論理力はいつからでも養成できる! 『問題解決力がつく数学プロブレム』に挑戦(第2問解答篇)
難問を解決するための糸口をいかにして見つけるか、その格好のプラクティスを提供する、弊社近刊『問題解決力がつく数学プロブレム』。興味深い問題を紹介する連載をお楽しみいただいているでしょうか。
本日は前回紹介した第2問「ナイジェルの旅行先は?」の解答を紹介いたします。こちらです。
第2問 解答
ナイジェルが間違いなく訪れたと言えるのは、ミネソタ州だ。川を奇数回渡って、それでもスタートした場所(同じ空港)に戻るには、その川を「迂回」していなければならない。オハイオ川の場合には、迂回する方法はいくつもある。たとえば、まずインディアナ州とケンタッキー州の州境、あるいはペンシルバニア州内でオハイオ川を南側の岸に渡る。つぎに、ミシシッピ川との合流地点を迂回するのだが、それには合流地点(イリノイ州ケアローの近く)より下流でミシシッピ川を渡ればいい。さらにミシシッピ川をどこか上流でもう一度渡る。
しかし、ミシシッピ川を迂回するのはそれより大変だ。ナイジェルは車を船や飛行機に乗せていないので、ミシシッピ川の水源、つまりミネソタ州のアイタスカ湖をぐるりと回っていなければならない。それはつまり、ナイジェルは必ずミネソタ州に行く必要があったということになる。ミネソタ州に入ることなく水源をぐるりと回るとすれば、アメリカを出てカナダを通るしかない。アイタスカ湖の周りをめぐる前か後に、ミネソタ州内でミシシッピ川を渡れば、ウィスコンシン州に入らずに水源をぐるりと回ることは可能だ。というわけで、ナイジェルが確実に訪れたと言える唯一の州は、ミネソタ州だ。
(熊谷玲美訳)
本問を解く「カギ」がおわかりになったでしょうか? 日本人である私たちには、アメリカの地図がほしい問題でしたが、実際に視覚化してみてひらめいたかたもおいでのようです。コーヒーカップとドーナツは同じだと考える、アレですね。
次回は第3問問題篇を、2月5日に紹介する予定です。お楽しみに。
『問題解決力がつく数学プロブレム』(オリヴァー・ローダー編、熊谷玲美訳、予価1600円)は、弊社より2月20日発売予定です(ここでご紹介する問題と解答が収録されますが、内容や文章は多少改変されることがあります)。