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【教えて!乙野さん】『僕愛』『君愛』著者が原作&劇場アニメを語る~後篇~

来週10月7日(金)に劇場アニメが2作同日公開となる『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』。本欄では、著者の乙野四方字さんへの一問一答インタビューを掲載します。『僕愛』『君愛』の生みの親である乙野さんしか知らない、登場人物たちの名前に秘められた想いや、聖地・大分のエピソードなど、僕愛君愛の世界観をもっと楽しめる情報盛りだくさんでお届けします!

〈後篇〉

Q.1
先日、ついに完成した劇場アニメの試写が行われました。原作者としての感想をお聞かせください。

乙野さん
なんというか、実家を出て知らないところで立派に成長した子どもの姿を見せられたような気持ちになりました。ストーリーは両監督のセンスで再構成され、そこに大分の風景と素晴らしい音楽がついて、キャストの皆さんの演技もアフレコを見学させていただいた時よりずっと作品に馴染んでいて、「よくしてもらってよかったねぇ」と完全に親の気持ちでした。
また、エンドロールで知らないお名前が次々と流れてくることに対して「こんなに多くの見知らぬ人がこの作品に関わってくれたのか」と思って涙が溢れました。きっとこれは原作者だからこその感動だったのでしょうね。

Q.2
交差点の幽霊という設定はいつごろ思いつかれたのでしょうか。

乙野さん
はっきりと覚えてはいないのですが、1999年に発売されたPlayStation版『街 ~運命の交差点~』というゲームをプレイした時ではないかと。交差点を舞台にしたのもこのゲームの影響なのですが、作中に誰にも見えない少女が出てきて、おそらくその少女が「交差点の幽霊」という発想に繋がったのだと思います。

Q.3
作中に登場する大分の名所の中で、特に思い入れのある場所はありますか?

乙野さん
やはり昭和通り交差点ですね。以前あの場所には大きな歩道橋があり、その歩道橋を渡るのが好きでした。その陰にひっそりと立っていたレオタードの女の銅像に初めて気づいたとき、理由もなく、ここから始まる小説を書きたい、と思いました。

以前乙野さんが撮影した昭和通り歩道橋
昭和通り交差点の「レオタードの女」像

Q.4
登場人物の名前の由来を教えてください。

乙野さん
【栞】無限に存在する並行世界で、栞の存在が一つの目印になっているので、本のページのような並行世界に挟まれる栞、という意味です。
【暦】時間が止まってしまった栞に対して、変わらず年を取り続けるので、流れる時を象徴するカレンダーを意味する暦と名づけました。
【和音】並行世界の形を最も端的に表してくれたのが彼女だったので、複数の世界が重なって物語を奏でるイメージで「和音」です。
【進矢】アインズヴァッハの海の中で「止まっている矢」の状態だった栞の物語が動き出す象徴なので、海の中を進む矢、という意味です。

Q.5
最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いします。

乙野さん
読者の皆さまが手に取ってくださったおかげで、この作品はこんなに幸せな未来を迎えることができました。この先にもまた良い未来があるように、頑張りますので応援よろしくお願いします。そして皆様にも、良き未来がありますように。


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