【書影解禁!】第7回ハヤカワSFコンテスト優秀賞『オーラリメイカー』&特別賞『天象の檻』
第7回ハヤカワSFコンテストで優秀賞を受賞した春暮康一『オーラリメイカー』、特別賞を受賞した葉月十夏『天象の檻』(『不可視の檻』改題)の書影を公開します。最終選考委員の選評ともにご覧ください。
第7回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作
春暮康一『オーラリメイカー』
※書影はamazonにリンクしています。
遠い未来、人類をはじめとする天の川の文明群は連合し協力しあっていた。あるとき、《連合》の合同調査団が銀河の辺境の恒星系を調査する。この系は明らかに人工的な楕円軌道を描いており、明らかに高い技術力を持つ文明によって改造されていた。調査団はオーラリメイカー(星系儀製作者)と名づけたその文明を《連合》に迎え入れるためにやって来たのだった。しかし系内をいくら探してもこの恒星系を作り上げた文明は発見できない。調査員の一員で、太陽系人類出身のイーサーは、彼らが知的文明ではなくもっと別の何かなのではないかと考え、人工知性のネットワーク《知能流(ストリーム)》に加入し、オーラリメイカーの調査を続ける……。
銀河に散らばる多様な文明のあり方を通して、宇宙に存在する知性の本質を問う宇宙ハードSF。短篇「虹色の蛇」を同時収録。
東浩紀(批評家)
クラークやバクスターを思わせる壮大な設定で、タイトルにもなっている「オーラリメイカー」の導入場面は小松左京の『結晶星団』を思わせる。SF的センスは抜群。
小川一水(作家)
理をもって美を説く、成熟した力のある文章が好ましい。仕掛けが精緻でタイムスケールが大きく、今回の応募作で一番楽しめた。
神林長平(作家)
「情報パターンとして記述できない精神はない」これが本作の世界を成り立たせている肝だろう。この宇宙に芽生えた知性や意識がこの物語のように行為し考えるというのはあり得ると、面白く読んだ。
■著者紹介
春暮康一(はるくれ・こういち)
1985年生まれ。山梨県甲府市出身。山梨大学大学院物質・生命工学専攻修士課程修了。現在メーカー勤務のエンジニア。
イラスト:rias デザイン:早川書房デザイン室
四六判上製単行本 本体価格:1,700 円+税
発売日:2019年11月20日 ISBN:9784152098979
第7回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作
葉月十夏『天象の檻』
※書影はamazonにリンクしています。
遥かな昔、大地の上で人が住む十二の地域は系(けい)と呼ばれ、神と人との間に生まれた神人(かみびと)を支配者として戴いていた。
系から隔絶されたアタの山に住む少女シャサは、ある日集落が襲撃を受けたことで多くの仲間を失ってしまう。 壊滅した集落に迷いこんだ少年ナギの協力を得て、シャサは姿を消した四人の仲間を探し、まだ見ぬ外の世界へと旅立つ。
シャサたちが訪れた、神人メネが治める『銀鱗』、神人イナーが統べる『暁』などの系では、ある噂がまことしやかに囁かれていた。 曰く、この雄大にして堅固な大地はまもなく海中に没すると――。
時を同じくして、神人タニャを担ぐ『蛇』が勢力拡大を狙って大侵攻を開始。危機迫るなか、シャサは思いもよらぬ力を発現させ、世の理に干渉してしまう。 その行いが、世界と神人の真実に迫るとも知らずに……。
新鋭による壮大なSFファンタジー長篇。
小川一水(作家)
意外だが納得させられる老若男女の人物が活写されていたことと、無垢だった少女が、自分の人生をつかみ取って成長していく様を評価した。
塩澤快浩(SFマガジン編集長)
ファンタジーとしての世界観は魅力的で、時おりハッとさせられる幻想的なシーンがあった。
■著者紹介
葉月十夏(はづき・とおか)
1965年生まれ。千葉県出身。國學院大學文学部史学科卒業。
イラスト:長乃 デザイン:早川書房デザイン室
四六判上製単行本 本体価格:2,000 円+税
発売日:2019年11月20日 ISBN:9784152098986