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「3回読んで3回とも泣いてしまった」「それでも人間をあきらめられない人に読んでほしい」――間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』早川書房社員コメント

いよいよ3月6日(水)に刊行される話題の新人デビュー作、間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』。第11回ハヤカワSFコンテスト特別賞を受賞後、SFマガジン2023年12月号に一挙掲載されすでに読書界から絶賛を浴びています。じつは受賞前から「ヤバい新人賞応募作があるらしい」と社内を騒然とさせていた本作。早川書房社員有志から寄せられた熱いメッセージを公開いたします。

◆「ぶっ刺さった」の声多数!

SNSを何億時間探しても書かれていない言葉がある。私たちがスマホを手にする前には確かに持っていたはずの、数値化されない1人だけの言葉。Twitter中毒者だった私にそのことを思い出させてくれたのは、他でもない本作でした。この小説で人間に戻れた気がします。
(編集部/R・M)

それでも人間をあきらめられない人に読んでほしい。傷つき、疲れ果て、絶望しそうになっているその姿にだって、限られた時間しか生きられない私たちの"きらめき"が宿っている。
(編集部/L・T)

消費されない感動がここにある。読後、愛する人たちとともに今生きている奇跡に撃たれる。
(編集部/T・Y)

フィクションであれノンフィクションであれ、誰かの「家族史」というものを読むのが好きな私にとっては、最初からすごく気になる小説だった。物語は最初ひらがなばかりで、なんとなく拙く、優し気な感じで始まったかに見えたけれど、途中でアッこれは別に架空のSFでもなんでもなくて、私も良く知っている痛みについての話で、このひとは私のすぐそばにいるんだ、と何かに追いつかれてしまった感に陥って、それがこの小説を体験するということだったんだと思う。最後、物語が終わると同時に、もう一度見えない物語が渺渺とした夜明けの空にぶわっと広がってゆく感じがして、わーーこの話がとっても好きだなーーと天井を見上げた。
きっと多くの人が、本を閉じたあとに同じようにその時いる場所の天井を見上げて何かを想うんだろうなと思う。
(マーケティング部/F・T)

すべての人類にひとしく与えられた、人生でいちばん大切なもの――神様、まさか、これが愛じゃなかったなんて!!!!!!!
この小説を読まなければ一生気づかないふりをできたかもしれない痛みをはじめて知覚して、泣いた。けれどそれに気づかせてくれたこの小説はこれからずっと、私の「一生わすれたくなかったこと」です。
(編集部/N・K)

膨大なコンテスト作品を短期間で読まねばならない中、この作品は3回読んでしまった。主人公は2022年に機械との融合手術を受けほぼ不老不死になった引きこもりの女性。彼女の家族が抱える問題から垣間見える社会には妙な説得力があり、誰かの意見を求めたくなる。この作品が本になり、誰もが読めるようになってよかった。
(編集部/T・M)

3回読んで3回とも泣いてしまった。機能不全の家族、他者によって揺さぶられるままであることを受け入れさせられる身体性からの逃避、現代のアルジャーノンはこういう結末しか迎えられないのだろうか。SFはすごいガジェットや設定を詰め込めばそれで良いのではなく、そのうえで書かれる人間の心情や既存の価値観を揺さぶることにこそ意味がある、というケン・リュウのようなことをこの短さでサラッとやってのけている。読了後、もうどうしようもならなさすぎて逆に爽やか、という奇妙な快感がある。
(営業部/H・M)

すごい物を読んだ。書き出しの文体から令和のアルジャーノンかと思い読み始めたら一気に読んでしまうほど引き込まれた。生物学的女性として生きることの意味や尊厳を考えさせられる。
(営業部/A・T)

最初はとても読みにくかったが、終盤になるにつれむしろひらがなの文章を望んでいる自分がいた。なんだかわからんがデカい感情の素みたいなので殴られた気持ち。不思議な感情になる小説だった。
(営業部/T・K)

はじめて読んだときから半年以上が経ってなお、『ここはすべての夜明けまえ』は私の心のど真ん中にいます。読んでいる私にも「わたし」の切実な叫びへの答えは分からないし、自分の人生だって儘ならない。それでも、この本を読むたびに生きていくことができそうな気がして、「人間で良かったかも」と思えた。たぶんこの先の人生も、この物語は私の心のどこかにいて、思い出すたびに少し痛くて、愛おしい作品になると思います。
(マーケティング部/S・N)


◆あらすじ

2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに父親から提案されたことだった。

◆著者略歴

間宮改衣(まみや・かい)
1992 年、大分県大分市出身。本作『ここはすべての夜明けまえ』にて第11 回ハヤカワSF コンテスト特別賞を受賞し、デビュー。

◆書誌情報

タイトル:『ここはすべての夜明けまえ』
著者名:間宮改衣(まみや・かい)
発売日:2024年3月6日
価格:1,430円(税込)
体裁:四六判上製・128ページ
ISBN:978-4-15-210314-7
発行元:早川書房

間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』は全国の書店、ネット書店にて発売中です。


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