見出し画像

英国ミステリ界の頂点 ゴールド・ダガー受賞作! 嘘を見破る少女と臨床心理士が挑む衝撃の事件『天使と嘘』

 昨年、二度目の英国推理作家協会最優秀長篇賞(ゴールド・ダガー)を受賞したマイケル・ロボサムの『天使と嘘』(越前敏弥訳)がついに登場です! イギリスのミステリ界で最も評価されたこの『天使と嘘』は、いったいどんな話なのか? ご紹介します。

天使と嘘_上_帯


天使と嘘_下_帯

◎各国で絶賛のミステリ!

 本書は2019年7月にオーストラリアで刊行されるとたちまち話題騒然となり、巨匠スティーヴン・キングやカリン・スローターが激賞のコメントを寄せるなど、世界のミステリ界に衝撃を与えました。そして2020年に本書『天使と嘘』で英国推理作家協会賞の最優秀長篇賞であるゴールド・ダガーを受賞したのですが、マイケル・ロボサムが同賞を受賞するのは2015年の『生か、死か』以来二度目。オーストラリア人として二度目の受賞は史上初の快挙です。
 さらに、アメリカ探偵作家クラブ主催による、世界最高峰のミステリを決定するエドガー賞の最優秀長篇賞の最終候補にもノミネートされ、世界各国で高い評価を受けています。

◎著者について

 著者のマイケル・ロボサムは1960年生まれのオーストラリアの作家です。彼はジャーナリストとして14年間働き、オーストラリア、イギリス、アメリカの新聞や雑誌に寄稿していました。この時代のロボサムは、ニコライ2世とアレクサンドラ王妃の手紙と日記を発見したり、スターリンがヒトラーについて調査したものをまとめた秘密文書を入手したりと、まるで小説の主人公のような活躍っぷりを見せています。
 そんな彼も1993年にジャーナリストを辞職し、ゴーストライターへと転身します。俳優や歌手、女性アイドルなどの芸能人のほか、政治家や冒険家などの自伝を書き、そのうちの12作がサンデー・タイムズ紙のベストセラーに選ばれました。そして、2002年にデビュー作である『容疑者』(集英社文庫)の草稿の一部がロンドン・ブックフェアの競売で高値を付けられ、2年後に刊行、世界23ヵ国で翻訳されベストセラーになりました。また、2015年には『生か、死か』で英国推理作家協会賞最優秀長篇賞を受賞しました。

◎あらすじ

 臨床心理士のサイラスは、かつて異様な殺人現場で発見された少女と施設で邂逅する。イーヴィと呼ばれる彼女は、人がついた嘘を見破るという特殊な能力を持っていた。折しも、スケート女子チャンピオンが惨殺される事件が発生。将来を期待されていた選手にいったいなにが起きたのか? 捜査に加わったサイラスは、イーヴィと事件の真相を追求する――。世界各国で激賞された英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー受賞作。

◎ここに注目!

 本作の読みどころはまず、主人公の臨床心理士サイラスが調査することになるフィギュアスケート女子チャンピオンが惨殺された事件の真相が暴かれていく過程です。事件を捜査していくうちに、明るくて人気者だった被害者が様々な秘密を抱えていたことが判明していきます。ページをめくるたびに秘密のベールがめくれていくような感覚を、ぜひ体感してみてください。
 そしてサイラスと、児童養護施設で暮らし、嘘を見破ることのできる少女イーヴィの心の交流も、本作の読みどころになっています。互いに凄絶な過去を持つ彼らが物語を通してどのように変化していくのか、要注目です。
 最後にもうひとつ。マイケル・ロボサムの文章の特徴である現在形を基調とした文章をそのままに訳文に落とし込んだ越前敏弥さんの訳の素晴らしさも味わっていただきたいと思います。
 
 各国で激賞され、凄惨な殺人事件を扱いながらも人間同士の交感を描き、そして最後には関係者たちの秘密から意外な真相が明かされる傑作ミステリを、どうぞご一読ください!

【書誌情報】

タイトル:『天使と嘘』上下
著者:マイケル・ロボサム
訳者:越前敏弥 
価格:各1,100円+税
刊行レーベル:ハヤカワ・ミステリ文庫

※書影等はAmazonにリンクしています。