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ハヤカワ・ノンフィクション

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2018年3月の記事一覧

「オリヴァー・サックスの著作を読むたびに気になっていたことがある」『幻覚の脳科学』精神科医・春日武彦文庫解説

「オリヴァー・サックスの著作を読むたびに気になっていたことがある」『幻覚の脳科学』精神科医・春日武彦文庫解説



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 宙を舞う青いハンカチや楽譜、体長15センチの小人、光り輝く幾何学模様。話し声や音楽、悪臭、失った手足の感覚——現実には存在しないものを知覚してしまう「幻覚」。これらの多くは狂気の兆候などではなく、脳のメカニズムを解明する上で貴重な手がかりとなる現象であることを、脳神経科医サックス先生が豊富な実例を挙げながら解説してくれる『幻覚の脳科学』(大田直子訳

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史上最高のスポーツチームはどこか? そのチームを率いたリーダーの凄技とは?『常勝キャプテンの法則』訳者あとがき

史上最高のスポーツチームはどこか? そのチームを率いたリーダーの凄技とは?『常勝キャプテンの法則』訳者あとがき



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訳者あとがき
近藤隆文 

史上最高のチームとはどこなのか?

そんな酒場でのスポーツ談義にうってつけのテーマに、著者サム・ウォーカーは真っ向から取り組んだ。試合結果や各種成績、高度なレーティングシステムなどのデータをもとに客観的な基準を設定し、1880年代以降の37種目1200チームを調べあげていく。その結果、サッカー、ラグビー、アメリカンフ

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スティーヴン・ホーキング博士、死去

英国BBCやガーディアン紙の報道によれば、世界的な英国人物理学者、スティーヴン・ホーキング博士が死去されたと、遺族からの発表が3月14日早朝ありました。享年76。

1942年オックスフォード生まれで、難病ALSにもかかわらず理論物理学の研究にいそしみ、「車いすの天才」と言われたホーキング博士は、ブラックホールなどについての独創的な理論物理学・宇宙論研究で知られるかたわら、『ホーキング、宇宙を語る

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コーン米NEC委員長、電撃辞任! トランプ大統領との確執を『炎と怒り』で読み解く

コーン米NEC委員長、電撃辞任! トランプ大統領との確執を『炎と怒り』で読み解く

アメリカ国家経済会議(NEC)委員長のゲイリー・コーン氏が、数週間以内に辞任すると表明しました。通商政策をめぐり、トランプ大統領と意見が対立した結果とみられています。

マイケル・ウォルフ『炎と怒り』には、かねてからの確執を示唆する、以下のような記述があります。

[2017年]4月には、当初は十数人に送信された電子メールがどんどん転送され、かなり広範囲に広まってしまった。その内容は、ゲイリー・コ

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違法アップロード/ダウンロードがコンテンツ業界にもたらす末路、ここにあり!『誰が音楽をタダにした?』文庫版訳者あとがき

違法アップロード/ダウンロードがコンテンツ業界にもたらす末路、ここにあり!『誰が音楽をタダにした?』文庫版訳者あとがき



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文庫版訳者あとがき by 関美和

本書『誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち』はフィナンシャル・タイムズ、ワシントン・ポスト、タイム、フォーブスの年間ベストブックに選出された第一級のノンフィクションだ。

2016年9月に日本語翻訳版が刊行されると、日本でもさまざまなメディアに取り上げられた。いち早く評してくれたのがミュージシャンの

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これは無料ですが、違法ではありません。『誰が音楽をタダにした?』無料拡大お試し版電子書籍を配信中!

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音楽産業の衰退について書かれた本なんて、いまさら読みたくない——。

みなさんはそう思われるかもしれません。

CDが売れなくなった、デジタルへと移行しているけどそんなに儲かっていない、むしろ最近はライブが主な収入源だ。「そんな話、もう知ってるよ」と思われるでしょう。

デジタル音楽への移行をうながしたきっかけの一つが、違法の「海賊版」だったというこ

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