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【試し読み】窮地に立たされた作家の苦悩をユーモアを交えながら描く長篇小説『レッド・アロー』(ウィリアム・ブルワー/上野元美訳)

【試し読み】窮地に立たされた作家の苦悩をユーモアを交えながら描く長篇小説『レッド・アロー』(ウィリアム・ブルワー/上野元美訳)

『レッド・アロー』ウィリアム・ブルワー/上野元美訳

最初に言っておきたい。いま、ぼくは幸せな気分でいる。ずっとこうだったわけではない。実をいうと、こんなことはほとんどなかった──満ち足りて楽しいと感じているときでも幸せでなかったのは、そうした気持ちはすぐにもやもやなるもので追い払われてしまうと知っていたからだ。幻想なのだと。いまのぼくが幸せなのは、あの旅がうまくいったおかげ、治療が効いたおかげだ

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『コロナの時代の僕ら』著者が語る、現代人が抱える不安の正体とは? 『タスマニア』(パオロ・ジョルダーノ)訳者の飯田亮介あとがき

『コロナの時代の僕ら』著者が語る、現代人が抱える不安の正体とは? 『タスマニア』(パオロ・ジョルダーノ)訳者の飯田亮介あとがき

イタリアの作家、パオロ・ジョルダーノの新作小説『タスマニア』が2024年1月10日より発売中です
『コロナの時代の僕ら』で知られる著者が2021年9月から書きはじめたという本作。訳者の飯田亮介氏は、本作がそれまでの作品とは大きく異なるといいます。パンデミックは何をもたらし、著者はどんな道を選んだのでしょうか。ジョルダーノの作品を日本語に訳し続けてきた飯田氏が本作の魅力を語ります。

訳者あとがき飯

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【1/29発売】自信喪失の作家が迷い込む"精神の旅"を描いた傑作長篇『レッド・アロー』(ウィリアム・ブルワー/上野元美訳)

【1/29発売】自信喪失の作家が迷い込む"精神の旅"を描いた傑作長篇『レッド・アロー』(ウィリアム・ブルワー/上野元美訳)

●書誌情報著者:ウィリアム・ブルワー
訳者:上野元美訳
解説:円城塔
判型:四六判並製
ページ数:336ページ
本体価格:2700円
発売日:2024年1月29日

●あらすじぼくはローマから高速鉄道《フレッチャロッサ(赤い矢)》に乗ってモデナへと向かっている。多額の借金を返済すべく、イタリア人物理学者の回顧録のゴーストライターをしていたけれど、失踪してしまった彼をさがし出すために。

車中でぼく

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『コロナの時代の僕ら』著者の新作小説。世界的危機と夫婦の危機のはざまで、困難を生きる姿を赤裸々に描く『タスマニア』(パオロ・ジョルダーノ、飯田亮介訳)

『コロナの時代の僕ら』著者の新作小説。世界的危機と夫婦の危機のはざまで、困難を生きる姿を赤裸々に描く『タスマニア』(パオロ・ジョルダーノ、飯田亮介訳)

早川書房は、イタリアの作家、パオロ・ジョルダーノ『タスマニア』(原題 Tasmania)を2024年1月10日に刊行します。
本作は、『コロナの時代の僕ら』の著者による小説です。世界的危機と夫婦の危機のはざまで、不安に突き動かされ、世界各地をさまようローマ在住の作家。困難を生きる姿を赤裸々に描き、国際的に高く評価される傑作です。

◆あらすじ2015年11月パリ。同時多発テロ直後の街を、ローマ在住

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2023年最後の注目作! ブッカー国際賞最終候補作『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール、宇野和美訳)

2023年最後の注目作! ブッカー国際賞最終候補作『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール、宇野和美訳)

『ブラッド・メリディアン』(コーマック・マッカーシー)、『2666』(ロベルト・ボラーニョ)を引き合いに出して評価され、スペイン語圏そして世界の文学界で絶賛された小説『ハリケーンの季節』。

著者のフェルナンダ・メルチョールは、本作の前にはジャーナリストとして、地元の暴力・麻薬に関する犯罪事件を追ったノンフィクション作品を刊行しました。本作の着想も、実際の事件から得たと言います。

そのようにして

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世界の文学界が絶賛したメキシコ発の衝撃作『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール/宇野和美訳)12月20日発売

世界の文学界が絶賛したメキシコ発の衝撃作『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール/宇野和美訳)12月20日発売

2020年のブッカー国際賞最終候補となり、英米はじめ様々な国の紙誌で絶賛された小説『ハリケーンの季節』(原題 Temporada de huracanes)を2023年12月20日に刊行します。
メキシコの作家フェルナンダ・メルチョールによる本作は、『ブラッド・メリディアン』(コーマック・マッカーシー)、『2666』(ロベルト・ボラーニョ)を引き合いに出して評価される傑作です。
現在までに34言語

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12/7発売 ”マクドナーとアイルランド演劇” 特集の全貌!(『悲劇喜劇』24年1月号)

12/7発売 ”マクドナーとアイルランド演劇” 特集の全貌!(『悲劇喜劇』24年1月号)

演劇界・映画界をリードするマーティン・マクドナー。
アイルランド人の両親を持ち、イギリス育ちである彼の演劇作品は、
どの程度「アイルランド演劇」なのか──。
『悲劇喜劇』24年1月号では、マクドナーと、ベケット以降の現代アイルランド演劇双方の魅力を、作家・作品・文化慣習の面から紐解きます。

▽掲載戯曲はこちら

・『海をゆく者/The Seafarer』
コナー・マクファーソン作、小田島恒志訳

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短い旅に出た元夫婦。思い起こされるのは過去の怒りや涙、そして確かに存在していた絆──ピュリッツァー賞作家エリザベス・ストラウト新刊『ああ、ウィリアム!』

