【新☆ハヤカワ・SF・シリーズ3月刊】迷える放浪者たちの美しき火星SF・郝景芳『流浪蒼穹』お試し読み
「ロシア」「ウクライナ」に関係する内容の可能性がある記事です。
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【新☆ハヤカワ・SF・シリーズ3月刊】迷える放浪者たちの美しき火星SF・郝景芳『流浪蒼穹』お試し読み

Hayakawa Books & Magazines(β)

 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ、3月の配本は郝景芳『流浪蒼穹』(及川茜・大久保洋子訳)です。「折りたたみ北京」でヒューゴー賞を受賞した著者による、地球と火星のどちらにもアイデンティティを見いだせない少年少女の美しきSFドラマです。本欄ではそんな本作のお試し読みを掲載いたします!

『流浪蒼穹』郝景芳
及川茜・大久保洋子=訳 立原透耶=解説
川名潤=装幀
定価3190円(税込)

前 言

  本作『流浪蒼穹』は二〇〇七年に書き始め、二〇〇九年に完成した。当初は『流浪蒼穹』というタイトルで三部からなり、それぞれ「星の舞」「雲の光」「風の翼」という名前がついていた。しかし出版する際に頁数の関係で一冊として出すことができず、二冊に分けることになり、第一部を『流浪のマアース』として先に出版し、二年後に残りの二部をまとめて『カロンへの帰還』と名づけて出版した。こうしたことについて私には何も異論はなく、出版社は現実的な配慮に基づいて発行したのだと理解しているが、いずれにせよやはり少し残念に思った。もともとはつながった一つの作品なのだから、関係のないタイトルをつけて二冊に分けてしまったら、連続性が失われてしまう。

 今回の再版にあたり、本来のタイトル『流浪蒼穹』に戻すことができ、とても嬉しく思っている。これは初心への回帰だ。書き始めた時の心持ちはまさにこうした感覚だった。一群の若者たちがおり、彼らは幼少期にある制度の下で生活し、少年期に大きな環境の変化を経験する。そこで感じた引き裂かれる感覚や違和感のために、彼らは永遠に二つのモデルの間でさまよい、放浪する。『カロンへの帰還』のあとがきで、私はこんなふうに書いた。「このような、表現してみようという信念だけがすべてを生み出し、そのほかの末節はみな派生したものなのだ。この若者たちはどこにも頼るものがなく、信頼に足る既成のモデルも、目の届く範囲に帰依できるほかのモデルもない。自分を頼りに無限に手探りをする戸惑いだけがあり、過去と未来の間を浮遊し、前世の記憶と現実の間を漂う。彼らは容易に何かを疑うが、容易には信用しない」「流浪蒼穹」とは、こうした感覚を形容した言葉だ。

 だから、どうか理解し、許してほしい。タイトルを変えたのは古い酒を新しい瓶に詰めて売ろうとしたわけではなく、最初の執筆時の構想に戻したかっただけなのだ。

 文章や内容そのものはさほど修正していない。それは決して、この本が完全無欠で直すべきところなどないということではなく、修正しようとした時に迷いが起こったのだ。どんな時であろうと、より成熟した目で過去の作品を見る時はいつも欠点や不満が見つかる。しかしどの程度修正するか、より成熟した作品に直すかどうかは、実は決めているわけではない。修正は恐らく際限がなく、再版するたびに絶えず推敲していたら、最後にはまったく違うものになってしまうかもしれない。完璧な作品を生み出したいと願えば願うほどそれは不可能になる。将来自分にどんな変化が起こるかなんて知り得る時はないからだ。だから将来の自分を満足させることは永遠にできない。そのため私は過去の自分を修正せず、それをその時の姿のままで永遠に存在させ続けることにした。完璧ではないところをすべて残したまま、何も隠したり、飾ったりせずに。一枚の絵、あるいは一つの彫刻のように、完成は完成で、欠陥を持ったままで見せよう。欠陥も完全さの一部なのだから。

 この小説で、私はいくつかの新しい技術と新しい経済モデルを構想した。当時の私にとって、それはすべてが想像というわけではなく、シミュレーションといった方が近かった。当時すでに、私はその中の多くが近いうちに現実になるだろうとわかっていた。二一九〇年ほどはるか遠くでなくてもよかったが、火星への移住という歴史のためだけに、年代を遠い未来に設定したのだ。書いてから十年足らずで、多くのものがすでに周囲では現実となった。例えばバーチャル・リアリティ、電子商取引の急激な進展、多国籍企業がまもなく世界の覇者になるだろうということなど。さらに重要なのは、経済と人間の行動様式の変化だ。電子商取引は人的リソースを解き放ち、それによって職業と労働は地理的制約を打ち破り、人間は身分の多様性と流動性を手に入れることができる。それは人類の世界を徹底的に変えるだろう。資本主義は労働の要素を真に解放できていないが、将来はそれらすべてを目にすることができるだろう。現在の変化は氷山の一角にすぎず、ネット上の有名人はその潮流で最も目を引く波しぶきなのだ。未来の世界は個の世界、身分が流動する世界で、繁栄と苦難がいっそう思いがけない形で繰り広げられるだろう。だがその一方で、小説の設定よりもはるかに発展が遅れる分野もあるだろう。例えば人類の宇宙への旅立ちは、さほど大きな動きが起こらない可能性が高い。経済の側面から見ればそれは合理的なことだが、人類の未来にとっては何とも評価できない。

