見出し画像

1950年、地球一周飛行挑戦中に消息を絶った女性飛行士。2014年、その飛行士を演じることになったハリウッド女優。残された航空日誌が繋ぐ、二つの人生の円──ブッカー賞最終候補『グレート・サークル』

英国最高峰のブッカー賞の2021年最終候補、2022年の女性小説賞最終候補に選出され、TIME/NPR/ワシントン・ポスト/LitHubなどで2021年のベストブックに選出され高い評価を受けた、マギー・シプステッドの『グレート・サークル』を北田絵里子さんの翻訳で刊行いたします。

1936年にイングランドからニュージーランドまで初めて単独飛行した女性飛行士の史実からインスパイアされ、調査と執筆に7年をかけ完成された本作は、800ページ越えの巨篇! この夏、読みごたえのある物語の世界にどっぷりと浸りたいという方に強くおすすめしたい小説です。

Jacket design by Kelly Blair
日本版装幀:田中久子

〇あらすじ


「わたしは生まれながらの放浪者だった。波間に遊ぶ海鳥のように、わたしはこの地球に生まれ落ちた。」

1914年、赤ん坊のマリアン・グレイヴスは北大西洋で沈没する汽船から救出され、モンタナ州の叔父の元で育った。ある日、町にやってきた曲芸飛行士に遭遇したマリアンは空の世界と飛ぶ興奮にすっかり魅了される。

男たちや戦争に傷つけられながらも、やがて念願の飛行士となった彼女は1950年、生涯の夢である地球一周飛行挑戦の途上、消息を絶った──

2014年、ロサンゼルス。女優ハドリーはスキャンダルで炎上中。人間関係に疲れ自暴自棄になっていた彼女に、映画の主役をやらないかと声がかかる。それは、女性飛行士マリアン・グレイヴス──孤児で叔父に育てられたハドリーが幼少期に本で読み共感を持った人物──の伝記映画だった。

地球一周飛行の日誌に綴られたマリアンの本心は、渇いたハドリーの心を強く揺さぶっていく。

禁酒法時代のモンタナ州から第二次世界大戦のロンドン、2010年代のハリウッドまで、壮大な時間と場所をめぐりながら繋がる人生を描いた巨篇。


〇著者について


マギー・シプステッド Maggie Shipstead

ⒸMaggie Shipstead

1983年、カリフォルニア生まれ。ハーバード大学、アイオワ大学を卒業後、2012年に Seating Arrangements でデビュー。ロサンゼルス・タイムズ文学賞の新人部門とディラン・トマス賞を受賞した。第三長篇となる本書『グレート・サークル』は2021年のブッカー賞、2022年の女性小説賞、それぞれの最終候補に選出され高い評価を受けた。また、トラベルラーターとしてニューヨーク・タイムズ紙に記事を寄稿するなど精力的に活動している。

〇訳者について

北田絵里子

英米文学翻訳家。関西学院大学文学部卒。
訳書『あのこは美人』フランシス・チャ、『ウエスト・サイド・ストーリー〔新版〕』アーヴィング・シュルマン、『レイラの最後の10分38秒』エリフ・シャファク、『穴の町』ショーン・プレスコット、『荒野にて』ウィリー・ヴローティン、『夜が来ると』フィオナ・マクファーレン(以上、早川書房刊)他多数。

***


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!