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本日ご紹介するのは、作家・宮内悠介さんによる「閻魔帳SEO」解説です。書店員さんの応援コメントとともにご一読ください。
「閻魔帳SEO」解説:宮内悠介
もしも死後の世界があったら。そしてそれが、実際に天国のような場所から地獄のような場所まで、階層をなした構造であったなら。さらには、もし生前から自分自身の「閻魔帳」が見え、そこに書かれている罪業や善行を見ることができたら──。「閻魔帳SEO」は、そんなifの世界を描いた短篇だ。
人々は死後の地獄行きを回避すべく、閻魔帳のアルゴリズムをハックし、積むべき罪業と善行の最適化を試みはじめる。「僕」とその指導係、クマールが勤めるのは、そうした最適化作業を請け負うSEO企業だ。閻魔帳の最適化は地獄行きに直結する罪業なので、おのずと業務はハード、業態はブラックなものとなる。「僕」はギャンブルで借金を作って仕方なく勤務しているし、指導係のクマールも、何やらわけありの様子だ。優秀かつ冷酷にさまざまなトラブルシューティングにあたるクマールと、それに振り回される「僕」の、笑いありペーソスありの好篇だ。
書店員さんからの応援コメントをご紹介!