あなたもいつのまにか「論理脳」になっている! 『問題解決力がつく数学プロブレム』に挑戦(第5問問題篇)
いよいよ明日20日弊社より発売の、『問題解決力がつく数学プロブレム』より、珠玉の難問をご紹介しております。#538jp にツイートで解答を寄せてくださる方々はじつに無造作に解いてらっしゃるので、心強い限りです。
では、第5問を紹介しましょう。こちらです。
第5問 予算10億ドルの宇宙競争戦略
2080年。あなたは宇宙輸送会社のCEOだ。会社の主任科学者があなたに、会社が保有する宇宙探査機が太陽と木星のラグランジュ点(2つの天体の引力が釣り合う点)で異星人の人工物を発見したと告げる。どの会社よりも先にそこへ到着しなくては! しかし、この話は間違いなくすぐに外部へ漏れるので、短時間のうちに重要な決定をしなければならない。
流動性の高い資金さえあればだれにでも入手できる、標準的なテクノロジーを使う場合には、有人ロケットをすばやく建造して、その人工物に到着するのに1600日かかる。しかし非標準的なテクノロジーを使えば、時間を短縮して競争に勝つことができる。会社の経理担当者によれば、最高で10億ドルの融資ならすぐに受けられるということだ。
購入できる非標準的なテクノロジーには、以下のようなものがある。
1 ロシア製大型エンジン。世界に3基しかなく、ロシア人は1基4億ドルと言っている。1基買えば、ロケットの飛行時間を200日減らせる。2基購入すれば、ロケットの貨物を半分に分けられるので、さらに100日の短縮になる。
2 NASAのイオンエンジン。1基1億4000万ドルするこの大型エンジンは、世界に8基しかない。1往復分の燃料として、1基あたり5000kg のキセノンを消費する。世界全体で販売されているキセノンの量は3万kg だ。価格は1kg あたり2000ドルなので、5000kgでは1000万ドルになる。つまり、エンジン1基を購入し、キセノン燃料を満タンに入れると1億5000万ドルになる。このエンジン1基で50日間短縮できる。
3 貨物の軽量化。ラグランジュ点からの帰還用には燃料タンクが4本必要だが、5000万ドル払えば、そのうちの1本をミッション開始前に送っておける。それによってロケットの貨物が軽量化され、到着までの日数が25日短縮される。
太陽と木星のラグランジュ点に一番先に到着するために取るべき最善の戦略はなんだろうか?
(熊谷玲美訳)
解けた、と思われるかたは、ハッシュタグ、 #538jp をつけてツイッターでつぶやいてみてください。
解答は2月22日に公開の予定です。お楽しみに。
『問題解決力がつく数学プロブレム』(オリヴァー・ローダー編、熊谷玲美訳、本体価格1600円)は、弊社より2月20日発売予定です(ここでご紹介する問題と解答が収録されますが、内容や文章は多少改変されることがあります)。