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仮想と現実をめぐる物語の驚愕の結末――第12回アガサ・クリスティー賞受賞作『そして、よみがえる世界。』

第12回アガサ・クリスティー賞大賞を受賞した、西式豊にししきゆたか氏のデビュー作『そして、よみがえる世界。』が11月16日(水)に発売となります。昨年の同賞受賞作で、2022年度の本屋大賞にも輝いた逢坂冬馬氏の『同志少女よ、敵を撃て』につづく、ミステリの女王の名を冠した新人賞受賞作をお読み逃しなく。


『そして、よみがえる世界』

西式豊

定価:1980円(税込)
装画:大宮いお/装幀:坂野公一(welle design)
四六判並製/早川書房

医療テック企業、SME社が開発した脳内インプラント〈テレパス〉によって、介助用ロボットや仮想空間〈Vバース〉でのアバターの直接操作が可能となり、身体障害者の活動範囲が大幅に拡大した近未来。事故で脊髄を損傷しテレパスユーザーとなった脳神経外科医の牧野は、かつての恩師で、現在は同社の役員である森園からオペの代理執刀の依頼を受ける。記憶と視覚を失った少女エリカに視覚再建装置を埋め込む手術は無事成功したはずだったが、術後エリカは謎の黒い影の幻に脅かされるようになる。そして院内では新たな事件が起こり、経営陣の一人が犠牲に……。仮想と現実のはざまで少女を翻弄する幻影の、その驚愕の正体とは!? 第12回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。

特に、ラストの展開が素晴らしい。仮想現実であの二人が〇〇して××するところは、なんだかよくわからないものの、とにかくすごい! 
──北上次郎

ポストヒューマニズムものとしても迫力満点の一作。ヴァーチャルボディ、アバター、コピー、ロボットなど、人間の生を引き受ける「複製」の物語。──鴻巣友季子
中盤のホラー展開から理詰めの謎解きに転じると目から鱗のたとえ通り、手のこんだ設定がいっぺんに腑に落ちる。
──法月綸太郎

第12回アガサ・クリスティー賞選評より

ミステリSFアクションーーさまざまなジャンルの要素を織り込んだストーリーの面白さはさながらハリウッド映画のよう。エンターテインメントの魅力あふれる意欲作をぜひお楽しみください。