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芦沢央が描く“ワットダニット”とは?今村昌弘による「この世界には間違いが七つある」解説!

芦沢央さん最新作『魂婚心中(こんこんしんじゅう)』好評発売中です!
本日ご紹介するのは、作家・今村昌弘さんによる「この世界には間違いが七つある」解説です。書店員さんの応援コメントとともにご一読ください。

「この世界には間違いが七つある」解説:今村昌弘

 まず死体を転がせ、とはミステリの書き方として昔から聞く言葉だが、今作の始まりはまさにそれ。密室よろしく閉ざされた部屋で死体に戸惑う登場人物たちと、不可解な室内の様子。読者は不穏な状況に面食らうことだろう。この作品は、本格ミステリ的な言葉で表せばワットダニット。一体全体、何が起きているのかという謎が強い引力をもって次のページを捲らせる形式である。
 短篇の中でもさくっと読めてしまう分量だが、最大の特徴は真相がある特殊な方法で明かされること。これをミステリとして成立させることだけでも見事なのだけど、特筆すべきは真相のみならず、それまで何気なく読んでいた会話や文に深い意味が隠されていたことが一瞬で理解できてしまう点だ。
 所々欠けて見えていた物語が、閃きとともに想定外の色に塗り替えられる瞬間は滅多に体験できるものではない。
 遊び心と奇想に溢れたこの物語をぜひ堪能していただきたい。

書店員さんからの応援コメントをご紹介!

今まで読んだ作品とのガラッとした色の変わりようにびっくりしました!!
本当に、芦沢先生…?と、いい意味で狐に化かされたような気持ちです。特に、「この世界には間違いが七つある」が酷い!!(誉め言葉です)
本当にまさかの展開に、力業の終わり方で腹が痛い位に笑ってしまいました。この作品本当に大好きです!
(ページ薬局 尼子慎太さん)

ものすごく悔やまれるのが、この本をパラパラめくってしまったこと。もう一度その記憶を消して、「この世界には間違いが七つある」を読みたいです…。これから読む方は、ぜひパラパラは我慢してもらって、最初からちゃんと読んでほしいです!(切実)
(明屋書店厚狭店 小椋さつきさん)

「えええーーっ!」と心の中で盛大に叫んでしまい、目が飛び出しそうになりました!まさかの驚きの世界観に、頭が真っ白になり、思考が吹き飛びました!すごすぎました!
(紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん)

すごいです。めちゃめちゃ面白かったです。世界観の設定やオチに度肝を抜かれました。特に「この世界には間違いが七つある」が好きです。とんでもない世界の中でも、登場人物みんなに切実な想いがあって、共感できるんですよね。この奇妙な世界と切実で懸命な想いという一見矛盾した2つが見事に物語の中で共存しあっていて、私の頭と心はガンガンに刺激されました。興奮がすごいです。
(未来屋書店新浦安店 中村江梨花さん)