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海外文芸

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#文学

【試し読み】オランダ文学界の新星が、10歳の子どもの視点から描く”歪み”──ブッカー国際賞受賞作『不快な夕闇』(マリーケ・ルカス・ライネフェルト/國森由美子訳)

【試し読み】オランダ文学界の新星が、10歳の子どもの視点から描く”歪み”──ブッカー国際賞受賞作『不快な夕闇』(マリーケ・ルカス・ライネフェルト/國森由美子訳)

その年の優れた翻訳(英訳)小説に贈られる英国の文学賞、ブッカー国際賞。その2020年の受賞作『不快な夕闇』(オランダ語題:De avond is ongemak/英題:The Discomfort of Evening)がついに日本でも刊行となりました。

『不快な夕闇』は、オランダで詩人としても活躍するマリーケ・ルカス・ライネフェルトの長篇小説デビュー作で、オランダでは28万部を突破するベストセ

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【野崎歓氏・小野正嗣氏登壇!】第1回日本の学生が選ぶゴンクール賞受賞作『うけいれるには』記念講演開催のお知らせ【3月14日(火)開催】

【野崎歓氏・小野正嗣氏登壇!】第1回日本の学生が選ぶゴンクール賞受賞作『うけいれるには』記念講演開催のお知らせ【3月14日(火)開催】

ノーベル賞、ブッカー賞とならんで三大文学賞のひとつに数えられるゴンクール賞。この賞は、作家であったゴンクール兄弟(エドモンとジュール)が築いた財産をもとに設立されたフランスでもっとも権威のある文学賞です。

日本でもフランスのゴンクール・アカデミーの委嘱を受けて、ゴンクール賞日本委員会(Comité directeur pour le Goncourt japonais)とアンスティチュ・フランセ

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「文学界の未確認飛行物体(UFO)」こと『異常【アノマリー】』の魅力を営業担当が語る

「文学界の未確認飛行物体(UFO)」こと『異常【アノマリー】』の魅力を営業担当が語る

🖊早川書房営業部 鈴木愛加

気が付けば12月。そろそろ、あなたも「2022年マイベスト本」を考えだす頃合いなのではないでしょうか。今年もたくさんの書籍が刊行されましたね。早川書房も、12月の新刊を含めると計240点の書籍を刊行したことになります。あなたの「マイベスト本」候補の中に、弊社の作品が1冊でも入っていたら万々歳なのですが、「これから選ぶよ」という方のために、私はいまこの記事を書いていま

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少女たちを商品のように扱う社会への抵抗──『グレイス・イヤー 少女たちの聖域』著者来日インタビュー

少女たちを商品のように扱う社会への抵抗──『グレイス・イヤー 少女たちの聖域』著者来日インタビュー

早川書房より好評発売中のディストピア小説『グレイス・イヤー 少女たちの聖域』。本欄では、9月に来日された著者キム・リゲットさんにSFマガジン2022年12月号でおこなったインタビューを再録します。(翻訳=大村梓/聞き手&構成=編集部)

──早川書房にようこそ! キムさんにとっては初の日本訪問だそうですね。台風直撃のなか、無事到着されてよかったです。

リゲット いま住んでいるロサンジェルスは全く

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2023年1月上旬発売! 150万部超『ノーマル・ピープル』(サリー・ルーニー/山崎まどか訳)ゲラ読み書店員さん募集のお知らせ

2023年1月上旬発売! 150万部超『ノーマル・ピープル』(サリー・ルーニー/山崎まどか訳)ゲラ読み書店員さん募集のお知らせ

早川書房から、2023年1月にサリー・ルーニーの『ノーマル・ピープル』が発売されます。発売に先駆け、『ノーマル・ピープル』のゲラを読んでいただける書店員さんを募集します。2021年に発売された『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』が話題を呼び、邦訳が待望されていた第二作を発売前に読めるチャンスです。是非、ご応募お待ちしております。

◎応募の条件

〇応募できるかた
・書店員様
・年齢、性別不問

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ロシア極東の街で姉妹が失踪。この事件が、ばらばらに生きてきた女たちを結びつけた――長篇小説『消失の惑星【ほし】』ジュリア・フィリップス

ロシア極東の街で姉妹が失踪。この事件が、ばらばらに生きてきた女たちを結びつけた――長篇小説『消失の惑星【ほし】』ジュリア・フィリップス

早川書房では、2021年2月17日にアメリカの作家ジュリア・フィリップスの長篇小説『消失の惑星【ほし】』(原題 Disappearing Earth)を刊行します。

