15歳の5人に1人が解けないこの問題を、あなたはどうして解けるのか? ルーシー・クレハン『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』第1章を公開〈後編〉

■前半はこちら。

旅の動機とその方法
ここまで述べてきたような事柄は、すべてどこかに書かれているものだが、それを読んでいる人は少ない。そういう情報には、各国の報告書、OECDによる国際的な分析(読みたい刊行物が次々と出されるがとても読みきれない)、さらに教育コンサルタント、学者、ジャーナリストが次々と出す批評、分析、解説等がある。いくつかは本書でも使用しているし、また本書で出したさまざまな結論は

もっとみる
【大反響】教師を旅へと駆り立てたのは、救えなかった少女の記憶。ルーシー・クレハン『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』第1章を特別公開〈前編〉

【大反響】教師を旅へと駆り立てたのは、救えなかった少女の記憶。ルーシー・クレハン『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』第1章を特別公開〈前編〉

第1章 出発! 最高の教育システムを探す旅へ

校門の脇に座っている守衛の方へと歩きながら、気がつくと、私は頬の内側を噛んでいた。ムッとするほど暑い上海の夏のせいで、せっかくのおしゃれな靴も、中がベタベタして気持ちが悪かった。私は頭の中で、わずかに覚えてきた標準中国語を繰り返した。「我是老师【ウォシーラオシ】(私は教師です)」「我是英国人【ウォシーイングオレン】(私はイギリス人です)」「我看学校吗

もっとみる
やがて哀しきワンマン・カルト 若林恵(元『WIRED』日本版編集長)

やがて哀しきワンマン・カルト 若林恵(元『WIRED』日本版編集長)

[上の写真:著者ゾーイ・フラード=ブラナー]

ファンとはいかなる存在か
~やがて哀しきワンマン・カルト~若林恵(元『WIRED』日本版編集長)

小学生のとき、中森明菜のことが好きだった。とても「ファン」だったと思う。缶ペンケースにデカデカとステッカーを貼っていたし、下敷きももっていたし、テレビで明菜が出るというと食い入るように見ていたし、アップルミュージックで改めて調べてみると、七枚目くらいま

もっとみる