『キングコング・セオリー』のヴィルジニー・デパントが贈る長篇小説。『アポカリプス・ベイビー』10月刊行
早川書房では、10月19日に『アポカリプス・ベイビー』を刊行いたします。この小説は、エッセイ『キングコング・セオリー』(柏書房、2020年、相川千尋訳)が去年日本でも話題になった、フランス人作家ヴィルジニー・デパントによる、女性バディが活躍するシスターフッドものの長篇小説です。フランスで20万部超の売り上げを記録し、フランスの権威ある文学賞、ルノードー賞も受賞したベストセラーの日本語訳が満を持して刊行されます。
今回は、いち早く、そんな『アポカリプス・ベイビー』のあらすじと、海外での賛辞の一部、著者の略歴をご紹介いたします。
あらすじ
パリの調査会社R社に勤務する調査員ルーシー・トレド。仕事にやる気はなく、30歳半ばになっても未成年の素行調査ばかりしている自分の冴えない生活に嫌気がさしている。ある日、15歳の少女ヴァランティーヌの素行調査中、地下鉄でターゲットを見失ってしまい、少女の行方がわからなくなってしまう。彼女を見つけ出すため、《ハイエナ》と呼ばれるレズビアンの凄腕私立探偵と組んでヴァランティーヌの行方を追う羽目に。
ルーシーと《ハイエナ》は、ヴァランティーヌの周囲の人々に聞き込みをしていくうち、まだ赤ん坊だった頃に少女を置いて出ていった実母が、新しい夫とバルセロナに住んでいることを摑む。ルーシーと《ハイエナ》は一路、バルセロナに車で向かい、ヴァランティーヌの行方を追うが……。
賛辞
・絶好調のヴィルジニー・デパントだ。-《Le Soir》
・『アポカリプス・ベイビー』には、「ベーゼ・モア」のヴィヴィッドさや皮肉、活気など、全ての要素が詰まっている。デパントの、社会や格差に対する鋭い観察眼、弱者に対する共感などが溢れており、[...] 一言では言い表せないスリラーになっている。-《L'Express》
・デパントが作り出す人物は、深く傷つきながらもとても興味深い。従来の典型的な女性キャラクターの限界を軽々と超えてみせ、荒んだヨーロッパの階級社会、インターネット規制への物議などを巧みに描きだす。 そして、若者文化の芯のない薄っぺらさ、破壊的な自己中心性をあぶりだし、 若者がいかに闇の勢力に簡単に操られてしまうかを描いている。-《Kirkus Review》
著者紹介
ヴィルジニー・デパント
©JF PAGA
1969年、フランス・ナンシー生まれ。小説家、映画監督、歌手。1994年に『バカなヤツらは皆殺し』(原書房)で作家デビュー(『バカなヤツらは皆殺し』は、2000年に「ベーゼ・モア」という名前で公開された映画の原作)。『キングコング・セオリー』(柏書房)でラムダ文学賞(LGBTを扱った優れた文学作品に与えられる賞)、『アポカリプス・ベイビー』(早川書房近刊)でルノードー賞、『ヴェルノン・クロニクル』でアナイス・ニン賞など、これまでに10あまりの文学賞を受賞。その他の作品に、フランスで100万部以上を突破したベストセラーシリーズ『ヴェルノン・クロニクル』などがある(早川書房からはシリーズのうち最初の2作、『ウィズ・ザ・ライツ・アウト 1:ヴェルノン・クロニクル』と『ジャスト・ライク・ヘヴン ヴェルノン・クロニクル 2』が刊行済み)。現代フランスを代表する作家の一人である。
書誌情報
書名:『アポカリプス・ベイビー』
著者:ヴィルジニー・デパント
訳者:齋藤可津子
2021年10月19日発売/四六版並製
ISBN:978-4-15-210055-9