そして夜は甦る2018

原尞の伝説のデビュー作『そして夜は甦る』全文連載、第25章

ミステリ界の生ける伝説・原尞。
14年間の長き沈黙を破り、ついに2018年3月1日、私立探偵・沢崎シリーズ最新作『それまでの明日』を刊行しました。

刊行を記念して早川書房公式noteにて、シリーズ第1作『そして夜は甦る』を平日の午前0時に1章ずつ公開しています。連載は、全36回予定。

本日は第25章を公開。

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『そして夜は甦る』(原尞)

25

 私はスクリーンを交錯する光と色の幻影を眺めながら、レインハットの男の申し出に耳を傾けていた。要するに、彼と彼の背後にいる怪文書の依頼者にとっては、怪文書の件での告発を免れることができればいいので、依頼者はそのための出費は覚悟の上だと言うのだ。現に佐伯ひとりに一億という金を出すつもりだった。狙撃者──と思われる男──を私が同伴して一枚加われば、何もかもが好転するというわけだ。佐伯氏がどうしてもジャーナリストとしての成功にこだわるなら、狙撃者と狙撃事件の首謀者を告発させて、怪文書の依頼者から引き出す一億プラス・アルファを分配すればいい。彼がそんなものにこだわらなければ、われわれは狙撃事件の首謀者と怪文書の依頼者という二本の金蔓を掴むことができる。そのときは狙撃者も仲間として扱えるし、そのほうが首謀者にかける圧力も大きくなる。富は低い所から高いほうへ流れるのが鉄則らしいが、ほんのちょっとその流れを変えてやるのも悪くない、云々。
「どうかね?」と、レインハットの男は申し出の話を結んだ。
「うまい話ではあるな」と、私は言った。「だが、二、三疑問な点がある」
「訊いてくれ。答えられることには答えよう」
「佐伯氏は、何故その〝協力者〟なる男から直接首謀者の名前を訊き出そうとしなかったんだ? 少し強硬な手段をとれば不可能ではなかったはずだ」私はその理由を知っていた。記憶喪失者からは何も訊き出せないからだ。
「佐伯氏は、それを最後の手段と考えていたようだ。〝協力者〟は非常に用心深い上に狙撃に使った銃を所持しているので、簡単にはこちらの思い通りにはできない。相手の自由を奪う方法も考えてはみたが、おいそれと事件のことを白状するとは思えない。長期間彼の身柄を拘束しておくことなど自分にはできない。万一首謀者の名前も何も訊き出さないうちに逃げられたりすれば元も子もなくなる。だから、無理はしなかった、と言っていた」彼は、私がうなずくのを見て、言葉を続けた。「それに、彼を警察に突き出しても、事件の首謀者を突きとめることを警察に任せたのでは、ジャーナリストとしての功績は半減する。佐伯氏は飽くまでも自分ひとりの手で事件の全貌を暴くつもりだったようだ。そして、現に誰の手も借りずに、こうして事件の首謀者を突きとめたじゃないか、とおっしゃる。彼はいまだに怪文書の依頼者を狙撃事件の首謀者と信じているからね。確かに、すべてが彼の思惑通りだったら、かなりセンセーショナルな報道になったろう。今ごろは、きっとマスコミの寵児さ……残念ながらそうはならなかった」
「もう一つ訊こう」と、私は言った。「〝協力者〟なる男を押さえることがそんなに大事なら、あんた方は佐伯氏の身柄を拘束した木曜日以降、当然彼のマンションを監視していたのだろうな?」
「Xたちがだろう? もちろんだ。その日から三日間ね。あのマンションの構造は、あのビルのあの階に誰かを配置しないと佐伯宅のドア口が見張れないので苦労した。顔を知らない者をチェックするためには、あのマンションのドアに近づく人間をじかに見張るしか方法がない。佐伯氏の周囲の人間の反応次第では、いつ警察の訪問を受けてもおかしくない状況だから、マンションの中で待機するのは問題外だった。結局、翌日には周囲の住人に怪しまれ、翌々日の夜中には警察に通報される始末で、見張りは非常階段から逃げ出すのがやっとだった」
