ジョー・ネスボの新しいシリーズは児童書! 大人が読んでも楽しめる4つの理由(ハヤカワ・ジュニア・SF)
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ジョー・ネスボの新しいシリーズは児童書! 大人が読んでも楽しめる4つの理由(ハヤカワ・ジュニア・SF)

世界50カ国語に翻訳され、シリーズ累計4000万部超の《刑事ハリー・ホーレ》シリーズや、第8回翻訳ミステリー大賞と第5回翻訳ミステリー読者賞をダブル受賞した『その雪と血を』など、北欧ミステリを代表する作家ジョー・ネスボ。
そんなネスボの大型シリーズが、この秋はじまります!

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その雪と血を
ジョー・ネスボ、鈴木恵訳
ハヤカワ文庫

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プロクター博士のおならパウダー
ジョー・ネスボ、神戸万知訳
ハヤカワ・ジュニア・SF

それがこちら、『プロクター博士のおならパウダー』(ハヤカワ・ジュニア・SF)です!

「え、児童書?」「SF?」「お、おなら!?」と、意外すぎる新作に驚くひとも多いですよね。
(担当編集も、さいしょは、同姓同名かと思いました。)

『プロクター博士のおならパウダー』は、花粉症の予防薬をつくるはずが、おならが出る薬をつくってしまった(なんだそりゃ!?)という博士と、子どもたちがくり広げる冒険を描きます。
おならパウダーを飲むと、空も飛べちゃうのです。

かなりぶっ飛んだ内容なのですが、ジョー・ネスボは本気です。
念願だったという児童書を書くにあたって、ミステリの執筆で磨いた技術を注ぎ込んでいます。

その結果、『プロクター博士のおならパウダー』は、子どもはもちろん、大人が読んでも楽しめるエンタメ小説に仕上がっています。
この記事では、「納得のポイント! 大人の本と共通する、これぞネスボ!」と、「意外なポイント? こんなネスボも!」として、4つの理由を紹介していきます。

これぞネスボ!① スリリングな語りと巧みな伏線

《刑事ハリー・ホーレ》では、主人公ハリーと犯人との、手に汗にぎる戦いを描いているネスボ。その手法のひとつが、複数の視点。ハリーの知らないうちに、犯人がハリーを窮地に追い込もうとしているようすを描くことで、作品はスリルに満ちています。

『プロクター博士のおならパウダー』でも、子ども読者を混乱させないようにわかりやすくしながら、この手法が活用されています。
「おならパウダー」をねらう悪いやつらの罠にはまり、主人公の男の子ニリーと博士がピンチにおちいる場面は、とてもスリリング!

20210708牢屋の二人カット完成

罠にはめられたニリーと博士

ネスボは「犯人探しの物語を書くのが抜群に巧い」(杉江松恋氏)ことがよく知られています。さりげなく、でも印象的に書かれた伏線も、いつも見事。くわしくは語れませんが、『プロクター博士のおならパウダー』でも、後半はあっという展開がどんどん進んでいきます。

これぞネスボ!② 忘れがたい悪役

残忍な犯罪者や暗黒街の殺し屋を描き出してきたネスボ。

もちろん『プロクター博士のおならパウダー』にも悪役は登場します。とっても悪い。
小さい子や弱い人のものを横取りしたり、他の車のじゃまになるほどデカイ車を乗り回し、大量の排気ガスを巻き散らかしたりします。悪いですねー!

20210708三人悪だくみカット完成

街でいちばんいばっているトレイン氏と、そのふたごの息子たち

こんなネスボも!① 友情をはぐくむストーリー

ネスボの代表作のひとつ『その雪と血を』は、「愛と憎しみ、信頼と裏切り」(川出正樹氏)の物語。
いっぽう、『プロクター博士のおならパウダー』が描き出すのは、友情の尊さです。本作は、友情をはぐくむストーリーでもあるのです。

ニリーは、引っ越しをくり返しています。こんど転校した学校にもだれも知り合いがいません。はやくもクラスで浮いています。
リサは、親友が遠くに引っ越してしまったばかり。クラスにはほかに仲のいい子がいなくて、さびしい毎日。
そして博士は、過去のある経験から発明に没頭するあまり、近所の人たちとは疎遠になっていました。
そんな3人が出会うところから、物語はすすみます。
ハチャメチャな実験をくり返しながら、年齢や性別にこだわらない友情をはぐくむ3人の姿がすてきです。

20210708巨大ゼリー カット完成

こんなネスボも!② 娘のリクエストで生まれた物語

ネスボは、子ども向けの本を書こうと、何年もアイディアを練っていました。そんなとき、おさない娘さんがご飯時にお話をリクエストしたことで、この物語が生まれたのだとか。
いいお父さんですね。
でも、ご飯時におならパウダーの話をするなんて、なんだか可笑しいですね!

そんなきっかけもあってか、本作は、勧善懲悪やヒューマニズムが基調となっています。でも、ぜんせん説教臭くありません。なんてったって、おならパウダー、基本はおバカです。

こうして、ジョー・ネスボによる初めての児童書『プロクター博士のおならパウダー』は、子ども読者たちから熱狂的に支持されます。
第1巻が刊行された2007年、ノルウェーの児童書でいちばん売れた本になったほか、ノルウェーの小中学生1万人が選ぶ賞であり、もっとも重要で名誉あるという児童書文学賞「アーク児童書賞」の最終候補にもなっています。

世界的ミステリ作家ジョー・ネスボが本気でいどんだ児童書は、子どもも大人も楽しめる第一級のエンタメ小説です。ぜひご覧ください!

書籍概要

『プロクター博士のおならパウダー』
ジョー・ネスボ 神戸万知 訳 ながとしやすなり 絵
対象年齢:小学校低学年(2年生)から
四六判ソフトカバー、320ページ、小学校2年生以上の漢字にルビ

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