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お待たせしました! 新刊発売中、『問題解決力がつく数学プロブレム』に挑戦(第5問解答篇)

はやぶさ2号のタッチダウン、快挙です。なにせ3億キロの彼方ですからね。この驚嘆すべきテクノロジーも、ロジックの基盤なくしてはありえません。2月20日に発売となった弊社刊、『問題解決力がつく数学プロブレム』のなかから、そうした論理力養成につながる興味深い「難問」をいくつか紹介しています。

さて、先に問題のみお知らせしました、第5問予算10億ドルの宇宙競争戦略」の解答をご紹介しましょう。こちらです。

第5問 解答
 ロシアのエンジン1基(4億ドル、200日の短縮)と、イオンエンジン3基とその分のキセノン燃料(合計4億5000万ドル、150日の短縮)を購入し、燃料タンク3本分の軽量化(1億5000万ドル、75日の短縮)をおこなえば、10億ドルの費用で、ラグランジュ点までの日数を425日短縮できる。これが正しい答えに思える。確かに、最短日数で到着する方法はなにか、という質問なら、これが正しい答えだ。
 しかしここで目指すのは、ラグランジュ点に一番乗りすることだ。先ほどの選択肢でいけば、競争相手も同じものを買えるので、あなたの有利にはならない。
 正しい答えの1つはこうだ(これとは違う答えはいくつもあって、同じように正しい可能性がある)。ロシアのエンジン2基(8億ドル、300日の短縮)、イオンエンジン1基とその分のキセノン燃料(合計1億5000ドル、50日の短縮)、世界中に残っているキセノン2万5000kg(5000万ドル)を買えばいい。つまり、あなたはキセノンを買い占めるべきなのだ。到着は350日早くなるだけだが、競争相手はいくら頑張っても、ロシアのエンジン1基を買い、タンク4本分の軽量化をして、300日短縮するのが精一杯だ。あなたは間違いなく、競争相手より少なくとも50日早く到着する。
 ありあまるキセノンを手中に! 長寿と繁栄を。(熊谷玲美訳)

「何をしたいのか」は最後まで見失ってはいけない、ということでしょうか。

次回、第6問問題篇の公開は2月26日の予定です。お楽しみに。

問題解決力がつく数学プロブレム』(オリヴァー・ローダー編、熊谷玲美訳、本体1600円+税)は、弊社より好評発売中です。

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