 彼らの目当ての男が、佐伯のマンションと私の事務所を往復したのは、月曜日のことだった。一日余の差で彼らは獲物を捕らえそこなったことになる。
「そこで──」と、レインハットの男は話を続けた。「Xたちは、再度佐伯氏から〝協力者〟の居所を訊き出すことにした。彼は決して自分の住居を教えようとはせず、連絡は常に一方的だったと、佐伯氏は主張していたんだがね。それが事実かどうか無理にでも確かめる必要があった。つまり……Xとしては非常に不本意ではあったが、佐伯氏に少々痛い思いをしてもらわなければならなかった」
「何をしたんだ?」と、私は訊いた。声を荒だてないようにするのに苦労した。
「いやいや、大したことじゃない。ほんの指先にね。痕が残るほどのこともないんだ。でも、〝協力者〟の居所を知らないというのは事実らしく、お互いに不愉快な思いをしただけだったよ。数カ月の付き合いがあって連絡先も教えないというのは不自然だが、逆にそういう用心深さこそ協力者の正体を証明していると言えるだろう」
「確認しておきたいのは、それだ」と、私は言った。「協力者イコール狙撃者であるという佐伯氏の主張を、あまりにも安易に受け入れてはいないか。本人の自白がない以上、よほどの確証がなければならない。彼を引き渡す役目をやらされるからには、土壇場で狙撃者というのは間違いだった、なんて茶番劇は願いさげにしたい」
 彼はうなずいた。「疑えばいくらでも疑えるさ。とくに、彼が一億の金を要求したときは、胡散臭い感じがしたよ。しかし、だからといって佐伯氏を無視するわけには行かなかった。ほうっておいて、いきなり怪文書の発行者だとか狙撃事件の首謀者だとして告発され、それから慌てても後の祭りだからね。結局、Xたちとしては半信半疑ながらも佐伯氏のペースに合わせて折衝を続けるしか方法がなかった。ただし、それも今朝までの話だがね」
「今朝までとは、どういう意味だ?」
「説明しよう。今日の午後一時には新宿駅で〝協力者〟に会えるはずだった。だろう? その前に、彼が狙撃者であるという、もう少しましな確証を得ておきたかった。Xたちは午前中に佐伯氏を相手に一芝居打ったんだ。「佐伯さん、お宅の話は信じられない。狙撃事件の犯人は怪文書の女性の弟で、他に主犯や首謀者がいるとは考えられない。お宅が一億の金目当てにでっち上げた嘘に違いない。われわれとしてはお宅に静かにしていてもらえば、怪文書の件が露見することもないし、狙撃事件も警察の発表通りで片がつくだろうから、この騒動もここらでお開きにしよう」そう言い渡して、実際に彼をどこかへ運び出す準備に取りかかってみせたんだ。それでようやく、佐伯氏は〝協力者〟に関して調べたことの大半を喋ってくれた。聞きたいかね?」
「拝聴しよう」と、私は答えた。
「佐伯氏が〝協力者〟なる男に最初に会ったのは、なんと八年前のことで、彼が〈朝日〉に入社した年のことだというんだ。驚いたろう? ちょっとした因縁話だよ」
 海部雅美の話では、八月の末に中野の小料理屋で二人が出会ったとき、佐伯は知っている人間に会ったように挨拶しかけた、ということだった。よく似た別人と勘違いしたのだと言ったのは、嘘だったのだ。
