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探偵公妃と堅物大尉のクリスティー賞受賞シリーズ2カ月連続刊行!

第10回アガサ・クリスティー賞優秀賞に輝いた、宮園ありあさんの『ヴェルサイユ宮の聖殺人』が先月、待望の文庫化をしました!

フランス革命が数年後に迫る、黄昏時のブルボン王朝。崩壊の兆しはそこかしこにあるものの、国王ルイ16世と王妃マリー=アントワネットを頂点とする、絢爛豪華を極めたヴェルサイユ宮廷。その宮殿の中の一室で、殺人事件が起きたことから、舞台の幕が開きます。

『ヴェルサイユ宮の聖殺人』表紙帯

あらすじ

1782年5月、フランス国王ルイ16世の従妹にしてパンティエーヴル公妃マリー=アメリーは、ヴェルサイユ宮の施錠された自室でオペラ座演出家の刺殺体を発見。遺体は聖書の切れ端を掴み、血文字を残していた。その傍らには意識を失くした男、ボーフランシュ大尉ジャン゠ジャックの姿が。ジャン゠ジャックは倒れる直前に、マリー=アメリーも見かけた謎の黒づくめの人物を目撃していた。マリー=アメリーは、犯人として投獄されかけていたジャン゠ジャックを相棒に、事件解決に乗り出すが……第10回アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作。

登場人物一部紹介

ジャン゠ジャック・ルイ・ド・ボーフランシュ:フランス陸軍大尉。パリ王立士官学校教官

パンティエーヴル公妃マリー゠アメリー:ナポリ 出身の王族で国王ルイ十六世の従妹。王妃の元総女官長で王子と王女の教育係。未亡人

ジョルジュ・ランベール:パリ警察捜査官。ボーフランシュ大尉の飲み仲間

シャルル゠アンリ・サンソン:処刑執行人。ムッシュー・ド・パリ

アントワーヌ・ラヴォワジェ:科学者。ボーフランシュ大尉の士官学校時代の恩師

マリー゠アントワネット:フランス王妃

ルイ十六世:フランス国王。パンティエーヴル公妃の従兄

どうです? 豪華でしょう?

マリー゠アメリーは王族で未亡人ですが、幼くして嫁ぎ、結婚後すぐに夫を亡くしていて、故郷へ戻ればまた政略の駒となると、パリに残ることを選んだ女性。だいたい20代半ば。金髪碧眼の天使めいた容貌で、好奇心が強く、才知に溢れ、自ら探偵に乗り出します。

ジャン゠ジャックは、アメリカ独立戦争で顔に傷を負っていますが、黒に近い焦げ茶の髪をくくった、20代半ば、紺碧の瞳の長身の細マッチョの端整な容貌。帰国後は、士官学校の教官をしていて、生徒たちにも慕われていますが、じつはその出生に秘密を抱えています。

本来であれば、身分差もあり、出会うこともなかったふたりが、事件をきっかけに、「探偵」と「お守り役」となって、謎を解き明かしていくのです。ジリジリモダモダですが、ロマンスもありますよ!!

青井秋さんによる、超麗しいカバーイラストにもご注目ください!

『ヴェルサイユ宮の聖殺人』表紙

マリー゠アメリーのドレスは、もちろん宮廷仕様。髪型も当時の流行で高く結い上げています。もしかしたら、ローズ・ベルタンに注文した一着かもしれません。
ジャン゠ジャックは士官学校の軍服です。
ふたりとも鬘で正装しています。
そして、ふたりの背後には、作品の中に登場するモチーフである、ヴェルサイユ宮殿、気球、鏡の間の枠、薔薇が。また、《ミゼレーレ・メイ・デウス》が「暗闇の朝課」で用いられたことから、燭台と蝋燭が枠替わりになっています。

続けて、早くも本日発売した、シリーズ第2作『異端の聖女に捧げる鎮魂歌』をご紹介します。

『異端の聖女に捧げる鎮魂歌』表紙帯

こちらには、高殿円さんの推薦がついています!

フランス革命前夜!
ヴェルサイユの探偵公妃を堅物大尉は守れるのか?
孤城にまつわる呪いと連続殺人の謎を解け!

『異端の聖女に捧げる鎮魂歌』高殿円さんの推薦文

ヴェルサイユと古城(孤城)好きのみなさまに向けた、熱いメッセージでした。

あらすじ

1783年10月。ヴェルサイユ宮の殺人事件を解決して時の人となった公妃マリー=アメリーの元に女子修道院長から助けを求める手紙が届く。公妃は相棒のボーフランシュ大尉とロワール川の孤島に建つ元城塞の女子修道院へ赴くが、男子禁制で大尉だけ島から追い返された。直後、仔羊を抱いた見習い修道女の死体が発見され、血と呪いに彩られた連続怪死事件の幕が開く! 黄昏のブルボン朝で異色バディが活躍するシリーズ第2弾。

マリー=アメリーとジャン=ジャックが、氾濫するロワール川をはさんで、離れ離れになりながら、連続殺人事件に挑みます。しかも、ふたりとも潜入捜査なので、修道女志願と修道僧のコスプレです。

もちろんこちらにも青井秋さんの素晴らしいカバーイラストがついていますので、ご堪能ください!

『異端の聖女に捧げる鎮魂歌』表紙

ベネディクト修道会の修道女志願、修道士コスプレのマリー=アメリーとジャン=ジャック。物語のモチーフとして登場する、伝書鳩の手紙、ラベンダー、ジギタリス、ベラドンナなどの薬草、渾天儀。枠はエメラルドで、その模様にも注目です。

著者の宮園さんはフランス史を研究されていたこともあり、史実がさりげなく、見事に物語に溶け込んでいます。こんなやんちゃで素敵な探偵バディが、本当にいたのかもしれません。

また、ダイイングメッセージから密室殺人、見立て殺人など、シリーズ通してミステリ要素も毎回てんこ盛り!!

ぜひ、この時代をお好きな方や、『ベルサイユのばら』ファンの方(あの有名なセリフの回想もあります)、かつての少女漫画や少女小説、タカラヅカがお好きに方にもご注目いただければ幸いです!

書誌情報
ヴェルサイユ宮の聖殺人
異端の聖女に捧げる鎮魂歌
宮園ありあ(著)
ハヤカワ文庫JA/定価各1078円


最後にちょっとだけ!
現在公開中の映画「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期愛人」は、このシリーズよりほんの少し前の時代が舞台。マリー=アントワネットも登場しますし、何よりヴァルサイユ宮殿のラグジュアリーな内装と衣装の数々がたっぷり堪能できます。ヴェルサイユ宮の聖殺人』のご参考に。
NHK+で配信中の「空からクルージング」に、『異端の聖女に捧げる鎮魂歌』の舞台となっている、「フランス・ロワール川を下る」という特別編で、中洲に立つ天然の要塞の古城や修道院、アンブローズ城なども登場します。こちらもご参考に!