本作は、デビュー作ながら、全米図書賞・全米批評家賞の最終候補になり、《ニューヨーク・タイムズ》をはじめ、25の媒体の年間ベストブックに選出。全米15万部突破、23言語で翻訳が決まっているベストセラーです。

◉書評・メディア露出クロ

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「すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」『コロナの時代の僕ら』著者あとがき

「すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」『コロナの時代の僕ら』著者あとがき

コロナウイルス(COVID-19)の急激な感染拡大により、EU最速で非常事態を宣言、3月10日からは全土にて外出制限を行っているイタリア。だが感染の爆発は想像を超えるスピードだった……。

イタリアを代表する小説家であり、物理学博士でもあるパオロ・ジョルダーノは、母国の混乱のさなかで何を考えたのか。世界26カ国で緊急刊行される彼のエッセイ『コロナの時代の僕ら』で綴られる切実で誠実な思索は、気づけば

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2020年春、イタリア、ローマ発。26ヶ国で緊急出版が決定した『コロナの時代の僕ら』4月25日邦訳刊行

2020年春、イタリア、ローマ発。26ヶ国で緊急出版が決定した『コロナの時代の僕ら』4月25日邦訳刊行

早川書房では、イタリアのベストセラー小説家パオロ・ジョルダーノによるエッセイ、『コロナの時代の僕ら』を4月25日に発売します。

感染爆発の予兆があらわれ始めた、2月末から3月初旬のイタリア。自らを隔離状態におき、物理学の博士号を持つ小説家が書き始めたエッセイは、世界初の「コロナ文学」と呼べる作品へと結実していきました。

本国での刊行より2週間足らずで、すでに26ヶ国での緊急出版が決定。私たち日

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【横尾忠則氏書評が朝日新聞に掲載!】現代を描くグラフィック・ノベル『サブリナ』(ニック・ドルナソ、藤井光訳)試し読み

【横尾忠則氏書評が朝日新聞に掲載!】現代を描くグラフィック・ノベル『サブリナ』(ニック・ドルナソ、藤井光訳)試し読み

グラフィック・ノベルとして初のブッカー賞ノミネートで話題になった、ニック・ドルナソの『サブリナ』(藤井光訳)。
「コミックの不可解な力を最大限に味わわせてくれる」(エイドリアン・トミネ)、「現代を描いた作品のなかで、もっとも優れている」(ゼイディー・スミス)と絶賛を集めた本書から、冒頭の6ページをご紹介します。

冒頭に登場するのは、タイトルにもなっている女性、サブリナ。彼女が親の家で留守番をして

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豪華装幀で贈るカズオ・イシグロ『日の名残り ノーベル賞記念版』好評発売中!

豪華装幀で贈るカズオ・イシグロ『日の名残り ノーベル賞記念版』好評発売中!



『日の名残り ノーベル賞記念版』
カズオ・イシグロ/土屋政雄・訳/村上春樹・解説
46判上製本 カバー金箔押し、ソフトタッチ加工
本体価格2,700円+税 2018年4月18日発売

カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞を記念して、その代表作『日の名残り』を豪華装幀版で刊行します。村上春樹さんによる解説「カズオ・イシグロを讃える」は必読です。

直筆サインが印刷された見返し

帯なし本体

少女は逃げ切れるのか? 世界を圧倒した長篇小説『地下鉄道』(コルソン・ホワイトヘッド、谷崎由依訳)、第一章全文公開!

少女は逃げ切れるのか? 世界を圧倒した長篇小説『地下鉄道』(コルソン・ホワイトヘッド、谷崎由依訳)、第一章全文公開!

ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞ほか多数の文学賞を受賞したコルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』(谷崎由依訳)がついに発売されました。発売を記念し、本作の第一章「アジャリー」を特別公開いたします。

19世紀のアメリカ南部、ジョージア州。奴隷として働く農園から逃げないかと誘われた少女コーラは、一度は断るが……。

(書影をクリックするとAmazonページにジャンプ)

アジャリ

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マーガレット・アトウッド原作ドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」配信決定

マーガレット・アトウッド原作ドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」配信決定

米Amazonで2017年に最も読まれた本、マーガレット・アトウッド『侍女の物語』。

(書影をクリックするとAmazonページにジャンプ)

ギレアデ共和国の侍女オブフレッド。彼女の役目はただひとつ、配属先の邸宅の主である司令官の子を産むことだ。しかし彼女は夫と幼い娘と暮らしていた時代、仕事や財産を持っていた昔を忘れることができない。監視と処刑の恐怖に怯えながら逃亡の道を探る彼女の生活に、ある日

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