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新世代の海外SF傑作選、ついに始動!『2000年代・2010年代海外SF傑作選』~刊行にあたって~

SFマガジン2020年6月号は久しぶりの英語圏SF受賞作特集をお送りしました。お楽しみいただけましたでしょうか?

じつはこちらの編集後記にて、ちらりと告知をさせていただきました。

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そうです、なんと『2000年代・2010年代海外SF傑作選』の刊行が決定しました! 編集を担当するのは、SFマガジン6月号の監修も担当された橋本輝幸さんです。
小川隆さんと山岸真さんが編まれた『80年代SF傑作選』、山岸真さんが編まれた『90年代SF傑作選』に続く、待望の年代別アンソロジーとなります。刊行は2020年内予定!
本マガジンでは、刊行にいたるまでの道のりをドキュメンタリー形式(?)でお送りします! ぜひお楽しみに。

今回は刊行にあたって、監修者の橋本輝幸氏からいただいたコメントを掲載します。


刊行への意気込み
橋本 輝幸

 今年、ハヤカワ文庫SFはちょうど創刊50周年を迎える。この節目の年に、21世紀の海外SF傑作選をお届けしたい。2000年代と2010年代に二分冊の予定だ。
 ここでまず、文庫SFの歴史と共に、年代別SF傑作選の先達を振り返る。

 1945年 早川書房創立。
 1970年 ハヤカワ文庫SF創刊。当時の名前はハヤカワSF文庫。
 1992年 ハヤカワ文庫SFから小川隆 & 山岸真編『80年代SF傑作選』が刊行された。日本で独自に編まれた上下巻の海外SFアンソロジー。
 2002年、山岸編の『90年代SF傑作選』上下巻が刊行された。

 それから18年が経つ。
 ハヤカワ文庫SF創刊50周年。この節目の年に、SFマガジン掲載作を中心としたアンソロジーを編み、海外SF紹介を再起動したい。もちろん初めて邦訳される作品も入っているので、ご期待いただきたい。
 また、これまでSF小説に、あるいは海外SFにさほど縁がなかった読者のために、今回の傑作選にはいくつかの仕掛けを用意している。その全貌はここ(note)で今後少しずつ情報公開していく予定だ。最近SFを読み始めた人、たまにSFを読む人、いつもSFを読んできた人、そのすべてに手を差し伸べるような本にできればと思っている。

 さて、そもそも筆者はどうしてアンソロジーを編むことを引き受けたのか。ひとことで言えば『2010年代SF傑作選』1、2巻を編まれた大森望さん、伴名練さんから、ふいにバトンが飛んできたからだ。詳細は『SFが読みたい! 2020年版』掲載の「2010年代ベストSF30―2010年代総括座談会」と「SFの歴史を継いでいくこと。ベストSF第1位記念・伴名練インタビュー」をご覧ください。
 しかし何より、私が引き受けたのは、一読者としてもっと多くの海外SF短篇を読む機会を求めているからである。日本の読者に海外SFを届ける道筋を定期的に整備しなければ、道が埋もれていくという危惧があった。

 この文章を書いた前の週、SpaceXの宇宙船クルードラゴンが打ち上げられ、民間企業として初めて宇宙への人員輸送を行った。米国産ロケットは9年ぶりの打ち上げだ。私は、米国SF・ファンタジイ作家協会が主催するネビュラ賞の年次大会をオンラインで観覧しつつ、Twitterを見つつ、夜明けにいろんな人たちと共に打ち上げの瞬間を目撃した。洗練されたデザインセンス、現実味を欠くほど美しく安定した船内映像、ファルコン9ロケットの一段目ブースターがあまりにスムーズに洋上の台に戻ってくる様子。私が今の宇宙開発を何も知らなかったことがわかった。
 やはり、たまに打ち上げなければ、宇宙に行けることを広く一般に知らしめられないのではないか。これは比喩である。
 私はこの海外SF傑作選企画は始まりにすぎないと思っている。有人飛行の前の無人飛行テストだ。ここから、他の本に手を伸ばす人や、自分の創作のインスピレーションを得る人や、海外SFの発掘や紹介を目指す人が現れることを期待している。
 この世のどこかに、あなたの目と能力だからこそ探し当てられるSFが埋まっているかもしれない。国内から海外にまで対象を広げれば、既存のSFに満足していないあなたにもぴったりフィットするSFがあるかもしれない。また、今後、真の――"海外"がごく少数の言語圏を指すのではない――海外SF傑作選を生むためには、もっと各言語と各国のSF有識者が必要だろう。ハードSFからジャンルの境界に身を置くようなSFにまで目配りするには、個人の力はあまりにはかない。それだけSFの裾野は広がっている。
 私はSFが読みたい。私は新しく面白いSFが読みたい。あなたはどうか?

ありがとうございます!今日のおすすめは『息吹』です。
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