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芦沢央が描く「愛」のカタチ。斜線堂有紀による「二十五万分の一」解説!

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本日ご紹介するのは、作家・斜線堂有紀さんによる「二十五万分の一」解説です。書店員さんの応援コメントとともにご一読ください。

「二十五万分の一」解説:斜線堂有紀

 愛っていうのはこういう風にやるんだよ、と芦沢央に示されるような一作。エモーショナルで切ない書き出しをこう捻り、ど真ん中ストレートで万人に刺さる形に仕上げる手腕。強感情を扱う物語において何より必要なのは、その感情を納得させるだけの理屈。この物語を読むと、最小限の文字数で先輩を愛してしまう理屈がつけられていることがわかる。だって、一読してしまえば読者も先輩のことが大好きになっているから。この人の為に存在を掛けてもいいよなって、納得させられてしまうから。後輩が報われたと思ってしまう部分があるからこそ、そこには確かなキャラクターの魅力がある。世界のスケールの大きさと、二人の関係の一瞬の輝きの対比がいつまでも心に残る一作。SFも愛もミステリも何もかも、芦沢央に書けないものなんて無いことを、掌篇の形で叩きつけるのが格好いいんだ。

書店員さんからの応援コメントをご紹介!

「二十五万分の一」は今まで読んだSFの中で、一番切ないSFかもしれない。短いながらも、奇妙でアンバランスな世界観と人間関係を描き切り、最後に残る優しさが、圧倒的な切なさを感じさせる。端的に言えば泣ける。電車の中で読むのはおススメしない。
虎ノ門書房本店 根本隆仁さん

特に印象的だったのは、「二十五万分の一」です。
たった6ページなのに、主人公から先輩への愛がひしひしと感じられました。嘘をつくと消えてしまう主人公の、最初で最後の嘘。切ない気持ちがグッときました。
くまざわ書店調布店 山下真央さん

嘘をつくことができない世界、ありえないこの世界の中で、美しくも透明感すらも感じるほどの彼女の想い。とてもキレイだった。最後の一文をしばらく見つめてしまうほどに。奇想と驚き、優しさもスパイスで、これはすごい作品に出会ってしまった!!
くまざわ書店シャポー船橋店 岡田優衣さん

短い中に淡い恋心や尊い嘘など、好きなものがギュッと詰め込まれていて胸が苦しすぎました…!なんてロマンチックで儚いの…美味しい…好き…
TSUTAYAサンリブ宗像店 渡部知華さん