出会ったことのない幼馴染と、恋の話。三秋縋『君の話』文庫版のおしらせ
二十歳の夏、僕は一度も出会ったことのない女の子と再会した。架空の青春時代、架空の夏、架空の幼馴染。夏凪灯花は記憶改変技術によって僕の脳に植えつけられた義憶の中だけの存在であり、実在しない人物のはずだった。「君は、色んなことを忘れてるんだよ」と彼女は寂しげに笑う。「でもね、それは多分、忘れる必要があったからなの」
これは恋の話だ。その恋は、出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた。
(単行本あらすじより)
ベストセラー『三日間の幸福』や、11 月に映画公開予定の『恋する寄生虫』(メディアワークス文庫)で知られる三秋縋さんによる、2021 年現在の最新刊である『君の話』文庫版がハヤカワ文庫JAから発売されました。
人に架空の記憶を植え付けたり、自由に記憶を消すことのできる技術が浸透した時代。「僕」の前に姿を現したのは、架空の記憶のなかにしかいない、本当は存在しないはずの幼馴染。自分自身の記憶を疑いながらも彼女の正体に迫るうちに、ある切ない真相が明らかになっていく――。
「出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた恋の話」として絶大な人気を集め、第 40 回吉川英治文学新人賞の最終候補にも選ばれた傑作が、手に取りやすい価格でついに文庫化。ぜひこの機会にお買い求めください。(電子書籍版も同時配信です)