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早川書房が贈る1,000点超えの大規模セール「春のハヤカワ電子書籍祭」開催中!~担当者のオススメ偏愛作品【第4回:ミステリ篇】

 ミステリ研出身ミステリ編集者歴20年のM・Kです。普段からだいたい美味しいものとミステリのことしか考えていません。パソコンで「復習」と入力したつもりが「復讐」に、「考察」と入力したつもりが「絞殺」と変換される、ガチ☆ミステリ勢です。

 さて、3月13日から始まった最大50%オフの「春のハヤカワ電子書籍祭」。1000タイトル以上が対象書籍ですが、多すぎてミステリでは何が入っているか、わからないですよね。てゆーか、ぶっちゃけ、SFが売り上げ上位で、クッソ、負けるなミステリ!!と思って、こんな対象ミステリ書籍紹介100本ノックをやってました。
https://twitter.com/kozukata/status/1239521393911328770

 今回は、そんな中から、厳選5作をご紹介していきます。

「春のハヤカワ電子書籍祭」ラインナップ一覧はこちら。

1巻の『ドラゴン・タトゥーの女』から、最新6巻『死すべき女』まで、すべてがセール対象です。北欧ミステリがこれだけ注目を集めるきっかけとなったのが、この〈ミレニアム〉シリーズ。イケオジ・バリ攻め雑誌発行人のミカエルと萌えてんこ盛りっ娘のスーパーハッカー・リスベットが、犬神家的な一族の不可能殺人から人工知能開発を巡る世界的陰謀まで、ときにボロボロになりながらも解決していきます。キャラ、謎解き、社会問題など、あらゆる要素が結集した、現代ミステリの頂点です。

名作古典もたくさん入ってます。名だたる新本格の作家たちが愛し、お手本にしたエラリイ・クイーン。新訳版はこの『九尾の猫〔新訳版〕』と『災厄の町〔新訳版〕』が登場。他にも旧訳クイーンもたくさん入っているので、一気読みのチャンス! ちなみに私はうっかり先に旧訳版を買ってしまい、新訳版を買い直したのでご注意ください。いや、両方読みますけどね! 作家にして名探偵エラリイ・クイーンがあらゆる不可能犯罪を看破します。そういえば昔、ミステリ研の後輩がエラリイの嫁になりたいってゆってたな……。

ちょうど昨年のいまごろ、冒険小説男子と腐女子のハートを撃ち抜いた、潜水艦アクションの映画原作です。みんな大好きゲイリー・オールドマンが出てるよ。もうそれだけでだいぶ質は担保されてるよね。ウットリ……………。青井邦夫先生曰く、間違いない軍事や武器の設定で、リアリティ満載です。潜水艦て、究極の大密室じゃないですか。潜入も脱出も困難な状況で少数精鋭で仕掛けるミッション。高まる緊張、深まる連帯感。映画よりもさらにサーヴィスシーン多めの小説版です。

天才すぎて20代で大学教授になった〈黒猫〉が、〈付き人〉を振り回しながら、美学とエドガー・アラン・ポウの講義を通して日常に潜む不思議な謎の数々を解き明かしていく〈黒猫〉シリーズ。第1回アガサ・クリスティー受賞以来の人気シリーズです。最終選考の様子をいまでも覚えていますが、当時から完成度が高く抜きんでていたので、20分で選考が終わってしまい、あれ? こんなに早いものだっけ? とみんなで笑ってしまいました。ところで、当時、〈付き人〉ちゃんのイメージを著者の森先生にうかがったら、「宮崎あおいさん」という答えが返ってきて、編集部女子一同「(爆発しろ!)」と思った遠い記憶。

長篇をじっくり読んで別世界にひたるのもいいですが、パパっと意識をきりかえたいときなどに優れた短篇を読むのは最適です。そして優れた短篇集がこれ。ローレンス・ブロックは当代一流のミステリの巨匠で、短篇の切れ味が尋常じゃない! たとえば履き古してせっかく着心地がよくなったジーンズを古着屋に売ったのは何故という疑問からとんでもない災難に巻き込まれる表題作や狙った魚を絶対に逃がさない釣り師や犯人を見つけるまであの世に行けない男の話など。うっめぇなあ! と驚きのあまり、憂鬱なことが吹っ飛びます。

「春のハヤカワ電子書籍祭」ラインナップ一覧はこちら。


 駆け足でご紹介してまいりましたが、全然、全然、ご紹介したりないです。だってまだまだあるんですよ。「100日後に死ぬワニ」的に「150日後に死刑執行」される『幻の女〔新訳版〕』とか、イタリアン・ビブリオ荒くれ対決の最新刊『七つの墓碑』とか、競馬だけじゃない究極の仕事人小説ディック・フランシスがシリーズで読めるとか、もうほんときりがないのですが、せっかくのお得なチャンスなので、お手に取ってみていただけたら嬉しいです。4月13日まです!(M・K)