「佐伯氏の記者としての初仕事は、モントリオール・オリンピックを間近に控えて〝異色のオリンピック候補〟という取材だったそうだ。〝協力者〟は射撃のエアピストル、スポーツピストルの両部門の有力候補で、その年の全日本選手権ではそれぞれ優勝と準優勝を果たしているということだ。異色というのは、彼の職業が警察官でも自衛官でもなく、射撃クラブや体育大学にも無縁の、売れないジャズ・ピアニストだったかららしい。その取材の下準備のときに、佐伯氏は見習いとして先輩記者に同行して、短時間彼に会った。向こうが佐伯氏を憶えていないのも無理はない。だが、翌週に予定されていた取材は実際には行なわれなかった。〝協力者〟はピストルの暴発事故に遭って大事な人差し指を失い、オリンピックどころかろくに引き金も引けない人間になっていたんだ。暴発事故は、ある映画のプロダクションが射撃指導と腕から先の吹き替えのために彼を雇い、その撮影現場で起こったのだという噂があった。しかし、アマチュアの規定に触れるためか、本人が自分の過失と主張するし、射撃協会は自分のところの所属者でもないので無視するしで、結局大した話題にもならなかった。今のように写真週刊誌がウの目タカの目という時代でもなかったからね。その噂の映画プロダクションの責任者で、暴発した拳銃──使用されたのは本物の拳銃だったという噂もあった──の所有者が誰かは想像がつくだろう?」
「狙撃事件の被害者の弟」と、私は言った。
「ご名答。佐伯氏にとっては初仕事の相手だったので妙に気になって、彼が別の指を使ってだか左手だかで射撃を続けているとか、アメリカに渡って九本指のピアニストとして話題になっているという噂を耳にした憶えがあるらしい。その彼を再び目撃したのは、今年の夏だった。彼は、狙撃事件の被害者になる人物の選挙演説を聞く聴衆の中に紛れ込んでいたそうだ。しかも、別々の演説の場所で二度も見かけた、と言う。佐伯氏がどこかの遊軍記者として働いていたときらしいが、肝腎の狙撃のあった日は、仕事を辞めていて現場にはいなかったそうだ。その頃はまだ〝協力者〟と狙撃事件を直接結びつけて考えてはいなかったらしい。そして、八月の末に中野のある料理屋でまたしても彼に出会った。佐伯氏に言わせると、「この偶然が、二人にとっては運命的なものだった」ということになる」
 その先の話は、海部雅美から聞いたものとほぼ同じだった。相違点は、佐伯氏が〝協力者〟の記憶喪失を隠すために、事実に多少手を加えて話したと思われる個所だけだった。
「それから、二人の不思議な付き合いが始まるわけだ」と、彼は言って、レインハットを脱いだ。意外にも、白髪混じりの豊かな髪が現われた。
「最後に、確証と言えるものをご披露するよ」と、彼は自信ありげに言った。「佐伯氏が話してくれた〝協力者〟に関する調査結果は、すべて彼が狙撃者であることを証明していると言っていいが、中でも彼の妻子に関するものが決定的だから、それを報告しよう。彼は六年前に渡米し、ジャズ・ピアニストとして生活するあいだに、向こうでアメリカ人女性と結婚し、二人の子供が生まれている。去年の暮れに、彼は健康を害して妻子と共に帰国した。医師の診断によれば、彼の病気は手術不能の悪性の脳腫瘍で、長くて二年短くて一年の命と宣告されている。狙撃事件の直前に、彼は強引に妻に離婚を同意させている。そして、数日後には妻子とも半ば強制的にアメリカに帰国させた。七月十日の日付で、彼は離婚した妻宛てに日本円にして約一億四千万円の慰謝料を払い込んでいる。以上は佐伯氏がアメリカにいる離婚した妻と彼女の口の軽い母親から直接訊き出したことで、彼女は現在離婚した夫の行方が分からなくて非常に心配しているらしい。彼の日本でのわずかな知人はそういう事情は一切知らないらしく、彼は家族と共に今年の春にアメリカに戻ったと思っている……どうだね? これを聞いて」
「それが事実だとすれば、その男があの狙撃事件に関わっている可能性は非常に高いだろうな。しかし、その佐伯氏の調査の裏付けは取ったのか」