 小説はいつも現実のシミュレーションだ。いくつかは実現し、いくつかは実現しない。現実はある部分では同じ宇宙に入り込み、別の部分ではもう一つの並行宇宙に入り込む。それは常に興味深く、それゆえに小説家は幾重にも重なった世界での生活を持つことができる。これもまた書くことの最大の魅力だ。

 今日まで書いてきてもなお書き続けたいと強く願うのは、この多重世界での生活のためだ。たとえ粗末な部屋に一人きりで座っていたとしても、この多重世界には目に映らぬ幾千万もの山水があり、鳥がさえずり花々が香るうららかな景色が広がっている。

 プロローグ


  ある一つの世界で生まれ、もう一つの世界で成長した若者たちがいる。

 彼らが生まれた世界は戒律の厳しい塔、成長した世界は雑然とした庭園だった。一方の世界は静粛で壮大な未来予想図、もう一方の世界は享楽的で野放図なカーニバル。二つの世界は相前後して彼らの生活を訪れ、彼らの意見を求めることも、彼らの感受性を考慮することもなく、ただ運命の鎖の上に次々と降臨し、押しとどめることのできない冷静さをもって彼らの一生を席巻した。

 塔で建設されたものは、庭園で破壊された。カーニバルで忘れられたものは、未来予想図の中でまだ記憶されていた。塔の中でだけ暮らしていたものは、その破壊を被(こうむ)らなかった。カーニバルの中でだけ暮らしていたものは、あの幻の風景を見なかった。二つの世界を行き来した若者だけが、一夜のうちに豪雨の到来と未来の消失を、荒野に大きく奇怪な花が芽吹くのを目撃した。

 彼らはそのために沈黙し、様々な方向から非難された。

 これは、どのような若者たちが、何のためにその運命へと歩んでいったかの物語だ。それは恐らく二百年にわたる複雑な昔話を経てこそ答えられる問いなのかもしれない。彼ら自身は語ることができず、多くの人もできない。彼らは数千年に及ぶ放浪者の歴史の中の最も若い一群で、運命を理解できない年頃に運命の中に放り込まれ、もう一つの世界に対してまだ何もわからずにいるうちにその世界に巻き込まれたのかもしれない。彼らの放浪はふるさとから始まり、歴史の方向は彼らには選ぶすべもなかった。

 物語はこの若者たちの帰郷の時に始まる。肉体の移動はその時に終わるが、魂の放浪はその時に始まる。

 これは、最後のユートピアが崩壊する物語だ。

  

 

 船が岸に近づき、灯火は消えようとしている。

 船は宇宙を漂い、暗闇の中の一滴の水のように、弧を描くターミナルにゆっくりと滑り込む。船はすでに古ぼけて、鈍い銀色の光を放ち、まるで長い時間に伴われた徽章(きしょう)のように、表面の模様だけを残し、シャープだった輪郭はぼやけている。船は暗闇の中でとても小さく、真空の中で孤独に見える。船と太陽と火星は一直線に連なり、太陽ははるか遠くの端に、火星は手前にあり、船はその間にあって、まっすぐな航路はあたかも一振りの剣のようだが、その切っ先は見えない。暗闇が周囲を覆い、船は一滴の銀色の水のように、弱々しく光を放っている。

 船は孤独だ。それは静寂の中で少しずつ岸に近づき、孤独に身を寄せた。

 船の名はマアース。火星と地球の間の唯一のつながりだ。

 船が生まれる前、この航路はかつて往来が盛んだった。船はそれを見たことがない。それは生まれる前の記憶だ。生まれる百年前、今の船の位置は輸送船が占めており、まるで沸き返る河の水が砂漠に降りそそぐように激しく往来を繰り返していたことを船は知らない。それは二十一世紀後期、人々はついに重力と大気圏、心理的抵抗という三つの障壁を突破し、おののきから高揚へと移り変わる興奮を抱(いだ)き、様々な物資をはるかかなたの夢の星へとたゆむことなく運んでいった。競争は地表近くの宇宙から火星の表面にまで達し、多くの国の士官たちが異なる色の制服を着て異なる言葉を話し、それぞれの開発計画の中でそれぞれの国の任務を果たした。その頃の輸送船は鈍重で灰緑色の鉄板に覆われており、まるで金属で作られた象のように緩慢だが確かな足取りで一隻また一隻と到着し、巻き上がるオレンジ色の砂埃の中でハッチドアを開き、機械を下ろし食料を荷揚げし、キャビンにひしめく情熱に満ちた人々を送り出した。

