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ダニエル・キイス推薦、星雲賞・日本推理作家協会賞受賞の名作、19年ぶりの続篇! 菅浩江『不見(みず)の月 博物館惑星II』

2000年に刊行され、「ベストSF2000」国内篇第1位星雲賞日本推理作家協会賞を受賞した菅浩江氏の『永遠の森 博物館惑星』。その19年ぶりの続篇となる『不見(みず)の月 博物館惑星II』が、2019年4月にいよいよ発売! シリーズの魅力と、早川書房での菅氏の作品をご紹介します。

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■『永遠の森 博物館惑星』あらすじ

〔日本推理作家協会賞受賞作〕全世界の芸術品が収められた衛星軌道上の巨大博物館〈アフロディーテ〉。そこでは、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、日々搬入されるいわく付きの物品に対処するなかで、芸術にこめられた人びとの想いに触れていた。切なさの名手が描く美をめぐる9つの物語。(イラスト:菊池健)


■『不見(みず)の月 博物館惑星II』あらすじ

地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館苑〈アフロディーテ〉では、データベースに直接接続した学芸員たちが美の追究に勤しむ。赴任したばかりの新人警備員・兵藤健は、いわくつきの芸術品、問題を抱えたアーティストらにまつわる事件に対処していく。全6篇収録(イラスト:十日町たけひろ)


また、担当編集の塩澤快浩が、『永遠の森 博物館惑星』『不見の月 博物館惑星Ⅱ』への思いを述べています。

何を隠そう、菅浩江さんの『永遠の森 博物館惑星』は僕が担当した2冊目の単行本でした。菅さんの初めてのハードカバーは、まだまだ新米の僕には荷が重く、編集を躊躇したことを覚えています。そんな僕が決死の覚悟でオビ推薦を依頼したのは、なんと、あのダニエル・キイスでした。(塩澤快浩@shiozaway)
当然、キイスに日本語の『永遠の森』を読んでもらえるはずもなく、すでに英訳されていた菅さんの短篇「そばかすのフィギュア」を送り、作家・菅浩江への推薦をお願いすることになりました。『永遠の森』は日本推理作家協会賞&星雲賞を受賞、菅さんの出世作となったことはご承知の通りです。(塩澤快浩@shiozaway)
そんな『永遠の森』の19年ぶりの続篇『不見(みず)の月 博物館惑星Ⅱ』が、いよいよ明日発売となります。あの素晴らしい前作を超える、とはあえて言いません。前作で「美の殿堂」というまさにユートピアであった博物館惑星は今回、主人公が自警団員というせいもあるのか、より現実社会に近い印象を与えます。傲慢なアーティスト、強欲な画商、世間知らずな学芸員たち……けれど、あまりにも人間臭いしがらみがあるからこそ、「美しいと思う心」が、より純粋で尊く、美しく見えてくるのです。ひょっとしてそこには、菅さん自身の19年も反映されているのかもしれません。お楽しみください。(塩澤快浩@shiozaway)

■菅浩江氏の著作リスト(早川書房)

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『五人姉妹』

バイオ企業を率いる父によって、成長型の人工臓器を埋めこまれた幼い葉那子には、臓器スペアとして四体のクローンが用意されていた。やがて無事に成長した彼女は、亡き父の想いをもとめ“姉妹”との面会を果たすが…クローン姉妹の複雑な心模様を描いた表題作、山奥の孤児院で生活する少年の哀しい成長物語「子供の領分」、『永遠の森博物館惑星』の後日譚「お代は見てのお帰り」など、先端科学がうみだす、さまざまな心の揺れを描いた珠玉の九篇―“やさしさ”と“せつなさ”の名手による洗練と成熟のSF作品集。


『そばかすのフィギュア』

新作アニメ「ダグリアンサーガ」のキャラコンテストで最優秀賞を受賞した靖子。彼女のもとに送られてきた村娘アーダのフィギュアは、最新テクノロジーで自在に動き、設定に応じた感情まで持っていたが…。少女とフィギュアの優しく切ない交流を描き星雲賞を受賞した表題作、高校在学中に発表されたデビュー作「ブルー・フライト」、文庫初収録のファンタジイ「月かげの古謡」など、初期傑作8篇を収録した待望の作品集。


『誰に見しょとて』

東京湾に新設された超巨大フロート建造物“プリン”のメインテナント“サロン・ド・ノーベル”には、美容に関するすべてが収められていた。理想の化粧品や美容法を求めて彷徨う“コスメ・ジプシー”たる岡村天音は、大学の先輩が生まれ変わったような肌をしていることに驚く。彼女は“美容+医療”を謳う革新的な企業コスメディック・ビッキー“素肌改善プログラム”を受けたというのだが…。やがて“ビッキー”は、アンチエイジング身体変工などの新商品を次々に発表し、人々の美意識、そして生の在り方までを変えていく――。『永遠の森 博物館惑星』につづく連作集。


■アニメノヴェライズ作品

『ID-0 I ── Cognosce te ipsum. ――汝自身を知れ』

(原作:ID-0 Project)

谷口悟朗×黒田洋介のヒットメーカーコンビが、3DCGスタジオのサンジゲンと共に手がけた最注目のSFアニメーション『ID-0』。オリハルト鉱石と記憶を無くした永劫変性者(エバートランサー)であるイドの物語を、『博物館惑星』の菅浩江がノヴェライズ。


『ID-0 II ──Vive hodie. ――今日生きよ』

(原作:ID-0 Project)

発掘したオリハルトの中から出現した謎の少女――アリス。彼女を保護したエスカベイト社ストゥルティー号に、惑星連盟軍が、条約遵守機構が、そして移動天体が次々と襲い掛かる! 幾多の危機を乗り越えたイドたちは、失われた過去の記憶オリハルト発見にまつわる恐るべき真実を目の当たりにするのだが……。


■著者・菅浩江(すが・ひろえ)氏について

高校在学中の1981年〈SF宝石〉誌に短篇「ブルー・フライト」を発表して作家デビュー。数年のブランクの後、1989年の第1長篇『ゆらぎの森のシエラ』で活動再開。以来、人間の普遍的な感情をこまやかな筆致で描いたSF、幻想小説で人気を集める。とくに『永遠の森 博物館惑星』(ハヤカワ文庫JA)は、「ベストSF2000」国内篇第1位星雲賞日本推理作家協会賞を受賞と、ジャンルの枠を超えて高い評価を得た。主な作品に『そばかすのフィギュア』『五人姉妹』『ID-0 I』『ID-0 II』(ハヤカワ文庫JA)、『誰に見しょとて』(ハヤカワJコレクション)、『プリズムの瞳』『放課後のプレアデス みなとの星宙』など。

『不見(みず)の月 博物館惑星II』4/18刊行! お見逃しなく!(早川書房編集部S&O)

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