 彼は苦笑した。「お宅は私より懐疑的な男だね。残念ながらまだだ。あの佐伯氏が調べればすぐに底の割れるような嘘をつくだろうか。最後の抵抗というつもりか、佐伯氏は〝協力者〟の本名をどうしても教えなかった。そうこうするうちに約束の時間になったというわけだ。こっちとしては〝協力者〟ご本人に会えるつもりだったから、あとはじかに確認するのが一番だと考えていたのだ。とんだ見込み違いだったがね。しかし、手掛りは多過ぎるくらいだから、裏付けを取るのも本名が割れるのも、さほど時間はかかるまい」
 右手を見せない男、海部氏、佐伯氏の協力者、狙撃者らしき男、射撃のオリンピック候補、ジャズ・ピアニスト、不治の病にかかった男、そして記憶喪失者──どこまで行っても仮りの名ばかりでうんざりだった。
「たとえ彼の本名が判ったところで、彼が行方を絶っていることには変わりない」と、私は言った。
「そういうことだ。そこで、お宅がどれだけ役に立ってくれるかが問題になる。これ以上ご質問がなければ、本会議に入りたいね」
「こちらも正直なところを話すことにしよう」と、私は言った。「私が彼に会ったのは、一昨日の月曜日に一度だけで、私の事務所でわずか二十分前後のことだった。彼は佐伯氏と連絡が取れないので、かなり動揺していたようだ。彼は二十数万円の金を私に払って、佐伯氏に関する情報を求めた。私が知らないと答えると、彼は金を置いたまま二、三日中に連絡すると言って、事務所を去ってしまった……次ぎに、私はある方法で海部雅美という女性が彼と関係があることを突きとめた。彼女は彼からの連絡がないことに強い不安を抱いていたので、私はその気持につけ込んで彼に関する情報を多少訊き出した。二人の付き合いが七月後半から始まっていること、彼が自分の名前を教えようとしないこと、札束で七百万近い現金を所有していること、そして拳銃を所持していること、などだ。もし、彼が海部雅美と連絡を取り、私が彼女と接触したことを知れば、私を無視するわけにはいくまい。彼が近日中に私に連絡を取るかどうか、プラスの材料としてはそのくらいのところだな」
「マイナスの材料は?」と、レインハットの男が訊いた。
「昨日、佐伯氏のマンションで伊原勇吉という男の死体が見つかったことは知っているな」
「知るはずがない。しかし、Xなら知っているかも知れない。話の先を続けてもらって構わないよ」
「その男の死に、彼が関与している疑いがある。彼はその男が撃たれた時間の前後に佐伯氏のマンションに向かっているし、マンションの鍵を佐伯氏から預かっていたし、拳銃を所持していたのだから。さらに現場には、死体とは別に負傷しているのではないかと思われる人物の血痕が残っていた。それが彼のものか、あるいは第三の人物のものかは判らない。もし第三の人物がいたとすれば、それは伊原勇吉と同じサイドの人間と見るべきだろう。あまりにも仮定の多い話で申しわけないが、その第三の人物が彼を拘束している恐れがなきにしもあらず、ということだ。そうなると、彼からの連絡は現時点では少々望み薄だな」
「伊原勇吉や第三の人物というのは、一体何者なんだ? Xたちが彼らを知らないということは、誓ってもいい……その連中は、狙撃事件の首謀者につながる者と見ていいんじゃないのか」
 私はうなずいた。「狙撃事件の真相が佐伯氏の調査通りだとすると、事件から四カ月以上たった現在、首謀者と狙撃者の友好関係がどうなっているのか、大いに興味がある」
「その種の友好関係は長続きしないのが世の習いでね」と、彼は皮肉そうに言った。「首謀者は、真相を知っている人間は少ないほどいいと考えはじめる。狙撃者は、一億四千万プラス七百万円でも安い仕事をしたと考えはじめる」