 船はまた、生まれる七十年前に、政治的な役割を持った輸送船が商人たちの開発船に少しずつ取って代わられていったことも知らない。火星基地が建設されて三十年後、商人たちの触角はまるでジャックの豆の木のようにぐんぐん伸び、ついに宇宙へと昇っていった。ジャックはそれを登り、勘定書と慎重な計画を携え砂漠の中で辺りをきょろきょろと見渡した。最初の経営方式は実物取引で、商人は政客と同盟を結び、火星の土地経営権、資源交易権、宇宙製品開発権を獲得し、感動的なキャッチフレーズを使って二つの星を互いに売りさばいた。その後ビジネスは知識そのものへと移行し始め、地球で起きた歴史的転換と同様、二百年の過程を二十年に圧縮して実現し、無形資産が取引の中心となり始め、商人たちは科学の知恵を借りて基地と基地の間に架空の障壁を打ち立てた。当時の夜行船は酒宴と契約に埋め尽くされ、華麗な回転式レストランが地球の高層ビルを模倣して作られた。

 船が同様に知らないのは、生まれる四十年前、その航路に戦闘用飛行艇が登場し始めたことだ。様々な原因によって火星独立戦争が勃発して以来、基地の探検家やエンジニアが同盟を組み、地球の管理者に対して抵抗運動を起こした。彼らは宇宙飛行と探査技術で金と政治権力に対抗した。航路には戦闘艇が鎖のように連なり襲撃に抗した。それらは海の波のように広大で、また波のように音もなく引いていった。小さく敏捷な飛行艇がかなたから飛来し、叛逆への怒りに燃えて星空を超え、冷静でありながら狂ったように爆弾を投下し、砂漠の中で無音の血しぶきを咲かせた。

 そうした昔話を船はどれも知らなかった。船が生まれた年、戦争は終結してすでに十年、すべてが霞のようにかき消えてから丸々十年が過ぎていた。静寂の夜空はその静寂を取り戻し、航路にはもはや何の影も見えなかった。暗闇がすべてを押し流し、船はその暗闇の中で誕生した。飛散した金属片を寄せ集めて作られ、星の海に孤独に向き合い、二つの星の間を行き来し、かつて往来が盛んだった商業の道と遠征の道を、ひとりきりで往復した。

 船は静かに、音もなく飛んだ。夜空にはもはや行き交うものはなかった。それは孤独な銀色の水滴のように、距離を貫き、真空を貫き、目に見えない氷の壁を貫き、二つの世界で誰も触れることのない幾重もの昔日を貫いた。

 船が誕生してすでに三十年、すり減った外殻には時の痕跡が刻まれている。

 

 船の内部は迷宮だ。船長を除けば、誰もその真の構造を知らない。

 船は巨大で、階段が左右を行き交い、船室が林のごとく立ち並び、回廊は複雑に入り乱れている。船内の多くのパントリーは一つまた一つと連なる退廃的な宮殿のごとく雄大にして豪壮、調度が積み重ねられ、柱が周囲を取り囲み、片隅にたまった埃は誰も訪れる者がいないことを物語っている。回廊はパントリーの間を縫う細長い通路で、居室とバンケット・ホールをつなぎ、起伏し入り乱れ、複雑に錯綜する物語のように往来する。船には上下の区別がなく、床は回転する巨大な円筒の内壁で、金属の柱が円筒の中心に向かって集まっており、人は遠心力によって歩くことができる。船は古く、柱には彫刻があり、床には紋様が刻まれ、壁には旧式の鏡が掛けられ、天井には絵が描かれている。それは時間への敬意であり、記念だ。かつてあった時代、人と人がまだ離れ離れになっていなかった頃を記念しているのだ。

 今回、船は三つの団体を乗せていた。地球代表団五十人、火星代表団五十人、学生団二十人だ。

 代表団は双方向展示会のために組織された。第一回火星博覧会は地球で円満に幕を閉じ、第一回地球博覧会はまもなく火星で開催されることになっている。互いに各種の風変わりな貨物を載せ、地球に火星を、火星に地球を展示して見せ、双方の人々に再び互いの存在を思い起こさせる。長きにわたる断絶の後で、それは両者の初めての全面的な接触だった。