短い旅に出た元夫婦。思い起こされるのは過去の怒りや涙、そして確かに存在していた絆──ピュリッツァー賞作家エリザベス・ストラウト新刊『ああ、ウィリアム!』

〇あらすじ
ルーシー・バートンと元夫のウィリアムは、
離婚してからも穏やかな付き合いを続けていた。

ある日、亡き母の秘密を知って動揺するウィリアムに助けを求められ、
ふたりは短い旅に出る。

家族という、時に厄介で時にいとおしい存在は何なのか。
結婚とは、人を知るとは何なのか。
静かな感慨に満ちたブッカー賞最終候補作。

〇著者についてエリザベス・ストラウト

1956年にメイン州ポートランドで

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『地下鉄道』の著者が新作で挑んだのは「ジェットコースター的展開の犯罪小説」。コルソン・ホワイトヘッド『ハーレム・シャッフル』の読みどころを語る(訳者・藤井光)

『地下鉄道』の著者が新作で挑んだのは「ジェットコースター的展開の犯罪小説」。コルソン・ホワイトヘッド『ハーレム・シャッフル』の読みどころを語る(訳者・藤井光)

アメリカ文学最高峰のピュリッツァー賞を『地下鉄道』と『ニッケル・ボーイズ』で連続受賞した小説家コルソン・ホワイトヘッド。
その新作『ハーレム・シャッフル』は、強盗ものの映画をきっかけに書かれたという。刊行後、たちまちニューヨーク・タイムズ・ベストセラーとなり、狙いどおり、魅力的なキャラクターとスリリングな展開が米国のメディアから高く評価されています。その読みどころを、訳者の藤井光氏が語ります。

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ピュリッツァー賞を受賞した『地下鉄道』の著者が放つ新作エンタメ小説! 『ハーレム・シャッフル』(コルソン・ホワイトヘッド、藤井光訳)11/21発売

ピュリッツァー賞を受賞した『地下鉄道』の著者が放つ新作エンタメ小説! 『ハーレム・シャッフル』(コルソン・ホワイトヘッド、藤井光訳)11/21発売

アメリカ文学最高峰のピュリッツァー賞を受賞した『地下鉄道』の著者コルソン・ホワイトヘッドによる長篇小説『ハーレム・シャッフル』(原題 Harlem Shuffle、藤井光訳)を2023年11月21日に刊行します。

◉あらすじ「親が悪党だからって、子も悪党になるわけじゃない。そうだろ?」

ハーレムにある中古家具店で働くアフリカ系アメリカ人のレイ・カーニー。近頃、彼の店にはガラの悪い男たちが出入り

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【11月7日(火)発売】『甘くない湖水』(ジュリア・カミニート/越前貴美子訳)「訳者あとがき」公開

【11月7日(火)発売】『甘くない湖水』(ジュリア・カミニート/越前貴美子訳)「訳者あとがき」公開

早川書房から、11月7日にイタリアの小説『甘くない湖水』(ジュリア・カミニート/越前貴美子訳)を刊行いたします。イタリアの二大文学賞、ストレーガ賞の最終候補に残り、カンピエッロ賞を受賞した、イタリアで18万部超の話題小説です。こちらのnoteでは、訳者の越前貴美子さんによる「訳者あとがき」を公開いたします。

◆あらすじ私の母は掃除婦をしながら四人の子どもを育て、障がいを持つ夫を支えた。厳しくも誇

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【2021年本屋大賞翻訳小説部門第1位】この少女を、生きてください──『ザリガニの鳴くところ』2023年12月に待望の文庫化!【祝・発売即重版】

【2021年本屋大賞翻訳小説部門第1位】この少女を、生きてください──『ザリガニの鳴くところ』2023年12月に待望の文庫化!【祝・発売即重版】

全世界で2200万部を突破し、2019年・2020年と2年連続でアメリカで一番売れた本でもある大ベストセラー小説『ザリガニの鳴くところ』(原題:Where the Crawdads Sing)。

日本でも2020年3月の刊行以来人気を博し、2021年本屋大賞翻訳小説部門第1位を受賞しました。昨年11月には映画化もされた話題作の文庫版を2023年12月に刊行しました!
文庫版の推薦は小説家の三浦し

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【11月7日(火)発売】『甘くない湖水』(ジュリア・カミニート/越前貴美子訳)書影公開のお知らせ

【11月7日(火)発売】『甘くない湖水』(ジュリア・カミニート/越前貴美子訳)書影公開のお知らせ

11月7日(火)に早川書房から、イタリアで18万部超の小説『甘くない湖水』(ジュリア・カミニート/越前貴美子訳)を刊行いたします。イタリアの文学界で最も権威あると言われる二大文学賞、ストレーガ賞の最終候補に残り、カンピエッロ賞を受賞しています。こちらのnoteでは、漫画家の森泉岳土氏に描き下ろしていただいた絵が入った装幀を公開いたします。

装画は漫画家の森泉岳土さん、装幀は須田杏菜さんです。表紙

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話題沸騰の翻訳エンタメ小説『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』(ガブリエル・ゼヴィン/池田真紀子訳)一部試し読み公開

話題沸騰の翻訳エンタメ小説『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』(ガブリエル・ゼヴィン/池田真紀子訳)一部試し読み公開

早川書房から10月6日(金)に刊行された『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』(ガブリエル・ゼヴィン/池田真紀子訳)。ゲーム制作を通してつながった男女の友情の物語です。

ある寒い冬の朝、ゲーム作りを学んでいるMITの学生セイディと、ハーヴァード大学で数学を学んでいるサムが、ボストンで再会するところから物語は幕を開けます。こちらのnoteでは、セイディとサムが駅で偶然再会し、別れる

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