たったひとりの味方だったおばあちゃんは、亡くなる前に、7歳のエルサにある任務を与えた……。心温まる長篇『おばあちゃんのごめんねリスト』
映画版も大ヒットした『幸せなひとりぼっち』でデビュー。母国スウェーデンのみならず世界中にファンを持つ作家、フレドリック・バックマン。
このたび長篇第2作『おばあちゃんのごめんねリスト』が発売となりました。ここに特別に第1章を公開します!
フレドリック・バックマン、坂本あおい訳、早川書房(カバーイラスト:くのまり)
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1 タバコ
7歳の子にはスーパーヒーローがいていい。理屈抜きに。それに賛成しない人は、頭のなかがバカにちがいない。
エルサのおばあちゃんはいつもそう言っていた。
エルサは7歳で、あと少しで8歳になる。7歳をやるのがあまり上手じゃないのは本人もわかっている。自分が変わってることも知っている。学校の校長先生からは〝同級生とうまくやる〟ために〝まわりに合わせなさい〟と言われているし、ほかの大人たちには〝年のわりに大人だ〟と言われる。〝その年のくせにえらく生意気だ〟を言い換えているだけだということは、エルサもわかっていた。〝デジャヴュ〟の発音を正したり、〝わたしは〟と〝わたしが〟の区別がなってないと指摘したとき、そんなふうに言われがちだからだ。頭のおよろしい人たちは、案外そこのところが理解できていない。それゆえ、〝年のわりに大人だ〟と言ってエルサの両親に渋い笑顔を向ける。それがハンディキャップか何かのように。あるいは、エルサが7歳なのにバカじゃないことが気に障るみたいに。エルサにおばあちゃん以外の友達がいないのも、それが理由だった。学校の7歳の子はみんな、7歳の子なみにバカだからだ。それにエルサは変わった子だった。
そんなことは気にしなくていい、とおばあちゃんは言う。スーパーヒーローはみんな変わってる。だって、もしも特殊能力がふつうのことなら、みんなが特殊能力を持つことになっちゃうじゃないの、と。
おばあちゃんは77歳で、もうすぐ78歳だ。おばあちゃんもその年齢をやるのがあまり上手じゃない。濡れた靴につめた新聞紙みたいな顔をしているので年寄りなのは一目瞭然だが、年のわりに大人だと言う人はまずいない。年のわりに〝元気すぎる〟と、人はときどきエルサのママに言う。そう言うときはだいたい困った顔か、とても怒った顔をしているので、エルサのママはいつもため息をついて、今回はいくら弁償すればいいのかとたずねた。病院でタバコを吸って火災報知器を作動させ、駆けつけた警備員にタバコを無理やり消させられて〝最近の政治的正しさなんてクソよ!〟とわめいたこともあった。おなじ建物に住むブリット゠マリーとケントのベランダの真下に雪だるまをつくって、人が屋根から落っこちたように見せるために本物の服を着せたこともあった。メガネをかけた鹿爪らしい身なりの男たちが神とイエスと天国の話をしようと一軒一軒まわってくるのを見て、ガウンの前をはだけさせて自宅のベランダに立ち、ペイントボール弾で狙い撃ちしたこともあった。ペイントボール弾で撃ったことと、ガウンの下に何も着てなかったことの、どっちのほうが大きな迷惑行為かブリット゠マリーは決めかねたものの、念のため両方を警察に通報した。
そんなとき人は、おばあちゃんは年のわりに元気すぎるという感想を持った。まあ、否定はできないかもしれない。
おばあちゃんはイカれてると今では言われる。でも、じつはおばあちゃんは天才だった。同時に頭がちょっとずれているだけだ。むかしは医者をしていて、賞ももらったし、取材されて記事にもなったし、かつては人々が逃げだそうとしている世界一ひどい場所を転々としていた。命を救って、世界じゅうの悪と戦った。スーパーヒーローさながらに。