 学生団は「水星団(マーキュリー)」と呼ばれる十八歳の若者たちの集団で、地球での五年間の生活を終え、ふるさとへ帰るところだ。水星はマーキュリー、使者だ。火星と地球以外のもう一つの星であり、相互理解への希望だ。

 戦争終結から四十年、船の航行開始から三十年。地球と火星の間の、それは唯一のつながりだ。

 船はいくつもの交渉、取引、契約、不愉快な結末に終わった紛争を目撃し、さらに多くのものを目撃せずにいた。船は長い間捨て置かれ、巨大な船内は空洞となり、船室には乗客がおらず、パントリーには品物がなく、バンケットホールに音楽が鳴り響くことはなく、操舵室には任務がなかった。

 船長と船長夫人は豊かな白髪の老人だった。二人は三十年間船で働き、船で暮らし、船で年老いた。船は二人の家であり、生命であり、世界だった。

「ずっと降りたことがないんですか」

 船長室の外で、一人の美少女が恐る恐る尋ねた。

「最初の数年はまだ降りていたのだけれど、歳を取るにつれて降りられなくなったわね」

 少女の向かいで、船長夫人が穏やかな笑みをたたえて答えた。カールした銀髪や、新月のように弧を描く口の端、優雅な姿は、一本の冬の木を思わせる。

「どうして」

「重力の変化に適応できなかったのよ。歳を取ると、骨がだめになってしまうの」

「じゃあ、どうして退職しないんですか」

「ガルシアがしたがらないのよ。一生、船の上にいたいって」

「船にはたくさん人がいるんですか」

「任務がある時は二十人あまりね。ない時は私たち二人きりよ」

「任務はどのくらいの間隔であるんですか」

「まちまちよ。四カ月のこともあるし、一年以上ないこともあるわ」

「そんなに? じゃあ、普段はとても寂しいでしょう」

「大丈夫よ。もう慣れたから」

 少女はしばらく黙りこんだ。長いまつげをそっと伏せ、再びそっと上げた。

「おじいさまはしょっちゅう二人のことを話しています。とても会いたがってます」

「私たちも会いたいわ。ガルシアのデスクには四人で撮った写真をずっと飾っていて、毎日見ているのよ。帰ったらおじいさまによろしくね」

 少女は笑った。その笑顔は優しく、だが少し愁いを帯びていた。

「アリーおばさま、またきっと会いに来ます」

 少女の優しい笑顔は目の前の夫人が好きだったからで、愁いを帯びていたのは、恐らく自分が当分来られないことを知っていたからだ。

「ええ」船長夫人も笑い、少女の長い髪を優しくなでた。「きれいになったわね。お母さまにそっくり」

 船長室は船の先端に位置し、コックピットと無重力トレーニングジムに接していた。船長室は二本の通路が交わる角にあり、多くの人がそこを通るが、それとはわかりにくい。ドアの前には青い電球が掛けられており、小さな空間に青白い光を放ち、月光のように優しく老婦人と少女の頭上を照らしている。それは船長室と火星の自宅に唯一共通する装飾で、ドアの前を通るたびに、青い光がふるさとの記憶を照らし出す。ドアは乳白色のガラス製で、両側の白い壁と一体となり、浮き出る彫刻だけがその材質の違いをさりげなく示している。彫刻されているのは小さな銀色の宇宙船で、船首を持ち上げ、船尾の部分には小さなベルが掛けられている。宇宙船の下の方には飾り文字で一行、「アリー、ガルシア、マアース」と書かれている。ドアは音もなく閉じ、両側の通路は長く静かで、まるで無限に奥深くへと延びているかのようだ。

 ガルシアは船長の名だ。彼と少女の祖父は生涯の戦友だった。二人は若い頃、同じ飛行中隊に属した仲間で、戦争中に生まれ、戦争の中で十数年の歳月を過ごした。どちらも戦後の火星を支えてきた人物だが、少女の祖父は地上にとどまり、船長は宇宙へと上った。

 戦後の火星は極めて苦しい時代を送った。痩せた土壌、薄い空気、足りない水源、危険な放射線、すべてが生命に関わるもので、彼らが毎日直面する生存の苦境だった。戦前の開発は常に地球からの補給を受けており、食糧の多くは船が運んだ。生まれる前の胎児が母体の栄養から切り離されていないように。だが戦後の独立はあたかも誕生の陣痛のようで、へその緒を切断された赤子は自力で歩くことを覚えねばならなかった。その頃の火星は最も困難な時期にあり、常に何らかの物資を地球に求めざるを得なかった。最も聡明な頭脳ですら、動物や利益をもたらす細菌、石油の中にある有機高分子といったものを無から作り出すことはできなかった。それらがなければ、生命はただ維持されるだけで繁栄することはできない。船長はまさにその頃、船に乗り込んだのだった。

