2018年に花束を。SFマガジン「百合特集」内容紹介
予告していたSFマガジン2019年2月号(12/25発売)百合特集の全貌を公開します。合計114ページ、2018年最大ボリュームの全力特集となりました。ジャンルの愛好者はもちろん、物語とキャラクターが好きなすべての方々に読んでいただきたい1冊。年越しは百合とSFで過ごしましょう。
●表紙&巻頭イラスト
<harmony/> 10th Anniversary
シライシユウコ
2008年12月25日に刊行された、伊藤計劃『ハーモニー』の10周年記念イラスト。単行本版のカバーを担当したシライシユウコさんにより、作中の主人公・霧慧トァンと御冷ミァハの子供時代が表紙に、その13年後の再会が巻頭カラーで描かれる、2枚1組の記念イラストです。
●特集小説
「キミノスケープ」宮澤伊織
『裏世界ピクニック』の著者にして「百合が俺を人間にしてくれた」の記事も話題を呼んだ宮澤さん。そこで語られた「不在の百合」が短篇になりました。ある奇妙な状況に陥った「あなた」の感情が、数々の風景とともに描かれます。
「四十九日恋文」森田季節
死者の霊魂とメールでの交信が可能になり、命日からの四十九日を、亡くした大切な人と過ごせるようになった未来。ただしそこには、生者と死者を分かつルールがあって……「百合姫」連載経験もある森田さんによる、直球の恋愛SF小説。
「幽世知能」草野原々
「ワイドスクリーン百合バロック」「ハード百合SF」など独自の創作論を提唱する草野さんによる、実践的で実験的な特集短篇です。この現実とは異なる「幽世」との接続により「理由」と「理解」という2つの理を探求する、哲学的ハードSF!
「彼岸花」伴名 練
ある1冊の、血の匂い香る日記帖。そこには2人の少女の、密やかで壮絶な心の交流がありました……歴史改変SF×吸血鬼百合とでもいうべき、特集内で最長、合計24ページの至高の書簡体小説。著者の伴名さんは本作でSFマガジン初登場となります。
●特集読切コミック
「ピロウトーク」今井哲也
『アリスと蔵六』などでおなじみ、今井さんによる読切特集コミックです。「お気に入りの枕をなくしてしまって1秒たりとも眠れない」先輩といっしょに毎日廃墟を探索して過ごす私の、通じ合ったり合えなかったりする淡い感情の軌跡。
●インタビュウ
世界で唯一の百合専門誌
〈コミック百合姫〉編集長インタビュウ
聞き手&構成:柴田勝家
世界で唯一の百合専門誌に、百合をこよなく愛する武将SF作家が突撃! 初代編集長の中村成太郎さんと、現編集長である梅澤佳奈子さんのおふたりにお話を伺いました。いま、百合とSFの歴史が交差する!(※写真は柴田勝家先生です)
小説家 月村了衛インタビュウ
聞き手&構成:青柳美帆子
『機龍警察』シリーズの著者・月村了衛さんにお話を伺いました。なぜ百合特集でなのか? それは本誌でお確かめください。「究極の百合」について語られるほか、最新刊『東京輪舞』や、キャラクター創作論のお話も。
●エッセイ
「百合と異界は児童小説の……」
令丈ヒロ子
今年『若おかみは小学生!』が劇場アニメ化され、大好評となった令丈さん。ツイッター上でいただいた「百合と異界は児童小説の伝統」のお言葉をきっかけに、児童小説における百合要素について語っていただきました!
“数年前よりミニシアターの「インディーズ邦画」のカテゴリーにおいては、常に「百合の嵐」が吹き荒れている(……)今、間違いなくミニシアターは最も百合に愛され、輝いている場所だといえるだろう――”
「花に埋もれて死ね または今、ミニシアターで何が起こっているのか?」
将来の終わり
『リズと青い鳥』で死にかけた方々へ贈るミニシアター百合ガイド。『思春期ごっこ』『5つ数えれば君の夢』ほか、「強い百合」の数々を紹介します。推薦リスト19作も併録!
「このSFが百合としてすごかった ~2018」
いとう階(イラストエッセイ)
ねとらぼさんの対談『2018年は「百合の多様性の時代」』でも濃厚なトークを繰り広げた、いとうさんによるイラストエッセイ。《スプロール》3部作や『機龍警察』などの作品がめっっちゃ楽しく語られます。
●百合SFガイド2018(全39作)
SFマガジンの読者にオススメの百合SF作品を、小説・コミック・アニメ・ゲームの各ジャンルから計39作を選出して解説します。『紫色のクオリア』『からくりアンモラル』『ラギッド・ガール』『となりのロボット』『少女終末旅行』『ハーモニー(漫画版)』『神無月の巫女』『少女革命ウテナ』『VA-11 Hall-A』ほか多数。
青柳美帆子/いとう階/乾 智志/鯨井久志/佐野泰之/将来の終わり/鈴木 力/谷林 守/俳乱土/林 哲矢/隼瀬茅渟/伏見 完/冬木糸一/古脇瓊児
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