
ヴァージニア・ウルフがインフルエンザ療養中に考えていたこと――「病気になるということ」新訳全文公開の反響
4月27日に公開した「病気になるということ」(ヴァージニア・ウルフ、片山亜紀訳)。とてもたくさんの反響を頂いています。本記事では、頂戴した多数のご感想から、一部をご紹介します。
100年前、インフルエンザを患ったヴァージニア・ウルフが、病気と文学について何を思い、考えていたのか――ぜひこの新訳で、ウルフの思索をいっしょにたどっていただけたらと思います。ゴールデンウィーク、お家でゆっくり読むのにちょうどいい文量です。訳者・片山亜紀さんの解説とともに、ぜひお読みください。
訳者・片山亜紀さんより
スパニッシュ・インフル・パンデミックの数年後、再・再・再度インフルに罹患したヴァージニア・ウルフが、療養中に書いたエッセイです。 https://t.co/Nybts3747a
— Aki Katayama/ 片山亜紀 (@gomphotherium) April 27, 2020
エッセイ自体はウルフ節炸裂で、知的なひねりもあって読ませるんですが、状況を色々考え合わせるとウルフ、相当にしぶとい。「病弱で死に取り憑かれた作家」というイメージは本当は違うのかも、と思わされます。
— Aki Katayama/ 片山亜紀 (@gomphotherium) April 27, 2020
ただ、本当にこれ、インフルなの?と思わせる要素はあります。でもそうだとしても、インフルの検査などない時代、ウイルスさえ見えていなかった時代で、推測するしかありません。他の可能性についても出来るだけ注で明示したので、何かお気付きの方は教えてください。
— Aki Katayama/ 片山亜紀 (@gomphotherium) April 27, 2020
個人的に、このエッセイはずっと謎だったので、今回訳出の機会がいただけて有難かったですし、少し謎に迫れたかな? と思っています。@konohanoyume さん、@miyayuki7 さん、どうもありがとうございます。どうぞ多くの方にお読みいただけますように。
— Aki Katayama/ 片山亜紀 (@gomphotherium) April 27, 2020
Twitterでの反響
ウルフがインフルエンザの療養中に書いたエッセイの訳、とてもよかった。「ワクチンも治療薬もない病気にかかったと繰り返し告げられていた人が、まさにその心身をなだめている最中にこういう文章を書いていたのだと思うと、勁(つよ)さがもらえるのは確かである。」(訳者解説)https://t.co/6IZHCeJ5Hc
— 小川公代 (@ogawa_kimiyo) April 28, 2020
大変読みやすい訳で感情移入しやすい。訳者解説も何から何まで気が利いていて、たとえば病に伏す「横臥する者」が健康な「直立人たち」を鋭く捉える視点や、その場限りの同情などより「脳内妄想のほうが楽しい」というウルフの患者当事者の思い。まさに織物のようなしなやかな「勁さ」が伝わってくる。
— 小川公代 (@ogawa_kimiyo) April 28, 2020
ウルフは、病人は言語化しにくい苦しみを経験しているからこそ、他者の苦悶に思いを馳せることができると考えているので「同情」という行為は批判していない。片山先生がご指摘されている大変重要なウルフの「同情」批判は「家庭の天使」批判にも通じる。この論文はオススメ↓https://t.co/hiilT2VnPe
— 小川公代 (@ogawa_kimiyo) April 28, 2020
キンバリー・コーツによれば、ヴァージニア・ウルフの母ジュリア・スティーヴンが綴った"Notes from Sick Rooms”では、同情する看護者、ケア従事者である女性を「家庭の天使」および精神分析医のような権威者として肯定していたらしい。娘のウルフはそのステレオタイプ的な同情に反逆したのだという。
— 小川公代 (@ogawa_kimiyo) April 28, 2020
ヴァージニア・ウルフの1926年のエッセイ「病気になるということ」を読んだ。「つねに同情を受け、つねに誰かがいて、つねに理解されるというのは耐えがたい。なるほど、健康なときには親切そうに見せかけないといけないし、(中略)病気になるとこうした見せかけはおしまい」https://t.co/sweEh26D9u
— mariekko (@stem910) April 27, 2020
病気はいいぞ、という内容なのが意外だった。麻酔も抜歯もしたことないんだけど、天使やハープ弾きに囲まれたりするものなのか。註でインフルエンザの治療法として抜歯が行われていたことを知って驚いた。歯がなくなっちゃう…「横臥する者たち」になった時のために、詩集を何冊か用意しておこうかな。
— mariekko (@stem910) April 27, 2020
面白かった。しかしあらためて、ウルフは人間が作ったもののなかで生き、考える人、そんなにインフルエンザに何度もかかりながら、肉体の欠落を抱えてるんだなと発見もあった。