でも、命を救うには年を取りすぎたとついに人から言われて(その人は本当は〝イカれすぎ〟だと言いたかったんじゃないかとエルサは強く疑っている)、医者を引退した。おばあちゃんはそういう〝人〟のことを〝社会〟と呼んで、今じゃふたことめには政治的正しさが叫ばれて、自分はもう患者の身体を切らせてもらえない、とぼやいた。それに何より手術室でタバコを吸うことに〝社会〟がうるさくなってきて、おばあちゃんにしてみれば、そんな労働環境でだれが働けるかという話だった。
そういうわけで近頃おばあちゃんはいつも家にいて、ブリット゠マリーとママの頭に血をのぼらせていた。ブリット゠マリーはおなじ建物に住むおばあちゃんのご近所さんで、ママはエルサのママだ。そしてじつは、ブリット゠マリーはエルサのママのご近所さんでもある。エルサのママはエルサのおばあちゃんのとなりに住んでいるからだ。もちろん、エルサもおばあちゃんのとなりに住んでいる。エルサはママといっしょに住んでいるからだ。ただし2週に1度の週末は、パパとリセットの家で過ごす。それから、イェーオリももちろんおばあちゃんのご近所さんだ。イェーオリはママといっしょに住んでいる。話は少々込み入っている。
でも、本筋からそれるのは避けるとしよう。要するに人の命を救うことと、人を怒らせること、それがおばあちゃんの特殊能力だ。だからおばあちゃんは、いささか機能不全のスーパーヒーローということになるかもしれない。〝機能不全〟の意味なら、ウィキペディアで調べたのでエルサにもわかる。おばあちゃん世代に言わせれば、〝ウィキペディア〟は〝百科事典。ただしインターネット上の!〟だ。エルサに言わせれば、〝百科事典〟は〝ウィキペディアのアナログ版〟だ。そしてエルサはその両方で〝機能不全〟を調べて、期待どおりにちゃんと機能しないことだと知った。エルサはそんなおばあちゃんが大好きだった。
とはいえ、もちろん今日はべつだろう。なぜなら今は夜中の1時半で、エルサは疲れきってすぐにもベッドにもぐり込みたいのに、おばあちゃんがまたしても警官にフンを投げつけたせいで、それがかなわないからだ。
状況はちょっとややこしい。
エルサは狭い四角い部屋を見まわし、自分の頭を逆向きに呑み込んでしまいそうな大あくびをした。
「だから柵をよじのぼっちゃダメだって言ったじゃん」文句を言って、時計に目をやった。
おばあちゃんはこたえない。エルサはグリフィンドール寮のマフラーをはずして、ひざにおいた。エルサはもうすぐ8年になる7年前の、クリスマスの翌日に生まれた。ドイツの科学者たちが、マグネターが放射したガンマ線の最高値を地上で観測したのとおなじ日だ。もちろんエルサは詳しいところまでは知らないが、〝マグネター〟というのは一種の中性子星だ。音と綴りはちょっと〝メガトロン〟に似ていて、メガトロンというのは『トランスフォーマー』の悪役で、『トランスフォーマー』というのは、質のいい文学をちゃんと読まない人たちが浅はかにも〝子供向け〟と呼ぶテレビ番組だ。トランスフォーマーはロボットだけれど、学術的に考察するなら彼らもスーパーヒーローにふくめられるかもしれない。エルサは『トランスフォーマー』と中性子星の両方にとても魅せられていて、〝ガンマ線の放射〟というのは、たとえばエルサのiPhoneにファンタをこぼしたおばあちゃんが、それをトースターで乾かそうとしたときと似てるんじゃないかと想像している。そしておばあちゃんは、そんな日に生まれたエルサは特別なんだと言う。
特別というのは、変わっているのなかの最上級の意味だ。
