「主人公の猫感がたまらない」「ヒトと共にある動物がすてき」動物への愛に溢れたSFファンタジィ『さやかに星はきらめき』感想まとめ
人類が地球を脱し数百年。月に住む “ネコビト” の編集者キャサリンは、「人類すべてへの贈り物となる本」を作ることに――
2023年11月の刊行から今も反響を呼んでいる、村山早紀さんの最新作『さやかに星はきらめき』。
SFファンタジィとして、クリスマスの物語として、「本の本」として……いろいろな面から楽しまれている本作ですが、猫をはじめとした動物たちへの愛溢れる描写にも注目が集まっています。
今回はそんな動物の描写に心をくすぐられた読者のみなさんの感想をご紹介します。
猫人の描写がしっかりしてて、ドキワクが止まらない
村山早紀さんの『さやかに星はきらめき』、やっぱり実物を買って大正解。装丁、金色の箔がキラキラしてて、とても綺麗。
今夜は寝る前に数ページしか読めなかったけれど、『手触りが薄桃色の肉球に心地良く』とか『マズルの低い鼻でため息』とか、猫人の描写がしっかりしてて、ドキワクが止まらない。
――月向こねこさん(X感想)
主人公キャサリンのちょっとした瞬間の猫感がたまらない
地球が生物の住めない惑星になったあとの物語というと、どうしてもディストピアものかなあと思ってしまうし、もちろん残酷な歴史もあったようなのだけれど、物語自体はとにかくあたたかい。
そして登場人物たちが皆素敵。皆の本に対する愛ににこにこしてしまうし、主人公である猫人のキャサリンのちょっとした瞬間の猫感がたまらない。仲間である犬人に時折怯えているのもかわいいのです。
――波多さん(読者モニター)
本への愛、人類への愛、動物たちへの愛を感じる
『さやかに星はきらめき』村山早紀 読みました。 良いお話だったなあと思います。あたたかくてやさしいお話で、でも時折残酷で。本への愛と人類への愛、動物たちへの愛と色んな愛を感じる一冊でした。
――紅さん(X感想)
ヒトを愛し寄り添ってくれた何かたち
ヒトの良き友であった猫から進化したネコビトの編集長。彼女によって編まれる、ヒトを愛し寄り添ってくれた何かたちの、切なく寂しくて、けれども確かに暖かいクリスマスのお話たち。冬の夜に暖かな部屋で、毛布に包まりながら読みたくなる。そんな優しい物語でした。
――萩野さん(読者モニター)
動物達に対する村山先生の思いとメッセージ
生き物が住めなくなってしまった地球から月に移住し、一定の距離を保って周りをぐるぐる回りながら、帰れない地球を恋しく思い続けて生きる。それは本当に切なくて哀しくて、月面都市に暮らす人々の心情を想像すると、胸がギュッとなります。
頭の先までどっぷりと物語にのめり込んでしまう私がそれでも楽しい気分で読み進められたのは、村山先生がそんな事になっても共に居てくれる猫と犬、鳥(ネコビトとイヌビト、トリビト)という存在を、用意してくれていたからです。
どこまでも人間に寄り添い、もしかしたら本来の進化を外れてしまったかもしれない変則的な進化を受け入れ、差別や迫害される事があっても共に生きてくれる。そんな彼らが居てくれることで「きっと大丈夫」と思えたし、もしも地球を離れなくてはならなくなってしまうような未来があったとしても、彼らが居てくれるなら、きっと人間にとってはそんなに悪くない未来なのでは?……と、少しワクワクした気持ちにさえさせてくれました。
そして今は虹の橋のたもとに居る、かつて自分の側に居てくれた愛犬、愛猫の事を思い「あの子達がイヌビトやネコビトになったら、話したいことが沢山あるなぁ。イヌビトやネコビトだったら、寿命的にも今もきっと一緒に居てくれたに違いないのに……」と楽しくてちょっと切ない空想を膨らませたりすることも出来ました。太古の昔から友人でいてくれる彼らの存在は人間にとって、まさしく「暗い空にきらめく星」だなぁ……と。
そんな様々な要素に、気が滅入るような出来事が多い現実と共に生きてくれる動物達に対する村山先生の思いとメッセージ、そして村山先生の作品に流れる魔法を感じたのです。
――猪俣さん(読者モニター)
■書誌情報
『さやかに星はきらめき』
著者:村山早紀
判型:四六判上製
価格:1,870円(税込)
ISBN:9784152102850
発売日:2023年11月21日