早くも重版決定! 「メタバース」の語を生んだ伝説的SF小説『スノウ・クラッシュ』がいま大流行のワケ
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早くも重版決定! 「メタバース」の語を生んだ伝説的SF小説『スノウ・クラッシュ』がいま大流行のワケ

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オンライン上の仮想世界を指して「メタバース」という語が初めて使われた、ニール・スティーヴンスン『スノウ・クラッシュ』。新版として
今年1月に復刊された本作は大きな反響を呼び、早くも重版が決定しました。本記事では、ブームの理由に迫ります。

『スノウ・クラッシュ〔新版〕』早川書房

①仮想世界「メタヴァース」と、ディストピア化した現実世界……「予言的」描写の数々

だから、彼はいま、このユニットにはいない。彼がいるのはコンピュータの作り出した宇宙であり、ゴーグルに描かれた画像とイヤフォンに送りこまれた音声によって出現する世界。専門用語では〝メタヴァース〟と呼ばれる、想像上の場所だ。ヒロは、このメタヴァースでほとんどの時間を過ごしていた。ここには〈貯蔵庫〉のような嫌なことはない。

『スノウ・クラッシュ〔新版〕 上』より

『スノウ・クラッシュ』のなかで、メタバースはディストピア的な現実世界からの逃避先として機能している部分があります。作中のアメリカは政府が無力化して私企業やマフィアが運営する「フランチャイズ国家」に分裂し、抗争を繰り広げている状態。主人公も、現実ではお金がなくて狭い倉庫に暮らしているけれど、メタヴァースでは世界最強の剣士として名を馳せている。一方で、現実世界の格差がアヴァターの解像度に反映されたりも(使用料の安い公衆端末からアクセスしているアヴァターはモノクロで、解像度が粗い)。現実世界のあり方を含めて、思わず「予言的」と呼びたくなるような想像力が迸っています。

②GoogleやPayPalの創業者が愛読!

そうした想像力は、多くのテック起業家に霊感を与えてきました。Google の共同創業者ラリー・ペイジセルゲイ・ブリン。本書には「アース」というソフトウェア(「一種のユーザー・インタフェースで、CICが自社の保有する空間的情報のすべて──あらゆる地図、気象データ、建築プラン、衛星監視データなど──を追跡するために使われている」)が登場しますが、Google Earthの開発には本書が影響したといいます。さらに、LinkedIn の創業者リード・ホフマンやPayPalの創業者ピーター・ティールなど、数々のビッグ・ビジネス創業者が本書のファンを公言しているのです(ちなみに、Amazonの創業者ジェフ・ベゾスはKindleの開発にスティーヴンスンの『ダイヤモンド・エイジ』が影響を与えたと言っているし、『七人のイヴ』はビル・ゲイツが推薦している)。

③『虐殺器官』や『あなたの人生の物語』(映画化名「メッセージ」)の源流!? 超ド級の言語SF

メタバースと現実世界を股にかけるヒロの痛快活劇を描く本作は、読み進むにつれて徐々にハードSFとしての姿を現していきます。書評家の冬木糸一さんが「単に仮想世界が出てきてそこでワチャワチャするだけの話ではなく、神話と歴史を繋げ、それを現代の情報技術に接続することで、人間の意識と言語の起源、それどころか地球生命の起源までまるごと説明しようとする壮大な”言語・情報SF”であり、伊藤計劃の『虐殺器官』と『ハーモニー』をまるごと統合したような作品なのである」と評するとおり、驚天動地のアイディアがSF的な大ネタとして控えているのです。

……これ以上はネタバレになるので、ぜひ本文をお読みください!





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