犠牲者300人のマフィア抗争の実録。伝説のヒットマンが自ら語る真相『復讐者マレルバ――巨大マフィアに挑んだ男』(早川書房、6月8日発売)特別記事

イタリア・マフィアのボスを含む300人もの犠牲者を出した抗争。その中心には1人の青年がいた――。

早川書房では、6月8日にジュセッペ・グラッソネッリ&カルメーロ・サルド著『復讐者マレルバ――巨大マフィアに挑んだ男』(飯田亮介訳)を刊行します。
本書は、1980年代末から90年代初頭にかけてイタリア全土を震撼させたマフィア抗争の中心人物による回想録です。

◆四大マフィアとの対決
イタリアでは、シチリアのコーザ・ノストラ、ナポリのカモッラ、カラブリアのンドランゲタ、プーリアのサクラ・コローナ・ウニータという大きな組織があり、「四大マフィア」と呼ばれています。
本書で描かれる抗争は、コーザ・ノストラと、新興マフィアのスティッダによるものです。

◆はぐれ者たちの同盟スティッダ
そのスティッダの中心人物が、著者のグラッソネッリです。 スティッダは、シチリアの方言で「星」を意味し、元ははぐれ物のマフィアを意味する隠語だったようです。当初は各地に散在していて、コーザ・ノストラが問題視するほどの力のある存在ではなかったとのこと。
それが、グラッソネッリを中心に初めて同盟を組み、伝統的なマフィアに対抗する組織へと成長していく様子が本書で描かれています。

◆本書に登場する主な事件
本書では、著者のジュセッペ・グラッソネッリは「アントニオ・ブラッソ」という名前で登場し、他の人名や地名も仮の名が使われています。
アントニオ・ブラッソという名は、グラッソネッリが本書で描かれる人生の一時期に使用していた偽名です。

仮名が使われているものの、作中の事件は、実際のものと一致しています。事件の名前はつぎのとおりです。

◆アントニオ・ブラッソ(グラッソネッリ)とは何者か
本書のタイトルにある「マレルバ」とは「雑草」を意味します。手のつけられない悪ガキだったため、周囲の大人からそう呼ばれていました。
少年ギャング団の頭としてケンカに明け暮れ、ベスパのパーツを盗んで改造し乗り回していました。
17歳でお尋ね者となって地元シチリアを追われ、ドイツのハンブルクに逃れると、二枚目のギャンブラーとしてイカサマ賭博で勝ちつづけ、さまざまな女性と関係をもつ放蕩生活を送るようになります。

◆殺るか、殺られるか――血塗られた日々
ところが、21歳のある日、アントニオの人生は一変します。
コーザ・ノストラに彼と家族が襲われたのです(ポルト・エンペドクレの第一の虐殺事件)。
残された道は、殺るか、殺られるか。
復讐者と化したアントニオは賭博で金を稼ぎ、銃を仕入れ、敵を撃つ。やがて新興マフィアのスティッダのボスに成り上がり、仇敵を追い詰めていきます。
この血塗られた日々が本書の中核を成しています。

◆逮捕、服役、本書の執筆
グラッソネッリは1992年、逮捕されます。判決は、終身刑4回と懲役30年。現在までに20年を越える刑期を重ねているものの、このまま死ぬまで刑務所で暮らすものと見込まれています。この判決の厳しさについては、本書末尾と訳者あとがきで詳しく記されています。
長い刑期において、グラッソネッリには出会いがありました。相手は、やがて共著者となるジャーナリストのカルメーロ・サルドです。グラッソネッリが回想録の原稿をサルドに送り、面会を重ねるなかで、本書は執筆されていきます。
また、サルドは、本書と取材をもとにしたドキュメンタリー映画Ero Malerba(仮題『俺はマレルバだった』)の脚本を執筆しています。同映画には、グラッソネッリも登場しています。

本書は、2014年にレオナルド・シャーシャ賞を受賞しています。この賞は、マフィア問題を取り上げることも多かった作家シャーシャの名を冠した文学賞です。
服役中のグラッソネッリの作品がノミネートされたことに対して批判の声もありました。それでも、自らの過去に真摯に向かい合った記録は高く評価され、受賞に至ったのです。

***

ジュセッペ・グラッソネッリ&カルメーロ・サルド/飯田亮介訳『復讐者マレルバ――巨大マフィアに挑んだ声』は2017年6月8日発売。

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著者紹介
ジュセッペ・グラッソネッリ Giuseppe Grassonelli
1965年、イタリア・アグリジェント県ポルト・エンペドクレ生まれ。1980年代末から90年代初頭にかけてシチリア・マフィアの主流である「コーザ・ノストラ」と抗争をくり広げた新興マフィア「スティッダ」の中心人物。1992年に逮捕され、2017年現在も服役中。

カルメーロ・サルド Carmelo Sardo
1961年、イタリア・アグリジェント県ポルト・エンペドクレ生まれ。全国放送のテレビニュースTG5で副編集長を務めるジャーナリスト。「スティッダ」をテーマとするノンフィクションCani senza padrone(仮題『主なき犬たち』)も刊行している。

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