わたしたちはきっと克服できる――『三体』著者・劉慈欣氏より、日本の読者へのメッセージ
新型コロナウイルスの猛威が世界中を襲っています。不安な思いを抱きながら過ごしている方も多いのではないかと思います。そこに、『三体』著者の劉慈欣氏から、日本の読者のみなさまへメッセージが届きました。日本を励まし、勇気づけるあたたかなメッセージを、『三体』翻訳者・大森望氏の訳で掲載いたします。(編集部)
地球は、広大な宇宙空間を航行している宇宙船です。もしかしたら、わたしたちはいつか、それがとても小さな船だったと気づくかもしれません。この船で感染症が広がるとき、その病原体は、どれかひとつの船室だけに閉じ込められているわけではありません。すべての乗員乗客――すなわち全人類にとって、共通の問題なのです。地球という船が避難できる港はなく、ほかの船が救助に駆けつけてくれることもありません。過去、さまざまな疫病が何度もこの船を襲いました。そしてこんにち、科学とテクノロジーの力によって、病原体が引き起こす害悪は、ずいぶん小さくなっています。人間が相互の信頼を高め、ともにこの船のためにつくそうと心を決めたら、わたしたちはきっと今回の問題を克服できる。わたしはそう信じています。そしてそのとき、宇宙船地球号は、きっと、よりよい明日を目にするでしょう。(翻訳・大森望)
『三体』(Amazonページに飛びます)
著=劉慈欣(りゅう・じきん/リウ・ツーシン)
訳=大森 望、光吉さくら、ワン・チャイ
監修=立原透耶
装画=富安健一郎/装幀=早川書房デザイン室
『三体Ⅱ 黒暗森林』は 2020年初夏刊行予定です。どうぞお楽しみに。