 彼はレインハットを頭に戻すと、口調をあらためて言った。「それで、お宅が問題の人物を押さえられる可能性は?」
「プラス・マイナスで、五分五分といったところかな」
「どうだろう、これは妥当な提案だと思うが──海部雅美という女性の監視はこちらで引き受けようじゃないか。お宅ひとりで自分の事務所と彼女の両方をカバーするのは無理だと思うよ。その点こちらにはいくらでも手がある」彼は自分の二人の仲間を紹介するように手を振った。
「お二人のことはすっかり忘れていた。しかし、遠慮しておこう。彼からの連絡が海部雅美のほうが先だった場合、私だけ除け者にされるのはごめんだからな。余計な心配はご無用。彼女はあんた方の手の届かない所に移動させてあるし、彼からの連絡も見逃さない方法を講じてある。乞う、ご期待さ」
 彼は苦笑した。「仕方がない。だが、医師の診断の短くて一年というのはもう目と鼻の先なんだ。一刻も早く問題の人物を手中にしてほしいね──全員の利益のために」彼は前の座席に掛けたコウモリ傘を手に取った。
「その時のために、あんたの連絡先が要る」と、私は言った。
「その必要はないね。こちらから頻繁に連絡を入れるよ。必要なのはお宅の連絡先だ」
「とうに知っているはずだ」と、私は言った。
 彼は頭を振って、繰り返した。「連絡先をどうぞ」
「名刺がむだになるだけだが──」私が上衣の内ポケットに手を入れると、ピーコートの男がさっと上体を寄せた。名刺を一枚取ってレインハットの男に渡そうとすると、彼は前の座席の女から受け取った手錠をすばやく私の手首に掛けた。私が抵抗しようとすると、ピーコートの男が私を押さえつけた。レインハットの男は手錠のもう一方の輪を座席の肘掛けに掛けてしまった。なかなかチームワークのいい連中だ。レインハットの男が私の手から名刺を取った。「ほう、電話サービスを使ってるじゃないか。進展があれば、ここへ〝X氏宛ての伝言〟を頼むよ。われわれは二、三時間ごとに電話を入れるから、それで意思の疎通には事欠かないわけだ。いいかな?」
 三人はいっせいに立ち上がった。
「佐伯氏の調査で、一つ話し忘れていたことがあった」と、レインハットの男が言った。「アメリカ人の離婚した妻によると、彼の唯一の趣味は射撃だったそうだ。向こうではもちろん本物の銃で実弾が撃てる。彼の腕前は、人差し指のない右手でも、利腕でない左手でもプロ級らしいが、両手保持の姿勢でなら狙撃事件のあの距離程度だと狙った標的から一センチとはずさないそうだよ」
 私は手錠の掛かった右腕を上げた。「これをどうするつもりだ?」
「休憩時間に映画館の女の子に鍵を届けさせるよ」三人は座席から出て、出口へ向かった。
「一つだけ訊きたいことがあるんだが──」と、私は言った。
 三人は立ち止まって、振り返った。私はスクリーンに大写しになっているボスの顔を指差した。
「あの俳優は、ロバート・ライアンだった?」
 彼らは何も答えずに背後の出口から立ち去った。映画館に入って映画を見ないような人種とは付き合えない。
 スクリーンに視線を戻すと、窓辺のロバート・ライアンとフランス男が、看板の上に釘付けにした〝休業中〟の板切れをライフル銃で撃ち合っている。賭け金は色とりどりのビー玉である。すでに二人とも重傷を負っている。包囲した警官隊が自分たちを撃ってきたと思って応射しはじめる。二人はそんなことには頓着せず、板切れに命中させることに興じている。やがて、銃弾が〝休業中〟の板切れを撃ち砕いてしまうと、下から赤い大きな〝チェシャー猫〟のにやりと笑った顔が現われる。そして、二人の少年が「さよなら」を言うラスト・シーンだった……。

次章へつづく

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