【3/18発売】マッカーシー文学の集大成──『ザ・ロード』の巨匠最後の二部作『通り過ぎゆく者』『ステラ・マリス』(黒原敏行訳)
●喪失と絶望を描き切ったアメリカ文学の巨匠が放つ『通り過ぎゆく者』
あらすじ:
1980年。ルイジアナ州の沖に小型飛行機が沈んだ。サルベージダイバーのボビー・ウェスタンは、海中の機内で9名の死者を確認する。だがブラックボックスがなくなっており、彼は10人目の乗客がいたのではないかと推測する。
この奇妙な一件の後、彼の周囲を怪しい男たちがうろつきはじめる。徐々に居場所を失った彼は、追われるように各地を転々とする。
テネシー州の故郷の家、メキシコ湾の海辺の小屋、雪に閉ざされた古い農家――原爆の開発チームにいた父の影を振り払えないまま、そして亡き妹への思いを胸底に秘め、苦悶しながら。
●『通り過ぎゆく者』の裏面を描いた異色の対話篇『ステラ・マリス』
あらすじ:
1972年秋。20歳のアリシア・ウェスタンは、自ら望んで精神科病棟へ入院する。医師に問われ、彼女は語る。異常な聡明さのため白眼視された子供時代。数学との出会い。物理と哲学。狂人の境界線。常に惹かれる死というものについて。そして家族――原爆の開発チームにいた物理学者の父、早世した母、慈しんでくれた祖母について。唯一話したくないのは、今この場所に彼女が行き着いた理由である、兄ボビーのこと。
静かな対話から孤高の魂の痛みと渇望が浮かび上がる、巨匠の遺作となる二部作完結篇。
●コーマック・マッカーシー
●既刊詳細
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『通り過ぎゆく者』『ステラ・マリス』は3月18日に早川書房より刊行予定です。