 それは戦後十年目で、多くの火星人が地球に救援を求めることに賛成していなかった。だが彼は火星の外交における最初の試みとして、ある決意をもって地球の周縁で孤軍奮闘を貫いた。してやられたという屈辱がこの時に恨みと復讐の喜びに変わった地球の態度を、彼は誰よりもよく理解していたが、後戻りすることはできなかった。後戻りすれば、新たに生まれたふるさとは永遠に育たなくなってしまう。

 

 船長の後半生は船と共に綴られた。彼は船上で暮らし、地球に情報を送った。彼はねばり、懇願し、威嚇し、誘惑した。火星の技術を地球に差し出し、生き残るための物資を地球に求めた。乗船して三十年、二度と地上に降り立てなかった。彼こそが火星の外交だった。彼がゆっくりと航行した三十年の間に、火星と地球は最初の交易を行い、最初の相互人材派遣を行い、最初の展示会を行い、最初の留学生を送った。ガルシアとは船長であり、船長とはガルシアだった。彼の身分と名前は血肉のように一体となり、分かつことは不可能だった。アリー、ガルシア、マアース。それはドアに彫られた唯一の文字だ。

 少女が船長夫人とひとしきり言葉を交わし、背を向けてその場を去ろうとした時、船長夫人がふいに後ろから彼女を呼び止めた。

「そうだわ、ひとつ話があるの。ガルシアがあなたのおじいさまに伝えてほしいって。あの人、さっき言い忘れたのね」

「どんなことですか」

「ガルシアは言っていたわ。時には、宝をめぐって闘うことは、宝そのものよりも重要だ、って」

 少女はしばらく考え、何か問いたげだったが、何も言わなかった。船長の言葉はきっと外交と関係があるはずだと思ったが、そうした大事をあれこれ聞くわけにはいかなかった。少女はうなずき、わかったと言って、すぐにその場を離れた。その後ろ姿は軽やかで、ふくらはぎはすらりと伸び、つま先はやや外側に開き、地を踏むさまはまるで二枚の羽根か水面にとまるトンボ、清らかな風のようだった。

 船長夫人は彼女の姿が見えなくなるとようやく身体の向きを変えて部屋に入り、ドアのベルが夜のしじまの中で軽やかに音を立てた。夫人は真っ暗な室内を眺め、無言の吐息を漏らした。室内は静まりかえり、船長はすでに暗闇の中で安らかな眠りに落ちていた。彼の身体は衰える一方で、先ほども話が終わらないうちに疲れてしまい、ベッドで休むほかはなかったのだ。彼があとどのくらい持ちこたえられるのか、また自分自身もあとどれほど長く持ちこたえられるのか、彼女にはわからなかった。ただ自分が彼に従い船に乗った時から、この日が来ることはわかっていた。彼女は彼と共にこの船の上で年老い、一日でも長く生きられるのなら地球と火星の間をその分だけ長く航行するのだとすでに覚悟を決めていた。彼女は部屋に入り、背後でドアをそっと閉めた。

 少女の名はロレイン。水星団(マーキュリー)に所属する学生で、十八歳。ダンスを学んでいる。

 

 船の名はマアース。火星(マーズ)と地球(アース)の名を組み合わせて名づけられ、その性質をイメージ豊かに表し、感動的な対話と歩み寄りの精神を体現した名前でありながら、美的感覚に欠ける実用主義的な名称の典型でもあった。

 船の技術は複雑ではなく、構造とエンジンは戦前の伝統を保っていた。太陽エネルギーによって蓄電し、円筒状の船体が回転することによって重力を得る。このような構造は穏当で堅固だが、動作は遅く、体積は大きい。地球であろうと火星であろうと、戦時には技術が大きく発展し、より速い船を建造し、より短い時間で目的地に到達する能力を持った。だがマアースは唯一の船だった。三十年が過ぎ去っても、何ものもそれに代わることはない。それは緩慢さと巨大さのために攻撃力を備えることはなく、それによって双方が暗黙の了解のうちに歩み寄るバランスに達することができた。船は拙(つたな)さをもって巧みさに打ち勝ち、緩慢をもって敏捷を克服し、不可能をもって可能を乗り越えた。恐れと疑惑がまだ消え去っていない氷のように冷たい真空の中で、それはまるで一匹の巨大な鯨のように、ひとりきりで緩慢な弧を描く。それは誰よりもはっきりとわかっている。かつて戦いを交えた者たちにとって、最も乗り越えがたいのは物理的な距離ではないということを。最も古めかしいものが、もしかすると最も優れたものであるのかもしれない。

 船内は四つのエリアに分かれ、円柱に対応して九〇度ずつに区画されている。各エリアは通路でつながっているが、かなりの距離があり、経路は複雑で、普段は行き来する者は少ない。三つの団体と船員はそれぞれのエリアに居住し、同じ船の中で百日間航行していても、直接接触することはめったにない。パーティーは多いが、そこでの会話は堅苦しいものだ。

