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海外文芸

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2019年7月の記事一覧

新井賞受賞!女性の生き辛さ描く小説『三つ編み』(レティシア・コロンバニ)拡大展開中!

新井賞受賞!女性の生き辛さ描く小説『三つ編み』(レティシア・コロンバニ)拡大展開中!

7月17日、『三つ編み』(レティシア・コロンバニ、齋藤可津子訳)が第10回新井賞を受賞しました。

新井賞は、書店員である新井見枝香さん(女性のための本屋HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE勤務)が一番おもしろかった本をひとりで選び、賞を出すユニークな試みです。同日発表の芥川賞・直木賞とは異なった視点による選書に、読者・メディア・書店員からの注目が集まっています。

■【NHK】書店業

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歴史小説であり、女性の成長物語であり、家族の物語であり、ノワールであり、ミステリであり、怒濤の海洋冒険物語。ジェニファー・イーガン新作『マンハッタン・ビーチ』の魅力とは?

歴史小説であり、女性の成長物語であり、家族の物語であり、ノワールであり、ミステリであり、怒濤の海洋冒険物語。ジェニファー・イーガン新作『マンハッタン・ビーチ』の魅力とは?

斬新な手法を駆使した『ならずものがやってくる』でピュリッツァー賞および全米批評家協会賞を受賞したジェニファー・イーガン。その7年ぶりの新作『マンハッタン・ビーチ』は、前作とは異なる作風ですが、前作同様の面白さを持つ作品です。翻訳者の中谷友紀子さんによる訳者あとがきで、その魅力に触れていただければと思います。

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 超大国アメリカの覇権はいずれ終焉を迎えるの

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あなたも「穴」覗いてみる? ショーン・プレスコット『穴の町』本文試し読み

あなたも「穴」覗いてみる? ショーン・プレスコット『穴の町』本文試し読み

独特すぎる登場人物、シュールなストーリー、そしてタダジュンさんのクールな装画でSNSをざわつかせている、ショーン・プレスコット『穴の町』。
前回の記事では、あらすじと登場人物をご紹介いたしました。
今回は本文より、ラジオDJのシアラが送り主不明で大量に送り付けられるカセットテープを何とかしようとする場面、そして、36人いるスティーヴ・サンダーズのうちの4人が語り手の「ぼく」をついにぶちのめす場面を

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町が消える。『穴の町』あらすじ&登場人物紹介

町が消える。『穴の町』あらすじ&登場人物紹介



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カフカ、カルヴィーノ、安部公房、星新一……。奇想小説の新星、ショーン・プレスコット『穴の町』が7月4日に発売されました。
タダジュンさんのクールな装画がSNSで話題を呼んだ『穴の町』、この記事ではあらすじと、普通に生きているだけなのにどこかおかしな登場人物たちを、カバー装画から抜粋した画像付きでご紹介します。ぜひ、書籍のカバーでも彼らを見

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歴史的傑作! ブッカー賞受賞作『七つの殺人に関する簡潔な記録』(マーロン・ジェイムズ)

歴史的傑作! ブッカー賞受賞作『七つの殺人に関する簡潔な記録』(マーロン・ジェイムズ)

ボブ・マーリー暗殺未遂事件を題材とし、ジャマイカ出身作家としては史上初のブッカー賞受賞作『七つの殺人に関する簡潔な記録』(マーロン・ジェイムズ、旦敬介訳 原題A Brief History of Seven Killings)は早川書房より好評発売中です。

発売直後から、小野正嗣、いとうせいこう、又吉直樹、西加奈子といった作家の各氏によって内容と文体ともに高く評価されています。

『七つの殺人に

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