けれどもそのおばあちゃんは今、目の前にある木のテーブルの上にタバコの葉の小山をつくり、それをぱりぱりした巻紙で巻いていくのに忙しかった。エルサはうめいた。
「柵をよじのぼっちゃダメだって言ったじゃんって言ったの!」
おばあちゃんは鼻を鳴らし、ライターをさがしてぶかぶかのコートのポケットをかきまわした。今回の件をあまり深刻に受け止めてないようだった。おばあちゃんはどんなことも深刻に考えることがないからだ。タバコを吸いたいのにライターが見つからないとき以外は。
「ちっちゃな柵じゃないの! 目くじら立てるほどのもんじゃないわよ。ああ、あきれる」おばあちゃんは涼しげに言った。
「わたしにあきれないでよ! おまわりさんにフンを投げたのはおばあちゃんなんだから」
「大騒ぎしなさんな。母親そっくりの口調よ。ねえ、ライター持ってない?」
「わたしは7歳だよ」
「いつまでそれを言い訳にするつもり?」
「7歳が終わるまで!」 おばあちゃんは鼻を鳴らし、〝質問するくらいいいじゃないのさ〟と聞こえるような何かをつぶやいて、さらにポケットをさぐった。
「それより、ここで吸っちゃいけないと思うけど」エルサはいくらか冷静な声で言って、グリフィンドールのマフラーの長い裂け目を指でいじった。
「いいにきまってるでしょ。窓をあけりゃいいんだから」
エルサは疑う目で窓を見た。
「たぶん、あけられない種類の窓だよ」
「バカな。どうして?」
「だって柵がついてる」
おばあちゃんは不満げに窓を見た。それからエルサを見た。
「このごろは警察署でもタバコが吸えないわけ。なんてやかましい社会なの」
エルサはもう一度あくびした。
「おばあちゃんの携帯借りていい?」
「何するの?」
「調べたいの」
「何を?」
「いろいろ」
「あなたはインターネットとやらに時間を投資しすぎよ」
「使う、でしょ」
「はいはい、そうですか」
エルサはおばあちゃんを見て首をふった。
「そういうときは投資って言わないでしょう。『ハリー・ポッターと賢者の石』を読むのに二時間投資したなんて言わなくない?」
おばあちゃんはうんざり顔でエルサに携帯電話をわたした。
「頭の使いすぎで死んじゃった人の話を聞いたことない?」
部屋にやってきた警官は、とても、とても、とても、疲れた顔をしていた。テーブルの向かいに腰をおろすと、おばあちゃんとエルサをあきらめの目で見た。
「弁護士に電話したいんだけど」おばあちゃんはすかさず要求した。
「ママに電話したいんだけど!」エルサもただちに求めた。
「まずはわたしの弁護士が先よ!」おばあちゃんは譲らない。
警官は書類の束をいじった。
「きみのママは今こっちに向かってる」警官はため息まじりにエルサに言った。
おばあちゃんはおばあちゃん以外のだれにも真似できない盛大なため息をついた。
「あの子に電話したですって? 頭はたしか? 超かんかんになるわ!」エルサを森においてきてオオカミに育てさせると相手に言われたかのように抗議した。
「お子さんの保護者に連絡しないわけにはいきませんから」警官は静かに応じた。
「あたしだって保護者よ! この子のおばあちゃんなんだから!」おばあちゃんは声を荒らげ、腰をうかせて火のついていないタバコを威嚇的にふった。
「今は夜中の1時半ですよ。だれかにお子さんを見ていただかないと」
「そうよ! あたしが見てるじゃないの!」おばあちゃんはまくしたてた。
警官は取調室のほうをどうにかこうにか愛想よく指し示した。
「それでなんの問題も起きなかったと、ご自分で思ってるんですか?」
おばあちゃんは少々むっとした顔をした。
「ええ……そりゃ……あなたに追いかけられるまでは、問題なんて何ひとつなかったわよ」
「動物園に侵入したんですよ」
「あんなちっちゃな柵──」
「侵入にちっちゃいも大きいもありません」