 三つの団体にはそれぞれの特徴があった。火星代表団はすべての任務を終えて帰郷の途についたところであり、そのため愉快な気分で、リラックスし、だらけ、なりふり構わず、ふるさとにいるような口調で美食を語り、子どもの話をし、地球での数多くの出会いについて話し、中年期の悩みを愚痴り、食堂で談笑し、久々の料理を前に水を得た魚のように生き生きと、話に花を咲かせている。

 学生団は最後の馬鹿騒ぎをしている。この二十人の少年たちは十三歳で家を離れ、十八歳で成人するまで、お互いが唯一の同じ火星生まれの仲間で、普段は地球の各地に散らばり、顔を合わせることはめったになかったから、この航行は彼らにとって実に貴重なだんらんだった。まるまる百日間というもの、彼らは喜び集い、酒を飲んで笑い騒ぎ、無重力ジムで球技をし、夜ごとに楽器を奏で歌を歌った。

 地球代表団はまったく別の顔をしている。代表団のメンバーはそれぞれ別の国から参加しており、互いを知らず、まだ相手を理解する段階だった。ビジネスでの会食を除けば、バーで慎重に言葉を交わすだけだ。代表団には国家の指導者や著名な科学者、工業界の大物、メディアの巨頭がいる。ある意味で彼らは似通っており、衆目を集めることに慣れてはいるが、心の中ではよそよそしい。シンプルな服を着て袖口から贅沢をちらつかせ、言葉は親しみやすいが自分自身を語ることは少なく、目つきの傲慢さを押し隠してはいるものの、その気遣いを他人に見せつけている。

 地球エリアの小さなバーでは、二、三人で集う姿がしばしば見られる。彼らは薄手のパイピングシャツを着て、小声で会話をしている。バーは地球の習慣にならって装飾されており、格式張って、照明は薄暗く、口の広いグラスに氷を入れた薄いウイスキーが立てる波がきらめき、回転する。

「なあ、正直な話、君はアントーノフと王(ワン)とのいさかいに気づいたかね」

「アントーノフと王の? いえ。何もないと思いますが」

「よく見てごらん。君は他人よりもよく観察すべきだ」

 話しているのは禿頭の中年男性と褐色の髪の青年だ。中年の男は質問した時、満面の笑みを浮かべた。あごひげはなめらかに剃り上げ、薄いグレーの瞳は夏の日の海の水のように目まぐるしく表情を変える。青年は口数が少なく、時々返事をする代わりにただほほ笑む。巻き毛が額にかかり、深い褐色の瞳は眉骨の下に隠れ、表情ははっきり見えない。中年男性の名はテイン、地球のタレス・メディア・グループの後継者にして最高経営責任者(CEO)だ。青年の名はエーコ。代表団付きのドキュメンタリー映画監督で、タレス・グループの専属アーティストでもある。テインが言ったアントーノフはロシアの、王は中国の代表で、領土問題のために冷戦状態にある。代表団のメンバーの関係は複雑で、国同士の背景には長きにわたる紛争があり、表面上はぶつかり合うことはないが、水面下では様々な感情が入り乱れている。テインは国籍に縛られない人間だ。彼は四カ国のパスポートを持ち、五カ国で生活し、六カ国の食事をし、七カ国の時差に耐えている。そうした国と国との紛争に対していつも笑みをたたえて傍観し、明確に把握していながら意に介さない。二十二世紀後期の最も典型的な生活観念を持ち、国に対しては笑ってやり過ごし、グローバル化の後も残る歴史的問題については嘲笑する姿勢を取り、理解しようとはしない。エーコは様々な事情を理解してはいたが、普段は反応しないようにしている。代表団の内部がそれぞれの欲望にあふれているのは、そもそもこれ以上ないほど正常なことだ。火星に向かう一人一人に自分の欲するものがあり、エーコも例外ではなかった。

「今回の最高の撮影素材は何だと思うかね」テインがほほ笑んで尋ねた。

「何ですか」

「少女だ」

「少女?」

「水星団(マーキュリー)の少女だよ。名前はロレイン」

「ロレイン? 誰だろう」

「髪が黒くて一番長い子だ。色白で、ダンスを習っている」

「見たことがある気がします。彼女がどうしたのですか」

「彼女は今回火星に戻り、舞台に上がるんだ。ソロでね。極めて美しいはずだ。彼女を追いかけて撮ればきっと受けるぞ」

「それから?」

「それから、とは?」

「それから……ほかの理由です。あなたの真の理由」

「君は質問が多いね」テインは笑った。「だが、教えてあげよう。彼女の祖父は現職の火星総督だ。彼女は独裁者のたった一人の孫娘だ。私も知ったばかりだよ」

「……では、総督にお伺いを立てるべきでは?」

「必要ない。できる限り誰にも知られるな。面倒を起こしたくない」

「戻って面倒に巻き込まれるのは構わないのですか」

「戻ってからのことはその時に考えるさ」

 エーコは答えず、賛成も反対もしなかった。テインもまた、賛成か反対かは尋ねなかった。こうした共通の沈黙が最適だった。表面的な同意は何もとりつけられていない。エーコは承諾による束縛を受けず、テインは教唆の罪を負わない。エーコはただ静かに手の中のグラスを揺らし、テインは満面の笑みをたたえて彼を見つめている。

