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【ネタバレ注意!】『三体X 観想之宙』発売迫る! 『三体』『三体Ⅱ 黒暗森林』これまでのあらすじ【発売前に復習】

暑い日が続いています。みなさま何卒ご自愛ください。7月6日(水)の『三体X 観想之宙』まで一週間を切りました……!

「発売前に『三体』三部作を読み返したかったのに、内容を忘れちゃったかも……」というあなたのために、『三体Ⅲ 死神永生』上巻に収録しました大森望さんによる、第一部・第二部既読のみなさま向けの「これまでのあらすじ」を掲載いたします。
※本記事には『三体』『三体Ⅱ 黒暗森林』のネタバレが含まれています。未読の方はブラウザバックを推奨いたします!※

これまでのあらすじ
大森 望

 1967年。理論物理学者の父が文化大革命の糾弾集会で惨殺される現場を目のあたりにした天体物理学者の葉文潔(イエ・ウェンジエ/よう・ぶんけつ)は、人類に絶望し、ひとつの信念を抱く。地球文明を立て直すには外部の力を借りるしかない……。やがて、巨大なパラボラアンテナを擁する謎めいた山頂の軍事施設にスカウトされた彼女は、ひそかに宇宙に向かってあるメッセージを送信する。

 そのメッセージを受信したのが、三つの太陽を持つ惑星に誕生した三体文明だった。母星の苛酷すぎる自然環境ゆえに滅亡の危機に瀕している彼らは、新天地を求め、太陽系に向けて巨大な侵略艦隊を送り出す。だが、艦隊の到着までには四百年以上の時間がかかる。その間に地球文明の技術力が飛躍的に進歩することを恐れた彼らは、十一次元の陽子を改造し、光速で航行可能な超小型スーパーコンピュータ、智子をつくりだす。智子は、人類科学の基礎研究に介入して実験結果を自在に操作するばかりか、量子もつれ効果を利用した即時通信により、地球文明の情報をリアルタイムで三体世界に送ることができた。三体文明は、社会に不満を抱く地球人の協力者を集めて地球三体協会を組織し、侵略艦隊の受け入れ準備を秘密裡に進めはじめた……。

 数十年後。ナノテクノロジー研究センターでナノマテリアルの開発を指揮する研究者・汪淼(ワン・ミャオ/おう・びょう)は、テロ対策を専門とする警察官・史強(シー・チアン/し・きょう)とともに、第一線の物理学者が相次いで自殺している謎を追ううち、葉文潔率いる地球三体協会の存在と三体文明の脅威を知る。ETOはVRゲーム「三体」を通じて三体文明に関する予備知識を地球人に与え、侵略の下準備を整えていた。ゲーム内の世界には太陽が三つあるため、その軌道を予測できず、暦がつくれない。気候の激変により、文明は滅亡と勃興を何度もくりかえし、三体人は ”脱水” することで灼熱地獄や極寒の闇をやり過ごしてきたのだった。

 三体艦隊の到着はまだ4世紀以上先だが、戦いはすでに始まっている。物理学者の相次ぐ自殺も、三体文明の策謀の結果だったことが判明。地球側はさらに詳しい情報を得るため、ETOの移動本部となっている巨船の急襲を決断する。汪淼と史強の活躍もあって、ETO主力の殲滅には成功したものの、”智子の壁” はまだ崩れていない。はるかに進んだ技術力を持つ三体文明にとって、人類など虫けらも同然。その侵略艦隊は、刻一刻と太陽系に迫りつつあった……。(以上、『三体』)

 未曾有の脅威に直面した人類は、共通紀元(西暦)から危機紀元へと紀年法を改め、国連惑星防衛理事会を設立して、太陽系防衛計画の柱となる宇宙軍を創設する。だが、人類のあらゆる活動は三体文明から送り込まれた智子に監視され、すべての情報が筒抜けになっている。この絶望的な状況を打開するため、起死回生の奇策、「面壁計画」が始動する。万能の智子にも、人間の頭の中だけは覗けない。そこで、全世界から選抜した特定の個人に、三体艦隊から地球を守る作戦を考えさせようというのである。その主役となる四人の面壁者は、真意や目的を明かすことなく、莫大なリソースを自由に使うことが認められている。彼らこそ、人類文明の救世主となるべき存在だった。

 四人の面壁者の中でただひとり無名の男、羅輯(ルオ・ジー/ら・しゅう)は、もと天文学者で、宇宙社会学者を自称する大学教授。彼は、高校時代の同級生である楊冬(ヤン・ドン/よう・とう)の墓参りに行った際、その母親である葉文潔から、”宇宙社会学の公理” を伝授され、そのため、三体文明に指示されたETOの暗殺者によって命を狙われていた。地球上でただひとり、三体文明に恐れられている男──まさにその事実によって、彼は一種のジョーカーとして、面壁者最後のひとりに選ばれたのだった。

 他の面壁者の計画は、ETOが送り込んだ破壁人によって次々に暴かれていく。そんな中、三体文明のものとおぼしき涙滴型の宇宙探査機が発見される。〝水滴〟と名づけられたこの探査機を捕獲すべく、二千隻以上の宇宙戦艦から成る太陽系艦隊が派遣される。だが、のちに〝終末決戦〟と呼ばれた人類初の宇宙戦争は、地球側の惨敗に終わった。たった一機の水滴によって、人類が誇る宇宙戦艦は次々に爆散し、艦隊はあっけなく壊滅してしまったのである。

 この事態を予期していた西暦時代の天才的な軍人・章北海(ジャン・ベイハイ/しょう・ほっかい)は、宇宙戦艦〈自然選択〉の指揮権を奪取し、独断で逃亡するが、人類同士が殺し合う ”暗黒の戦い” を経て、最後に生き残ったのは、〈自然選択〉追撃に派遣された〈藍色空間〉と、理論物理学者・丁儀(ディン・イー/ちょう・ぎ)のアドバイスのおかげでからくも終末決戦を生き延びた〈青銅時代〉の二隻だけだった。

 一方、羅輯は、ボディガード役の史強の助けを借りて見つけ出した "理想の恋人" と結婚して娘をもうけ、面壁者の任務を放棄して、しあわせな隠遁生活を楽しんでいた。だが、業を煮やしたPDCの策謀で、妻と娘は失踪。ついに正面から使命と向き合った羅輯は、凍りついた極寒の湖で、宇宙文明の真理を悟る。すなわち、宇宙は暗黒の森であり、そこには猟銃を携えた無数の狩人(=異星文明)が身を潜めている。ほかの生命を発見したら、できることは相手より先にひきがねを引くことだけ……。この「暗黒森林理論」に基づき、羅輯は三体文明との最後の交渉に臨む。もし自分の身になにかあれば、宇宙における三体世界の座標が全宇宙に向かって送信される。それを望まないなら、いますぐ太陽系侵略を中止し、三体艦隊の針路を変更せよ。

 三体文明はこの脅迫に屈し、地球文明とのあいだに、相互確証破壊に基づく暗黒森林抑止が成立する。人類文明は三体文明の技術情報供与によって巨大な重力波アンテナを地球上に構築。両文明間の文化交流も始まり、ようやく平和が訪れたかに見えた……。(以上、『三体Ⅱ 黒暗森林』)

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