おばあちゃんは肩をすくめて、テーブルの上の何かをはらうような仕草をした。もうそろそろいいんじゃないのと内心思っているみたいに。
「ふん。ねえ、ちょっと! ここで吸ってもかまわないわよね?」
警官はきっぱり首をふった。おばあちゃんは身をのりだして、目をじっとのぞき込んでにっこり笑った。
「特別に、いいでしょう? あわれな年寄りだと思って」
エルサはおばあちゃんの脇腹を小突いて、ふたりの秘密の言葉に切り替えた。おばあちゃんと孫のあいだには秘密の言葉がなくてはならないと法律で決まってる、とおばあちゃんが言うからだ。少なくともそうあるべきなんだ、と。
「もう! やめてよ、おばあちゃん! おまわりさんにつっかかるのは法律違反らしいよ」
「だれがそんなこと言った?」おばあちゃんは秘密の言葉で聞き返した。
「おまわりさん!」エルサはこたえた。
「おまわりさんは市民のためにいるんじゃないの。あたしは税金だって払ってるんだから」おばあちゃんは頑固に言った。
警官は、真夜中の警察署で7歳と77歳に秘密の言葉で口論をはじめられた人がする表情をした。その後おばあちゃんは誘惑するようにまつ毛をひらひらさせて、もう一度タバコを指さして訴えたものの、警官に首を横にふられたので、椅子にふんぞり返ってふつうの言葉で吐き捨てた。
「政治的正しさが何さ! 喫煙者にとっちゃこの国はアパルトヘイトよりひどいわ」
「どういうスペル?」エルサはたずねた。
「何さ?」全世界が寄ってたかって歯向かってくると言わんばかりに、おばあちゃんはため息をついた。自分は税金を払っているというのに。
「そのアパルトなんとかっていうやつ」エルサは言った。
「Appartejd」おばあちゃんは綴りを言った。
エルサはすぐさまおばあちゃんの携帯でググッた。何度かの試行錯誤が必要だった。おばあちゃんのスペルはいつもとんでもなくでたらめだからだ。その傍らで警官は、ふたりを今から家に帰しますが、日をあらためて出頭し、不法侵入と交通違反の申し開きをしてください、とおばあちゃんに告げた。
「交通違反って何よ?」おばあちゃんは驚いて聞き返した。
「ひとつには違反運転です」
「違反とはどういうことよ? あれはあたしの車よ! 自分の車を運転するのに許可がいるわけ?」
警官は辛抱強く首をふった。
「いいえ。ただし運転免許が必要です」
おばあちゃんは両腕を前に投げだした。そして、なんてうるさい世のなかだと文句を言いはじめたそのとき、今度はエルサが携帯を乱暴にテーブルにおいた。
「アパルトヘイトなんてちっとも関係ないじゃん!!! タバコが吸えないことをアパルトヘイトみたいって言ったけど、全然おなじじゃない。似てもいないよ!」
おばあちゃんはあきらめて手をゆらゆらふった。
「まあ、その、ほら……大まかに言えば似たような──」
「全然似てない!」
「ただの喩えじゃ──」
「喩えとしてなってない!」
「なんでわかるの?」
「ウィキペディア!」エルサは叫んで、携帯を示した。
おばあちゃんは降参した顔で警官のほうを向いた。
「あなたんとこの子も、こんな調子?」
警官は言いづらそうな顔をした。
「うちは……親が見ているときしかネットはさせませんので……」
おばあちゃんはエルサに向かって両腕を突きだし、〝ほら、見なさい!〟という仕草をした。エルサは無言で首を横にふり、きつく腕組みした。
「それより、フンを投げつけたことをおまわりさんに謝ってよ。そしたら帰れるから」エルサはなおもアパルトヘイトのことで腹を立てつつ、秘密の言葉で文句を言った。
「ごめんなさい」おばあちゃんは秘密の言葉で返した。
「わたしじゃなくておまわりさんに言うの。バカだなあ」
