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本当に仕事がしたい人にとって、昼間の会社ほど最悪な場所はない。『リモートワークの達人』試し読み【7/2発売】

「最低出社日数」が設定されるなど、徐々に会社に呼び戻されつつある方/呼び戻そうとしている方こそ必読、ジェイソン・フリード&デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン『リモートワークの達人』(高橋璃子訳)。この記事では7月2日(木)の発売に先駆け、本文の一部を公開します。「本当に仕事がしたかったら、会社になんか行かなければいい」。

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なぜ会社にいると仕事ができないのか

 
本当に集中して仕事がしたいとき、あなたはどこへ行くだろう?

まわりの人間に、そうたずねてみてほしい。「会社」と答える人は、ほとんどいないはずだ。

仮に「会社」だとしても、何らかの条件つきのことが多い。思いきり早起きして誰もいないうちに出社するとか、みんなが帰ってから夜中に仕事をするとか。あるいは「週末の誰もいない会社に忍び込む」というパターンもある。

要するに、会社にいたら仕事ができないということだ。本当に仕事がしたい人にとって、昼間の会社ほど最悪な場所はない。

会社は邪魔に満ちているからだ。なぜかって?

昼間のオフィスは、まるでフードプロセッサのような場所だ。あなたの時間を引きちぎり、粉々に砕いてしまう。とりあえず15分、あとで10分、それから20分、今度は5分。

そうやって手に入れた細切れの時間だって、すぐに電話やミーティングなどの余計な仕事でつぶされる。

そんな細切れの時間で、まともな仕事ができるわけがない。

頭を使ってクリエイティブな仕事をやろうと思ったら、まとまった時間がどうしても必要だ。ある程度まとまった時間がなければ、脳は仕事に没頭できない

でも現代の会社で、集中できる時間を見つけることは不可能だ。次から次へと邪魔ばかり入ってくる。

そこで、リモートワークの登場だ。

会社の外にいれば、誰にも邪魔されないで思いきり仕事に集中できる。会社の雑音から離れるだけで、生産性は格段にアップするはずだ。

本当に仕事がしたかったら、会社になんか行かなければいい。

もちろん、会社の外にもそれなりに困ったことはある。電話やミーティングのかわりに、さまざまなものがあなたの邪魔をするだろう。

家で仕事をするなら、テレビの誘惑。カフェで仕事をするなら、隣の席のうるさすぎる会話。

でもそこには、会社の邪魔とは決定的にちがうことがある。

自分でコントロールできる、ということだ。

会社の外にある邪魔は、避けようと思えば避けられる。他人の会話がうるさいなら、ヘッドフォンで音楽を聴けばいい。

これが会社だったら、雑談好きの同僚に肩をつつかれるかもしれない。どうでもいいミーティングに呼びだされるかもしれない。

でも会社の外にいれば、ひとりきりで仕事に没頭できる。

信じられないなら、まわりの人間に聞いてみるといい。あるいは、自分にたずねてみるといい。

本当に集中して仕事がしたいとき、あなたはどこへ行くだろう?

答えは、昼間のオフィス以外のどこかにあるはずだ。

ジェイソン・フリード&デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン『リモートワークの達人』(高橋璃子訳、本体800円+税)はハヤカワ・ノンフィクション文庫より7月2日(木)発売です。

◎著者紹介
ジェイソン・フリード(Jason Fried)
世界的に著名なソフトウェア開発会社「ベースキャンプ」(2014年に「37シグナルズ」から社名変更)の創業者・CEO。同社は1999年の創業以来20年にわたりリモートワークで業績を上げ続け、プロジェクト管理ツール「ベースキャンプ」は数百万の企業で採用されている。ハンソンとの共著に本書のほか、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーとなり日本でもITエンジニア大賞(ビジネス書部門)を受賞した『小さなチーム、大きな仕事』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)、『NO HARD WORK!』(早川書房)、Getting Realがある。

デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン(David Heinemeier Hansson)
ベースキャンプ共同経営者。オープンソースのウェブ開発フレームワーク「Ruby on Rails」の開発者。Ruby on RailsはTwitter、クックパッド、Hulu、Airbnbなど100万を超えるウェブ・アプリケーションに使用されている。

◎訳者略歴
高橋璃子(たかはし・りこ)

翻訳家。京都大学卒業後、ソフトウェア開発者として活動したのち、翻訳家として独立。訳書にウェザーオール『ウォール街の物理学者』(早川書房刊)、マキューン『エッセンシャル思考』、テイラー『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門』他多数。