
芦沢央が描くビデオゲームの世界。赤野工作による「ゲーマーのGlitch」解説!
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本日ご紹介するのは、作家・赤野工作さんによる「ゲーマーのGlitch」解説です。書店員さんの応援コメントとともにご一読ください。
「ゲーマーのGlitch」解説:赤野工作

救いのある話なんですよね、この作品。ビデオゲームを最速で攻略する遊び〝RTA〟の大会を描いた話なんですけど、多くの人にとってRTAってのは大抵「最果て」にある遊びなんですよ。ゲームがどれだけ好きでたまらなくても、ゲーマーはゲームを遊ぶことしかできない。だから何度もプレイを繰り返すうち、かつて好きだったはずの演出や遊び方をバグ技で無視したり壊したりしてしまうこともある。RTAってのは、そういう繰り返される輪廻の「最果て」にあるはずの遊びなんです。でも、この話に出てくるゲームにはとある重大なバグがあって、そのバグ技によって作中世界のRTAには「「最果て」の次」が存在している。言わば、輪廻からの解脱です。面白いでしょ?……いや、輪廻から逃れられるから救いがあるって言いたいわけじゃないんです。RTAに手を出す人なんて、むしろ嬉々として輪廻に執着してる人の方が多くて。私だって、この作品がゲームにおける「「最果て」の最果て」を描いてくれたからこそ救いがあると感じてるクチですから。
書店員さんからの応援コメントをご紹介!
どの短編も人間の狂気のようなものが感じられ、ぞくぞくするのですが、読み進めていくうちに高揚感が高まり、いつの間にか夢中になって読んでいました。どれも秀逸な物語ですが「ゲーマーのGlitch」がスピード感があり、本物の実況を見ているようでとても面白かったです。芦沢先生の違った一面を見ることのできる最強の短篇集です!!
(フタバ図書TSUTAYAGIGA祇園店 山崎美代子さん)
SF要素もありながら、いつか現実でも起こりうるんじゃないかと思えるくらいの作り込まれた設定と発想がただただすごいです。
こんな結末が待っていたか!という心地よい驚きが毎話あり、どんでん返し好きにはたまらない短篇集でした!
(紀伊國屋書店大手町ビル店 松永春乃さん)
今までほぼゲームをしたことのない私ですら、ゲーム実況がめちゃくちゃ面白かったのでこれはゲーム好きにはたまらないと思います。よくこんなの思いつくなぁ、どんな角度から物事を見ているんだろうの連続。どんな物も小説にしてしまえるのでは?!と著者の無限の可能性を感じてしまい、他の作品ももっともっと読みたくなりました。
(田村書店吹田さんくす店 渡部彩翔さん)
現実離れした設定に鋭い心理描写が緊張感をもたらしドキドキしながら読みました。追い詰められていくようなこの空気!ハッとする展開に芦沢央さんらしさを感じます。とてもおもしろかったです。
(水嶋書房くずはモール店 井上恵さん)