「だれがファシストに謝りますか。あたしは税金を払ってるのよ。それにバカはあんたよ」おばあちゃんはむっつり言った。
「おばあちゃんだよ」
そしてふたりとも腕組みして大げさに相手から顔をそむけ、しばらくするとおばあちゃんは警官にうなずきかけてふつうの言葉で言った。
「そんな態度なら家まで歩いて帰りなさいって、うちのわがままな孫に伝えてもらえない?」
「ふん! わたしはママと帰るから、そっちこそ歩いて帰ればって言って!」エルサもすかさず応じた。
「そっちこそ──」おばあちゃんは言いかけた。
すると警官は、別室に退避してやわらかな大きなクッションに顔を押しあててわっと叫びたいという雰囲気を漂わせて無言で席を立ち、部屋を出ていってドアを閉めた。
「ほら、あんたが悪いのよ」
「おばあちゃんが悪いの!」
少しすると、肩のがっちりした、緑の目の女の警官がかわりにやってきた。おばあちゃんを知っている人たちがみんなするくたびれた笑いをのぞかせたので、初対面でないのがわかった。その人は大きくため息をついて、〝いいかげんにしてください。わたしたちは本物の犯罪も取り締まらないといけないんですから〟と言った。おばあちゃんは〝あなたたちこそいいかげんにして〟とぶつぶつ言った。そしてふたりは家に帰された。
歩道でママを待ちながら、エルサはマフラーの裂け目をいじった。ちょうどグリフィンドールのエンブレムのところが破けていた。泣かないようにこらえた。あまりうまくいかなかった。
「大丈夫、ママがなおしてくれるわよ」おばあちゃんは元気づけようとしてエルサの肩を拳骨でぽんとたたいた。
エルサは不安でいっぱいの目をあげた。
「それに、ほら……おばあちゃんがお猿の柵をよじのぼるのを止めさせようとして破けたって言やぁいいでしょう」
エルサはうなずいて、マフラーの裂け目をもう一度指でなぞった。おばあちゃんが柵をよじのぼったときに裂けたんじゃなかった。なぜだかエルサを嫌う上級生の女子3人に、学校のカフェテリアの外で待ち伏せされてぶたれ、マフラーを引き裂いてトイレに捨てられたのだ。意地悪な笑い声が、今もエルサの頭のなかでこだましていた。
おばあちゃんはエルサの表情に気づくと、そっと顔を近づけて秘密の言葉でささやいた。
「いつかその学校のアホンダラどもを〈ミアマス〉に連れてって、ライオンの群れのなかに投げ入れてやりゃいいわ!」
エルサは手の甲で涙をふいて、弱々しく笑った。
「わたしはバカじゃないよ、おばあちゃん。今夜のことは全部、学校での出来事を忘れさせようとしてやったんでしょう」ささやき声で言った。
おばあちゃんは小石を蹴って、咳ばらいした。
「だって、エルサはあたしのたったひとりの孫だから。今日をマフラーの日って思い出に残してほしくなかったのよ。だから、おばあちゃんが動物園に侵入した日っていうふうに──」
「それに、病院から脱走した日」エルサはにやりと笑った。
「そう、病院から脱走した日」おばあちゃんもにやりと笑った。
「それに、おまわりさんにフンを投げつけた日」
「あれはじつは土だったの! まあ、全部土だったとは言わないけど」
「思い出を変えるのって、いい特殊能力だね」
おばあちゃんは肩をすくめた。
「悪い思い出を消せないときは、べつの思い出を上からたんまりまり、かぶせればいいのよ」
「変な言葉」
「そうね」
「おばあちゃん、ありがと」エルサはおばあちゃんの腕に頭をのせた。
するとおばあちゃんはうなずいて、〝あたしたちミアマス王国の騎士は、わが務めを果たすのみ〟とだけささやいた。
なぜなら、7歳の子にはスーパーヒーローがいていいからだ。
それに賛成しない者は、頭のなかがバカにちがいない。
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