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世界120万部ベストセラー待望の続篇『スタンフォード式 人生デザイン講座 仕事篇』試し読みを特別公開!

全世界で120万部、320の大学が採用してきた「人生デザイン講座」シリーズ最新作『スタンフォード式 人生デザイン講座 仕事篇』(ビル・バーネット&デイヴ・エヴァンス、千葉敏生 訳)がいよいよ今週(10月18日)発売になりました。
「やりたいことが分からない」「仕事にいつも追われている」「今後のキャリアが不安」……。そんな悩みを抱えるすべての人に、やりがいと影響力を手にするための「デザイン思考」のアイデアとツールを提供します。
「人生の副読本」とも言うべきこの本の「はじめに」の一部を編集した試し読みを特別公開します!

『スタンフォード式 人生デザイン講座 仕事篇』早川書房
『スタンフォード式 人生デザイン講座 仕事篇』

はじめに 職場で最高に輝ける自分になろう

本を書いた。
この本ではなく、別の本だ。読んだひともいれば、まだ読んでいないひともいるだろう。その本では、デザイン思考を使って人生をデザインする方法をお教えした。また、ソファから起き上がり、人生やキャリアの何通りものプロトタイプ(試作品)をつくる方法を紹介した。そして、その本をベースにワークショップを開き、人生が大きく向上した何千人という読者の体験談を聞いた。そうしたひとびとの明かしてくれたエピソードの一つひとつが、本書の物語の血肉になっている。

前著『スタンフォード式 人生デザイン講座』を読み、気に入ってくれたのは、転換期にいるひとびとだった。つまり、人生のターニングポイントに差し掛かり、次のステップで迷っているひとたちだ。次はどっちに進もう? なにをしよう? どんな人間になろう? そんな迷いを抱えるひとびとのために、別の未来や、忘れかけていた夢を叶える方法をイメージする演習もおこなった。
前著のテーマはイメージ。
そして、本書のテーマはその実現だ。

見てみてほしい。今日 こんにちの職場は絶えず流動している。企業がどんどん機敏になり、変化する市場に合わせてどんどん形を変えていくなか、職場はますます不安定になっていっている。
この絶えず変化する仕事の風景のなかで、自分自身の幸せや成功を定義するのはますます労働者自身の責任になってきている。そしてまた、労働者に歩み寄り、絶えず変化する職場や市場に適応するための資源(たとえば本書)を提供するのは、賢明な管理者や企業の責任になってきている。

しかし、本当に必要なのは、人間として変化し、成長していくなかで、自分の成功をくり返し創造するのに使えるツールなのだ(ますます増えつつある自営業者にとってはとくにそうだろう)。
とりわけ、ミレニアル世代やZ世代の労働者たちは、やりがいがあり、世界に影響を及ぼしていると実感できる労働体験を強く求めている。やりがいや影響力に満ちた日々を送りたいという願いは、万人共通なのだ。

その点、ほとんどのひとは、日々の大半を仕事に費やしている。そう考えると、わたしたちがやりがいや影響力を求める第一の場所が職場なのは、不思議ではない。それなのに、ほとんどの仕事はひたすら単純作業や取引の連続で、ほとんどの管理者は仕事のやりがいや影響力について話したがらない。

ところが、どうだろう。自分自身のワークライフのデザイナーになれば、上司や企業にあなたの望みどおりの仕事を形づくってもらえる。あなたが事業主なら、やりがいや影響力が手に入るまで、あなたの事業を何度も創造しなおせるだろう。ワークライフをデザインすることは、従業員でも事業主でもできる。デザイン思考はあなたのようなひとたちのためにあるのだ。あなたが給与明細を受けとる側なのか、発行する側なのかなんて関係ない。本書には、生きがいを高めるだけでなく、毎日の仕事により多くの楽しみをくみこむためのツールやアイデアがぎっしりとつまっている。

 職場は変化していっているだけでなく、大きく構造を変えつつある。ギグエコノミー(ネットなどを通じて単発で仕事を請け負う働き方)、AI(人工知能)、ロボットは、実現しつつあるどころか、すでに社会構造へとくみこまれ、仕事の概念を一変させようとしている。賢く働くには、この新しいテクノロジーの現実のなかで成功するための心構えが必要だろう。本書では、この未来の職場に、クリエイティブなデザイナーのように対応するための実践的なツールをたくさん紹介していく。

あなたが前著『スタンフォード式 人生デザイン講座』をもう読んだなら、あなたの立てた「冒険プラン」がなんであれ、本書は楽しいワークライフを送るのに役立つ新たなデザイン思考のマインドセットをつけ加えてくれるだろう。前著をまだ読んでいないなら(または読んだが演習を実行していないなら)、本書を読むだけでも、きっとデザイン思考を用いて仕事をデザイン
し、週40、50、60時間の勤務時間を、より楽しく充実した時間へと変えることができると思う。もちろん、そのために転職したり、別のキャリアへと転身したりする必要なんてない。ただし、どうしてもそうせざるをえないひとびとのため、本書ではそのコツも紹介しているのでご心配なく。

 さあ、いまこそ、ソファから起き上がって、仕事の行きづまりから抜けだそう。仕事で最高に輝けるあなたになるために!

