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「ヤンテの掟に抗え!」ストックホルムからやってきた、全く新しいサバイバルヒーロー・サラの物語『毒花を抱く女』。『ドラゴン・タトゥーの女』に匹敵する戦慄と興奮!!

1. 自分が特別だと思ってはならない
2. 自分が皆と同じように優れていると思ってはならない
3. 自分が皆よりも賢いと思ってはならない
4. 自分が皆よりも優れているとうぬぼれてはならない
5. 自分が皆よりも多く知っていると思ってはならない
6. 自分が皆よりも重要だと思ってはならない
7. 自分が何かに長けていると思ってはならない
8. 皆を笑ってはならない
9. 誰かが自分を気にかけていると思ってはならない
10.自分が皆に何かを教えられると思ってはならない

 これは10ヶ条からなる「ヤンテの掟」です。『毒花を抱く女』の訳者・不二淑子氏のあとがきから説明を引用すると、

 ヤンテとは、デンマーク出身の作家、アクセル・サンデモーセが(1899〜1965)が、1933年に発表した自伝的小説「En flyktning krysser sitt spor」に出てくる架空の町の名前である。サンデモーセの生地ニュクービンがモデルだといわれている。ヤンテの掟は、モーセの十戒を模倣して書かれた、町の人々が従わなければならないルール、社会規範を示している。

とあります。(「ヤンテの掟」の条文は不二氏が英訳版から訳出されたもの)
『毒花を抱く女』の主人公サラの行動を束縛するものとして、作中で「ヤンテの掟」は何度も登場します。リベラルで先進的(作中の表現を借りると「平等と機会均等に関して世界最高レベルを誇る国」)と言われる北欧スウェーデンに潜む、負の側面。しかしサラは、不審な事故死を遂げた父レンナットの「ヤンテの掟におまえの邪魔をさせるな」という言葉に従い、ムラ社会的な同調圧力を振り払って、自らを虐げるすべてのものに戦いを挑むのです!

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Örebro Castle, Sweden, May 2004
Català: El castell d'Örebro
Esperanto: La kastelo de Örebro.
Photo Author: Nick Lott

 ルイース・ボイイエ・アブ・イェンナス著、不二淑子訳『毒花を抱く女』は、不屈のサバイバルヒーロー・サラを主人公にした異色のサスペンス作品です。かつては、スウェーデンの古都エレブロ(エレブロ城の写真を上掲)で、正義感の強い父のレンナット、優しく思いやり深い母のエリサベト、乗馬が好きで好奇心いっぱいの妹のリナと、絵に描いたような幸せの中で暮らしていたサラでした。しかし、ある日突然に父が失火原因(?)で死去、自らも見知らぬ男に暴行を加えられ、急転直下、地獄のような日々を送ることになってしまいます……。
 けれども、高校卒業後、自ら望んで兵役について将校訓練まで受けたサラは、めげない負けないへこたれない! 哀しい出来事を乗り越えるために心機一転、首都ストックホルムで新しい生活をスタートさせます。そんな彼女の周りで、ふたたび不審な事件が頻発。気のおけない同僚、古くからの友人、新しくできた恋人、周囲の誰もが疑わしく思えて、疑心暗鬼と自己嫌悪に陥る、地獄の日々がふたたびやってくることに……。「私がおかしいのか? 私が間違っているのか?」絶望の中で自問自答するサラを照らした光が、亡父が遺した「ヤンテの掟におまえの邪魔をさせるな」というメッセージでした。やがて彼女は、自分を取り巻くすべての闇に宣戦布告することを決意します!

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Svenska: Utsikten från Katarina kyrkas torn över Gamla stan
Author: Holger.Ellgaard
(写真はストックホルムの旧市街ガムラスタン)

 著者のルイース・ボイイエ・アブ・イェンナスは、本作『毒花を抱く女』の主要舞台でもある、スウェーデンのストックホルム生まれ。1991年に小説家としてデビューし、人気ドラマの脚本も手がけています。
 サラを蝕もうとする暗闇は、社会や国家が抱える陰部と接続していきます。強大な敵に対して敢然と立ち向かう(そして軍隊経験があるからマジで強い)、まったく新しいサバイバルヒーロー・サラの誕生を見届けてください! そうそう、タイトルの「毒花」の意味は読んでのお楽しみということで……。
(編集部・奥村勝也


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