うつ持ち、あるいは不安神経症をかかえる人との過ごし方/マット・ヘイグ『#生きていく理由』より
『#生きていく理由』マット・ヘイグ/那波かおり訳 好評発売中
みずからのうつ体験を率直に綴った自伝的エッセイ『#生きていく理由』が世界的ベストセラーになっているマット・ヘイグが、うつや不安神経症に悩む人たちとのかかわり方についてアドバイス。
うつ持ち、あるいは不安神経症をかかえる人とどう過ごす?
1. たとえそうは見えなかったとしても、あなたはうつ持ちの人に必要とされているし、感謝されている。それを心にとどめておこう。
2. 話に耳を傾ける。
3. 信頼のおける詳細な指導がないかぎり、「しっかりしろ」とか「元気を出せ」とか、けっして言わないこと(愛のむちは効かない。ほのぼのとした愛でいい)。
4. 病気のせいだと認識しよう。本心でないことが口を突いて出ることもある。
5. あなた自身が学ぼう。とりわけ理解しておきたいのは、あなたには簡単に思えること。たとえば、近所の店に行くとか、が、うつ持ちにとっては無理難題にも等しい挑戦であるということだ。
6. 相手の病気を自分のせいだと考えないこと。インフルエンザ、慢性疲労症候群、関節炎にかかった人と同じだ。病気になったのは、あなたに落ち度があったからではない。
7. 辛抱強くなろう。これは簡単なことではないと覚悟しよう。うつは潮のように引いては満ち、上がっては下がる。じっととどまっていることはない。一時の良い/悪い状態を回復/再発のしるしと見なさないこと。長期戦の構えでいこう。
8. 相手がいつもいる場所で会おう。自分に何ができるかを尋ねよう。あなたにできる肝心なことは、いっしょにいることだ。
9. もし可能なら、仕事の/人生のプレッシャーを軽くしてあげよう。
10. できるなら、うつ持ちが今感じている以上に自身を奇異な存在だと感じることがないよう気づかおう。三日間ソファで過ごす? カーテンをあけない? どの靴下をはくか決められなくて泣く? それがどうした。たいしたことじゃない。何が普通かを見きわめる基準などは存在しない。普通かどうかは主観による。この惑星には七十億通りの普通があるのだと考えよう。
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著者紹介
マット・ヘイグ Matt Haig /写真©Kan Lailey
1975年生まれ。イギリスの人気作家。小説、児童書、ノンフィクションと様々な作品を手がける。邦訳に小説『今日から地球人』(ハヤカワ文庫)がある。SFタッチの最新小説 How to Stop Time(早川書房近刊)もベストセラーとなり、ベネディクト・カンバーバッチ主演で映画化が予定されている。『#生きていく理由』は彼の自伝的エッセイ。作家になる前からデビュー以降までの自身のうつ体験を描き、世界中の読者の共感を得た。