デザイナーの6つの考え方を身につけよう

さっそくあなたのワークライフをデザインする(しなおす)前に、ひとつ準備がいる。まずは、デザイナーの考え方を身につけよう。その方法はこのあと説明するが、ワークライフをデザインするにあたって、まずはとりわけ重要なポイントを押さえてほしい──デザイナーは前進の道を考えるのではなく、築くのだ。
そして、そのためには、デザイナーのマインドセットを理解し、養っていく必要がある。そのマインドセットとは、「好奇心」「行動主義」「視点の転換(リフレーミング)」「認識」「過激(ラディカル)なコラボレーション」「物語」の六つだ。

興味をもつ(好奇心)

人間、仕事、世界に興味をもとう。デザイナーはつねに初心を忘れず、「な
ぜ?」と問う。好奇心をもつことは、人間の自然な状態であり、なにかをはじめたり、実世界に飛びだしておもしろいひとびとと出会ったりするためのエネルギー源になる。「好奇心」は、デザイナーのいちばん重要なマインドセットだ。好奇心は探求や行動の原動力であり、ほとんどのデザイン活動の出発点になるといっていい。
だから、理性的で疑り深い自分は家に置いて(理性は、あとですばらしい選択肢の数々を評価するときに活躍する)、好奇心をもとう。外にはものすごくおもしろい世界が広がっているから! そして、あなたが人間やモノに心から興味をもてば(つまり好奇心をもてば)、相手も喜んであなたと交流してくれる。おもしろがっているひとはおもしろい、と覚えておこう。

やってみる(行動主義)

「行動主義」は、あなたの好奇心や疑問を実世界での行動に変えるステップだ。前著『スタンフォード式 人生デザイン講座』では、会話や体験のプロトタイプ(試作品)をつくる方法を紹介したが、本書では、あなた自身の未来へとそっと近づき、あなたに合う仕事や人生を発見する方法をさらにたくさん紹介していく。
このマインドセットをもてば、やること、話す相手、試したい体験でいつもいっぱいな状態になる。本書では、なにかを「やってみる」ためのさまざまな戦略を紹介していこうと思う。行動主義のマインドセットをもつデザイナーは、つねに前進の道を築き、仕事や人生でなにが自分に合っているのかを発見していくのだ。

問題を別の視点でとらえなおす(視点の転換)

「視点の転換(リフレーミング)」は、重要な考え方のひとつで、視点の転換が上手になれば、二度と行きづまることなんてなくなるだろう。デザイナーはつねに、与えられた問題を別の視点からとらえなおそうとする。最初に与えられた問題が本当に解決すべき問題そのものであることなんて、めったにないからだ。

本書では、「行きづまり思考」と呼ばれる、厄介な仕事の問題を中心に話を進めていく。行きづまり思考とは、あなたが抱えているまちがった信念、役に立たない信念、行きづまりを生んでいる信念のこと。つまり、あなたにとってうまく機能していない、仕事や人生にまつわる思いこみだ。本書では、こうした行きづまり思考をとらえなおし、実行可能な課題へと変える方法を紹介していく。あなたもぜひ、視点の転換のスキルを磨いてほしい。これは問題解決能力を高めるのに欠かせないマインドセットだからだ。視点の転換は、デザインのスーパースキルのひとつと呼んでいいだろう。

デザインはプロセスだと理解する(認識)

デザイン思考では、実際にアイデアをどんどん生みだしていく場面がある。
「アイデア創造(ideation)」と呼ばれるこの段階では、思考を発散させて(広げて)、よいアイデア、悪いアイデア、ぶっとんだアイデアも含め、手当たり次第にアイデアを探していく。
その一方で、あなたが試してみたいと思うひとつのプロトタイプや視点へと、思考を収束させる(狭める)場面もある。この段階では、あなたが検証したい適切な疑問や具体的なアイデアへと目を向ける。