 テインは数多くの映画を製作してきた経験があり、どのような売り方をすれば狙った客層を引き寄せられるかを心得ていて、問題別の解決方法も知っていた。エーコはこの業界に入って日が浅く、まだ学生臭さが抜け切らず、アイディアは多いものの、世間ずれしたことは好まなかった。テインは時間の力を信じていた。彼はそんな孤高を気取った駆け出しの若僧をあまりにも多く見ており、悟ったふりをしながら最後には態度を変える者も大勢見てきた。才能で生きていくためには、誰もおごり高ぶっているように見られてはならないのだ。

 バーにはエレクトロ・スウィングがゆったりと流れ、すべてのテーブルの商談と密談を覆い隠している。室内は暖かく、どのネクタイも慎みを失って緩められている。従業員はおらず、飲み物は壁のボトルから選択すれば自動的に流れてくる。天井から半球形の色ガラスのランプシェードが垂れ下がって薄暗い光をまき散らし、友好を装った顔や、それぞれの思惑をめぐらす頭を覆っている。笑い声が時折聞こえ、着陸前の最後のあいさつを交わしている。

 代表団の目的は複雑多岐にわたっていたが、大きな方向性はあった。それは技術だった。技術とは金だ。二十二世紀を通して、知識と技術は絶えざるキーワードであり、世界を構成する部品、相互依存の源であり、金融体系における新たな通貨形式だった。技術の国際的信頼は、かつての金本位制のように、複雑で脆弱な国際関係の中で調和しがたいバランスを保っていた。知財取引が世の中で最も重要な役割を演じ始め、それは戦争による断絶を打ち破り、火星をもその中に組み込んだ。人々は、火星こそがエンジニアの農場(ファーム)であり、知識がその独立を促し、荒稼ぎを可能にするものだと考えた。

 音楽がたゆたい、灯火がたゆたい、ほほ笑みがたゆたい、抜け目ない計算がたゆたっている。

 バーは薄暗く、壁には旧時代の写真が掛かっているが、気に留める者は誰もいない。新参の客たちは、写真の後ろにひび割れが隠されていることを知らない。ある写真は二十年前の弾痕を隠し、別の写真は十年前にできた傷痕を隠している。かつて、金のたてがみのライオンのような老人がここで大声を上げ、白髪白ひげの老人がここで罠を暴きもした。二人の名はガリマンとロニング。ガルシアのデスクにある四人の写真のうちの二人だ。

 すべての紛争が静まると、すべての不快事が誤解であったことが文書によって証明され、すべての痕跡が覆い隠された。バーはなおも優雅なバーのまま、写真はダークブラウンの装飾フレームに入れられ、巧みに、整然と掛けられている。

 船はあと半日で到着する。パーティーは止み、興奮は静寂へと変わるだろう。船内にしつらえられた乗客のための舞台は取り壊され、卓上のナフキンと花は撤去され、枕とシーツは回収され、スクリーンはひそかに下ろされ、埃は清められ、宮殿のごときパントリーは空っぽになり、すべての部屋は透明な静けさへと戻るだろう。ただなめらかな床と透明なガラスのテーブルと椅子が残され、赤子の身となった船だけが残される。

 船はすでに飽満と空虚を幾度も経験してきた。宴卓には時代によって様々に異なるクロスが掛けられ、絨毯はすべての時代の対決を目撃した。船はすでに空虚に慣れ、無から有へ、そしてまた有から無へ、モノクロからカラーへ、そしてまたモノクロへの移り変わりに慣れてきた。キャビンの通路には多くの写真が掛けられ、人類が写真機を発明したばかりでまだ宇宙に移民していなかった時代のモノクロ写真から、戦後のそれぞれが繁栄しそれぞれが奢(おご)った時代の三次元写真まで、ありとあらゆる写真があった。曲がりくねる通路に沿ってそぞろ歩き、グレーの壁をなで、ローマ風の廻り縁を伝って進み、階段を昇り降りすれば、入り乱れる時間に任せて、数多くの時代の中を行き来することができる。このそぞろ歩きは何らかの時間の終わりへと人を導くことはない。なぜなら写真がそもそも、時代順に並べられていないからだ。戦後が戦前につながり、二〇九六年が一九〇五年につながる。順序がバラバラになれば、対立は覆い隠される。火星と地球は壁面で安らかに同居し、様々な論理の中で様々に循環する歴史を並べる。