— 中村佑子 Yuko Nakamura (@yukonakamura108) April 29, 2020
ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」片山亜紀訳 https://t.co/7ZubIg7oal
ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」(片山亜紀訳/早川書房) 読了
— つばめ (@tsubame_ku) April 27, 2020
インフルエンザに罹患したウルフのエッセイの新訳と訳者解説。
文学が病を語ることの難しさ、健常時とは異なる文学の感受など、言葉を超える病気という体験を言葉でもって捉えようとした名随筆。https://t.co/q2Kk05Ibl6
「病気になるということ」を読んでレベッカ・ソルニットの「ウルフの闇 説明しがたいものを受け入れること」を読み返す。ウルフが日記に書いた「未来は暗い。思うにそれが、未来にとって最良の形なのだ」という言葉、ネガティブ・ケイパビリティの話、道をさまよい歩くことで生まれるものについて。
— maki takenaka (@l_u_l_u) April 29, 2020
ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」
— ジョージ (@jo2geor2) April 29, 2020
つかみが最高だった。
「考えてみよう。病気とは誰でもかかりうるものである。魂にもたらされる変化はとてつもない。」
病気という肉体に降りかかる変化(ままならさ)が魂に大きな変化をもたらすという視点が新鮮。https://t.co/Fz8LVTOz6A https://t.co/yqLmTNMGl2 pic.twitter.com/QtdVrtraw1
すっごくおもしろかった。とくにセクション2。いまフリーで公開していただき本当にありがとうございます🌹
— 女と本のあるふうけい (@funnyface0422) April 30, 2020
ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」片山亜紀訳/訳者解説公開|Hayakawa Books & Magazines(β) @Hayakawashobo #note https://t.co/E1BVTol3Ld
カミュの「ペスト」も良いけど、ヴァージニア・ウルフの「病気になるということ」もね。ついでにガルシア=マルケスの「コレラ時代の愛」もね。ペストにインフルエンザ、コレラと来て、ますます新型コロナウィルス文学の登場が待たれます。 https://t.co/3fxKpx1C9D
— 寄野とばり(大脇一輝) (@wacky0915) April 29, 2020
片山さんの名訳で、ウルフの、まさに今読みたい言葉!!
— ふぇみん (@femin1946) April 30, 2020
ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」片山亜紀訳①/新訳公開|Hayakawa Books & Magazines(β) @Hayakawashobo #note https://t.co/RvyZRaU8Ak
なるほど、健康なときには親切そうに見せかけないといけないし、努力を続けなくてはならない――人づきあい、文明化、分かち合い(...)といった努力を。病気になると、こうした見せかけはおしまい。
— 🥩tosiaki tamura🐷 (@qwertett) April 27, 2020
ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」新訳公開|#note https://t.co/hi9r1MqArm
ミスマガ7月号に先駆けて公開された、ヴァージニア・ウルフ『病気になるということ』片山亜紀さんによる新訳&解説を読んだ。https://t.co/xJ5s8v0CuJ
— ムチコ (@muchipuri) April 27, 2020
「すべての人の中に未踏の森が、鳥たちすら降り立ったことのない雪原がある。そこを私たちは独りでゆくのであり、そのほうがいいと感じている。」
いわゆるスペイン風邪の大流行期(ウルフ自身も何度も罹患している)に書かれており、病んだ状態(横臥する者たち)のもつ特別で鋭敏な感覚に着目し、己のうちにある広やかな未知の世界は自分だけが手にすることができる、そこには書物をじっくり読むことで到達することができる、と励ますような文章
— ムチコ (@muchipuri) April 27, 2020
急激に変調する病に実際に罹患していたらそんな悠長な心持ちではいられないというかそれどころじゃないと思うけど、今この不安な環境にいる状況を「病む」と捉えるならば、今だけの特別なアウェアネスというものもあるのかもしれない。例えば過去に読んだ本が違うふうに捉えられたりするのではないか
— ムチコ (@muchipuri) April 27, 2020