この発散(フレア)と収束(フォーカス)というデザイン思考のふたつの段階は、根本的に性質が異なる。だからこそ、優秀なデザイナーは自身のプロセスに細心の注意を払うようになるのだ。
思考を発散させるべきなのはいつなのか? 逆に、収束させるべきなのは? どんどん疑問を挙げていくべきなのはいつなのか? 集まったデータを受け入れて、前に進むべきなのは? あなたがデザイン・チームの一員なら、その時と場合を判断するのはとくに重要になる。前進しようとするなら、全員で同じ方向に進む必要があるからだ。
さらに、プロセスに注目することで、すべての段階を踏み、共感のための調査やアイデアの創造を完了し、正しい判断を下す準備が整った、という安心感が得られるだろう。

助けを借りる(過激なコラボレーション)

仕事の体験をつくり替えたいと思うなら、家にじっと座って、いつまでも考えにふけっていてはいけない。業界全体や労働者たちと交流し、助けを求めよう。わたしたちは、この助けを求めるステップを、「過激(ラディカル)なコラボレーション」と呼んでいる。これと「行動主義」をくみあわせれば、すばやい学習、豊富な機会のプロトタイプ、人生が変わる体験へとつながっていく。

大事なのは、実世界に飛びだし、あなたにとって興味のある物事をしているひとびととたくさん話すことだ。これがあなたのデザイン調査リサーチにあたる。さらに、過激なコラボレーションをおこなえば、あなたはひとりではないこと、多くのひとたちが同じ疑問や悩みを抱えていることがわかる。テーマが仕事ならなおのことそうだ。
デザインは共同作業のプロセスであり、ほかの人が最高のアイデアを握っていることも多い。だから、ただ助けを求めればいいのだ。わたしたちの経験上、あなたが世界に手を伸ばせば、世界は手を差し出してくれる。たったそれだけで、すべてが変わるのだ。

あなたの物語を伝える(物語)

最後が、ボーナス・マインドセットの「物語」だ。「あなたの物語を伝え
る」というマインドセットをとり入れたとたんに、あなた自身の会話や体験を振り返る機会をつねに探すようになる。そして、あなたの物語へとまわりのひとびとを引きこむ新しい方法をつねに探すようになる。
だれだっておもしろい話は大好きだし、好奇心、行動主義、たくさんのプロトタイプをつくる意欲があれば、伝える物語が不足することはないだろう。

上手に物語を伝える能力は、学習によって身につけられるし、いったん身につけてしまえば、物語はほかのひとびとと交流し、仕事や人生のデザインを前進させる主要な手段のひとつになるだろう。そして、あなたが声を上げれば、おもしろいことが起こる。こんどは世界のほうが声を上げ、新しい友情、仕事の機会、クリエイティブな目標達成の方法という形で、物語を伝え返してくれるのだ。

本書全体を通じて、わたしたち自身の物語を紹介していく。また、読者、ワークショップ参加者、そしてライフデザインの考え方やツールを用いて仕事、キャリア、企業をデザインしなおしてきたひとびとの物語も紹介しようと思う。職場で最高に輝く方法を見つけた、あなたと同じようなひとびとの物語を。それから、生産的で、情熱的で、やりがいに満ち、楽しいワークライフをデザインする方法も紹介していく。

将来、あなたは必ず仕事を楽しめるようになる。あなたに必要なのは、そんな未来にそっと近づく方法を知ることだけ。
さあ、いよいよ仕事のデザインをはじめよう。

この続きは▶本書でご確認ください

『スタンフォード式 人生デザイン講座 仕事篇』著訳者について

■著者 
ビル・バーネット
 Bill Burnett/スタンフォード大学デザイン・プログラムのエグゼクティブ・ディレクター、ライフデザイン・ラボの共同創設者。同大学でプロダクトデザインの学士・修士号を取得。その後、アップル社のパワーブックやハズブロ社の『スター・ウォーズ』アクションフィギュアのデザインで賞を受けた。現在は学部と大学院の学生をデザイン・プログラムで指導している。

デイヴ・エヴァンス Dave Evans/スタンフォード大学ライフデザイン・ラボの共同ディレクター。同大学で機械工学の学士・修士号を取得。アップルに入社しマウスの開発などに携わる。大手ゲーム会社エレクトロニック・アーツの共同創設者でもある。

■訳者
千葉敏生
 /翻訳家。1979年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒。訳書にバーネット&エヴァンス『スタンフォード式 人生デザイン講座』、ブラウン『デザイン思考が世界を変える〔アップデート版〕』、ガネット『クリエイティブ・スイッチ』、ベンソン『会議を上手に終わらせるには』(以上、早川書房刊)ほか多数。

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