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夏、湖畔のコテージ。ある家族の秘密──スウェーデンの人気作家の最新長篇『生存者』(アレックス・シュルマン/坂本あおい訳)

スウェーデンで作家、ジャーナリスト、Podcastの司会として著名なアレックス・シュルマンの最新小説『生存者』が、『幸せなひとりぼっち』などの翻訳で知られる坂本あおいさんの訳で刊行されます。

物語の舞台は、ある家族が夏を過ごす湖畔のコテージ。三兄弟の少年たちは、両親の機嫌を損ねないように気を付けながら、白樺の森でヴィヒタを集めたり、湖で泳いだりして、黄金の日々を過ごしている。しかし、そんな日々は突然終わりを告げ、やがて20年もの間、足を踏み入れることのなかったコテージに、兄弟が再び戻ってくる──果たして、あの夏の日、なにがあったのか?

わずか264ページの中で描かれる、少年たちの輝かしい夏の記憶と彼らの現在に隠された秘密。時間軸が緻密に交錯していく構成も巧みな一冊。夏の読書にもおすすめです。

作品:西浦裕太
写真:大隅圭介/コイル
装幀:早川書房デザイン室

〇あらすじ


スウェーデン、夏。湖畔のコテージ。
9歳のベンヤミンは三兄弟の真ん中で、
弟のピエールは7歳、兄のニルスは13歳。
湖で水泳競争をしたり、白樺の森を探検したり、
黄金のひとときを過ごしていた──
両親の機嫌を損ねないようにしながら。

そして、ある日を境にコテージを訪れることはなくなった。

20年後、三兄弟は母親の骨壺を持ってコテージに戻ってくる。
目を背け、沈黙に覆われてきたあの夏の真実と対峙するために──

スウェーデンを代表する作家が、
少年時代の「過去」と、時間に逆行して語られる「現在」を
巧みに交差させて描く家族の物語。


〇著者について

アレックス・シュルマン Alex Schulman

ⒸMartin Cederblad 

1976年、スウェーデン南部生まれの作家。ジャーナリスト、ブロガー、テレビ/ラジオ番組の司会としても活躍。2012年より司会を務めるPodcast「Alex&Sigge」は、スウェーデンで最も視聴されているウィークリーの番組の一つである。
2009年に、Skynda att älskaで作家デビュー。ジャーナリストとして活躍した父へ捧げた小説だった。アルコール依存症だった母との関係を描く第三長篇Glöm migは2017年にスウェーデンのブック・オブ・ザ・イヤーに選出される。第四長篇Bränn alla mina brevは映画化された。2020年に発表された本作は第五長篇にあたり、33カ国で刊行が決まるなどしてシュルマンの国際的なデビュー作となった。2022年に、第六長篇Malma stationが刊行されている。


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