 船が岸に着くたびに、あらゆる道具や装飾は棚へ収納されるが、それらの写真だけは取り外されない。任務のないそうした日々の中で、船長が一人で通路をめぐり、写真の一枚一枚をそっと磨いていることを知る者はない。

 船がドック入りする前、灯火が輝くパーティーは最後のひとときを迎えた。

 ロレインはその迷宮のような宇宙船の真の構造をずっとつかめずにいる。無重力ジムだけが彼女の心の中で変わることのないよりどころだ。無重力ジムは船の最後尾にある巨大な球状の船室で、船体と反対方向に回転することで無重力を実現している。外側には展望台がめぐらされ、そこは彼女の一番好きな休憩場所だった。舷窓は足元まで達し、果てしない宇宙の暗闇を見渡すことができる。

 ロレインは船長室からそこへと急いで通路を通り抜けた。展望台には誰もおらず、舷窓の外は夜空が渺茫(びょうぼう)と広がっている。まだ行きつかないうちから、潮騒のような歓声が室内で弾けるのが聞こえた。彼女はゲームが終わったことを知って足取りを早め、慌てて駆け寄ると扉を押し開けた。

 室内はまるで盛大に花火を打ち上げたかのようだった。

「誰が勝ったの……」ロレインはそばにいる人を捕まえて尋ねた。

 答えを聞く間もなく、ロレインはすぐさま誰かに強く抱きしめられた。呆然とする。レオンだった。

「最後の試合だ」レオンの声はくぐもっている。

 彼はロレインを放すと、近づいてきたキングスレーと抱き合い、肩を乱暴にぶつけ合う。アンカが人混みをかきわけてロレインのそばまで来たが、何も言わないうちに後ろのトーリンに肩を引き寄せられた。ハニアが彼らのそばまで飛んでくる。ロレインには彼女の目じりに涙が光っているのが見えた。

 ミラーがジオ酒を二本開けると、彼らは球状の部屋の中央に酒を注ぎ、酒は無数の金色に輝く小さな球体となって漂った。皆は壁を蹴って空中を舞い、宙に浮いたまま身体を回転させ、口を開けてその小さな球をつかまえる。

「勝利に!」アンカが叫ぶと、応える声が部屋中に轟(とどろ)いた。「明日の着陸に」ロレインは彼が続けてつぶやくのを聞いた。

 彼女は上を向いて目を閉じ、後ろへ倒れた。まるで形のない手に託されるように、広大な星空の懐に横たわるように。

 それは彼らの最後の夜だった。

 

 火星時間午前六時、マアースは朝日を伴い、まだ眠りの中にいる火星大陸に接近し、定刻通りに火星同期軌道上の乗継ターミナルにドッキングした。ターミナルは環状で、片側にはマアースが、反対側には地表と行き来するための飛行艇が十五機停まっている。

 ドッキング完了まで三時間かかるため、船上で安眠をむさぼる乗客には、まだ夢の世界に浸る時間がたっぷりあった。船はセントラルエリアへと少しずつ入っていき、前方のガラス越しに眺めると、環状のターミナルはまるで壮麗な神殿の門のよう、船は聖地を巡礼する鳩のように、緩(ゆる)やかに清らかに飛んでいる。太陽は背後にあり、ターミナルのアーチは陽光に照らされ四方へ金色の輝きを放ち、明暗をくっきりと分けている。飛行艇は反対側で静かに整列し、神殿の衛兵のように、均等に開かれた扇のように、左翼をターミナルに接続し、右翼は火星の表面の埃っぽい風が渦巻く赤い土を指し示している。

 その時、船上の百二十人の乗客のうち三十五人が目覚めていた。ある者は立ち、ある者は座り、自室で、あるいは人気(ひとけ)のない一角で、ドッキングを眺めていた。船が完全に静止する瞬間、彼らはみな思い思いの方法で素早くかつ誰にも知られずに自分のベッドへと戻った。船がこの時ほど静かだったことはない。一時間半後、柔らかな音楽が響き出し、すべての人が寝間着のまま、目をこすりながら朝のあいさつを交わした。てきぱきと手際よく身支度を整え、にぎやかに和気藹々(わきあいあい)と集う。乗客たちは互いに言葉を交わし、礼儀正しく別れを告げ、それぞれの飛行艇へ乗り込み、散り散りになった。地球暦二一九〇年、火星暦四〇年のことだ。

(3/26発売『流浪蒼穹』につづく)


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